間章T†過去:半勇と火山攻略†

魔王領とは敵対するマスカー領に聳え立つとある拠点。
拠点といっても、領内に無数とある拠点のひとつに過ぎず、
特に首都の近くにあるような強固な拠点でもなければ
これといって目立った戦闘兵器があるわけでもない。
ましてや配属されている兵士の総人数など1000も満たないような
どちらかと言えば少数派の拠点である。

しかし、ここにはひとつだけ……他の拠点にはない最大の特徴がある、
なにを隠そう、あの『ゼム・バンドー』が配属している拠点なのである……。


これは、ザーンたちの物語が始まる前の話……。
魔王軍と敵対する人間の勇者バンドーがマスカー領の片田舎拠点にて
騎馬隊長に選抜された経緯と、後に起こった魔王軍との戦いの物語である。



(※今章はバンドーを主人公としている番外編となっております、
  つまり敵であるマスカー側の視点を描いている為、
  魔物要素は前半は薄く、後半からとなっております。
  さらにはその後半部分も戦闘展開であり、
  魔物娘が傷ついてしまう演出が残念ながらございますが……
  できる限り控えるよう精一杯努力したつもりです!
  ですので今章を読んで下さる方は、どうかご了承お願いします!)



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拠点での話の前にまず、彼が隊長として選抜された経緯を振り返ろうと思う。

きっかけはマスカーの首都…………いや、巨大な城が聳え立つそこは
王都と呼ぶのに相応しいだろう………。




『王都マスカールファー』。



世界に名を連ねる始教帝レインケラーが治める
最大にして最強のマスカーの王都。
巨大な城を初めとし、その下で連なる城下町。
当然、そこには魔物の姿は一切なく、ただごく当たり前の日常を送っている
人間だけがそこでの生活を謳歌していた。




マスカールファーの説明は今はこれくらいでいいだろう。
今回重要なのは、その城と城下町を繋ぐ道のりの途中にある建物だ。
そこは言うならば斡旋所(あっせんじょ)といったところか……。

斡旋所。
現代風に言えば仕事やまたは店舗などを紹介する場所だ。
まぁ、簡単に言えばギルドみたいなものだと言ったほうがわかりやすいか?
ここの斡旋所はマスカー軍の傘下にある場所であり、
マスカーの斡旋状なだけあり、傭兵や旅人などを招きいれ、
戦場にて一時的に雇う為の契約場所となっている。


そしてある日の夕方のことである。
斡旋所の受付で現在大勢のギャラリーが集まっていた。
原因は一人の男……バンドーによるものだった、当時の彼は17歳だある。



「なぁネェちゃん頼むよっ!
上に掛け合って俺をこの国の兵士にしてくれよっ!!」
「あ、あの……でしたらこちらの契約書にサインを……」
「それは傭兵としでの雇用契約書だろぉがっ!
それじゃねぇよっ!!正式な兵士として雇ってくれって言ってんだよッ!!」


バンッ と机を強く叩き、受付嬢と一方的な口論をするバンドー。
この時の彼の姿は、布でできたボロボロの貧そうな服を着用し、
その手には古ぼけたハルバードと薄汚れたリュックを肩に背負った、
見るからに「上京してきたばかりの田舎者」という印象であった。

「し、しかし国軍としての正式な兵士志願でしたら士官学校にて………」
「だぁーーっかぁーーーーらーーーっ!!
そんなまどろっこしいことは無しで今すぐ兵士として雇ってくれっ!!」
「そ、そんな無茶ですぅ〜〜…」(半泣き)


「いやぁ〜、威勢のいい兄ちゃんだなぁっ!」
「俺にもあんな情熱的な時期がありましたねぇ〜…」
「どうなるか見物だぜ、おら兄ちゃん踏ん張れ踏ん張れっ!!」
「うふふっ、若いうちに無茶しときなさいなかっこいいお兄さん♪」


周りのギャラリーもそんなバンドーのやり取りを面白がって傍観していたが
次第に建物の出入り口の向こうから大勢の蹄の音が聞こえてきた。


「おい若いの!早く逃げたほうがいいぜ、憲兵さんたちのお出迎えだッ!」

「憲兵だぁ〜…?」


すると緑の鎧衣服をまとった、マスカーの憲兵たちが現れた。
数にして十から十五といったところだ。


「斡旋所にて暴れている男がいると聞いて来たが……
見る限りでは、その男と見て間違いないな?」



静まり返ったその場にいたギャラリー全員が無言の肯定をした。

「チッ、だれだよ通報しやがったのは………
田舎からわざわざ上京していきなりこれかよ……」

「動くな!そちらが武器を持っている以上、こちらも警戒させてもらう。
おとなしく武器を渡して、我々に従って投降せよ少年。
そうすれば危害も加えないことを約束しよう…」

「…………………」

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