三度に渡ってのマスカーとの激しい連戦を繰り広げたザーン率いる第四部隊。
たった一晩のうちに繰り広げられた戦いであったが、
それは壮絶なものであり、魔王軍は最終的に勝利を納めたものの
マスカー・グレンツ、 バンドー、 そしてダヴァドフ
といった類稀ならぬ実力者たちにより、膨大な被害を受けるのだった。
そして勝利を掴み取るきっかけとなった第四部隊は
魔王軍からの援軍として派遣された
デュラハンのキャスリン将軍が統一する拠点へとやってきていた………。
それぞれが戦いで受けた傷を癒す為に…………。
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≪主人公:ザーン視点≫
私は今夢を見ている。
なぜわかるのか?そうだな……今私が見ている光景が私の過去だからだろう。
酷く懐かしく……………思い出したくもない光景だ…………。
そこは殺風景な白い部屋の中。
昔の私がその部屋の中で立ち尽くし、そんな私の周りを白衣を纏い、
レポートを手にした男女たちが囲んでいた。
私を観察しているのか、私は彼らからあらゆる指示を受け、
身体能力の検査、体内魔力の検査などをさせられる。
するとその結果が出るや、彼らはレポートに目を移しながら
ペンで書き足しては、なんらかの会話を繰り広げていた。
『なかなか悪くな【ザァァッ】……肉体、精神的にも十分【ザァァッ】』
『この【ザァァッ】に一番適した武器は?』
『体内魔力量は並ではありますが剣による【ザァァッ】は高く………』
なぜだろうか、彼らの会話のところどころにノイズが響く、
ああそうか……よほど思い出したくもないのだろうな私は………。
するとまた視点が暗転する。
そして次に私の前に現れた光景は、業火に包まれた城下町…………。
…思い出した…、リゼッタと川に落ちた時に見たあの夢と同じ光景だ。
相も変わらずあたり一面を赤く汚した人間と魔物たちの死体の山、
そしてさらに相も変わらず、死体に囲まれた中央で
スケッチブックに何かを書いている幼き頃の私だった。
顔を蹲め、スケッチブックになにかを書くことに集中している幼き私……。
すると私の存在に気付いたのか、幼き私はゆっくりとこちらに振り向いた。
………また会ったな…
私のこの夢のような意識のなかで、そいつに話しかけてみた。
『…………………』
相も変わらずの無表情、しかし其の目はなぜか
また来たのか と私に述べているような気がした。
そしてあの時と同じように、その幼き私は手に持つスケッチブックを
私に見せ、先程まで書いてあったであろう文字がそこにあった。
『オマエニヤツラヲミチビクケンリアガアルノカ?』
本当に相も変わらず、赤き血で殴り書きされているそれ………、
そしてまた私の視界は黒く染まり、暗転するのだった………。
重い瞼を上げた私が見たのはどこかの天井のようだった。
目が覚めると同時に、記憶を辿ればここがどこなのか予想がつく……。
するとそんな私の視界に……二人のダークプリーストが映りこんだ……。
「お目覚めになられましたか?」「どこか痛みはございませんか?」
現状から察すると、どうやらこの場所は医務室の個室らしい。
おそらくキャスリン将軍の拠点の医務室だろう。
それも一人用のベッドしかない所から察するに特別医務室といったところか。
なにか夢を見ていたような………ああだめだ、思い出せない………。
「ああ……、大丈夫だ。痛みも疲れた感じはない」
「そうですか、それはよかった」「それなら私たちも安心です」
「お前たちは……まぁ聞かずとも予想もつくか」
「はい、私どもはキャスリン将軍の命にて貴方様を看護しておりました」
その二人のダークプリースト、姉妹なのだろうか?
息も合っている上、顔が非常に良く似ている。
一応魔物にも図鑑とは違って、其々にも顔の特徴などで多少の違いはあるが
この二人はまるで鑑あわせしたかのように瓜二つだ。
私は自身の手を見て、握り開いたりを繰り返し、体の完治を再度確認し、
二人に聞いたところ、あの森での戦いから二日ほどが経ったらしい。
いや、戦いの最中に夜二十四時は確実に経過していただろうから
約一日といったほうが正しいかもしてれん。
しかしそれでもそんな永いこと寝込んでいたこととなる。
私は部屋の窓から空を見た、太陽の位置から時刻は昼時だと伺える。
「そうだ………ほかの…私の隊員たちは?」
「命に別状はございません」「みなさん別室で元気にしています」
「ただ、リザードマンのお方…
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