戦いから見出すもの。
人によってそれは異なるだろうが、
私たちは魔王軍にとってそれは自分たちの強い『共存意志』である。
本能が人間の性を求め、血を流し死を招くことを嫌い、
共にこれからの時代を愛と共に歩んでいくという
魅惑的ながらも、意志の強い願望………、求める未来なのである。
しかしだとすると、我らの敵マスカーの嫡子。
マスカー・グレンツ・レインケラーが戦いの中で見出し、求めるものは
長き歴史で古き時代からの魔物と人間が続けてきた生き残り合いからなる
『闘争本能』なのかもしれない。
いわば、絶対武力・反魔物国家マスカーは
魔物が男の性に飢えているのと同じように…………
戦いに飢えているのかもしれない……………。
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≪主人公:ザーン視点≫
マスカー・グレンツ・レインケラー率いる聖甲兵部隊。
ゼム・バンドー率いる騎馬聖兵・飛射兵部隊。
この侵略部隊を退けた私たちは現在、
クレデンの森を後にし、山林軍事演習場の森を
魔王軍の魔物たちと共に引き上げようとしていた。
夜の闇に包まれた森をゴブリンやオーク、魔女など
が疲れた足取りで引き上げていき、
ホーネットも素早く飛ぶ気力すらもないようで、
低空をトロトロと飛行している。
傷のひどい者や歩くことがままならない者は、
あらかじめ用意していた馬車に乗せてもらっており、
その行列をホーネットのネルディが誘導している形になっている。
そんな列からはぐれないように何人かの魔物が松明を照らし、
キリアナやノーザがはぐれた魔物などがいないか列を監視しに回っていた。
ケンタウロスやハーピー種のああいった機動力は羨ましい限りである。
そしてこの列にはスーアのところのサハギンたちも含まれている。
彼女たちはこの森に住む魔物だが、戦場での戦闘支援、
今回の戦いでの作戦は彼女達のおかげで成功したようなものだ。
キャスリン将軍はその礼へと自身の拠点へとサハギンたちを招待したのだ、
はじめはサハギンたちも遠慮したが、
将軍からしてみれば、戦闘で負傷したサハギンの手当てもあれば、
彼女たちのこれからの協力関係をより深く築いていく必要がある。
そうすれば、この山林地帯演習場での
非常時のトラブルを彼女たちに助けてもらえるだろう。
そして私はその列の流れを誘導しながら、
とある『水晶』に向かって会話していた。
〔ではマスカー・グレンツ・クランギトーは取り逃がしたのか?〕
「申し訳ありませんカナリア公。ですが、
敵は我々の想像を絶する強さを持て余していました。
むしろ損害が少ないことが幸いです………」
〔貴様の意見など聞いていないぞ人間がッ!
たくっ、もしも隊の誰かが命を落としていたら
お前の命を地獄に落としているところだ………ッ!!〕
「……………………………」
私は『水晶』の向こう側にいるカナリア公の苛立った姿を見ながら
とりあえず押し黙ることにした。またなにを言われるかわかったものではない
おっと君にも説明しないとな、久しぶりに……。
私が今話しているヴァンパイアのカナリア公は水晶に映っているのだ。
この水晶と言うのが、バフォメットや魔女などが作り上げた魔道具で
離れた相手にも互いの姿を映して会話できるという優れものだ。
君の世界で言うテレビ電話などに近いだろう。
ちなみに会話したい相手を特定する方法は、
君の世界の電話番号のように、特別な詠唱を唱えることで可能とする。
発明当初こそは大変話題を呼んだが、
高価ではあるものの、今ではごく当たり前のように大陸中に普及し
マスカー含む、世界中がこの水晶を有している。
「それでなのですがカナリア公。
魔王軍はもちろん、第四部隊の隊員たちも疲れております。
一旦、キャスリン将軍が統一する魔王軍正規拠点で休養をとり
疲労や傷を癒した次第でそちらに帰還しようと思います………」
〔…なんだと……?〕
カナリア公が眉間を歪める、見るからに反感意志の塊だ。
すると水晶を覗き込む私の隣から
キャスリン将軍が割って入り、水晶を覗き込んだ。
「カナリア総隊長殿、キャスリンよ。
これは私たちからの要望でもあるのよ、今日はもう遅すぎるし、
そっちについた頃には朝になってしまうわ。
私の拠点ならここからすぐだし、
ちゃんとした休養設備もあれば移動用の転送陣だってあるわ。
そちらの人員を借りるような形になるけど、かまわないかしら?」
〔………………〕
「それに、今回の戦闘はマスカーの重要人物である敵嫡子
マスカー・グレンツ・ク
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