後日談

「うウ…」

 どんな顔をシテ、扉の先にいる彼にどう話しかければいいノカ、分かりマセン…

 ── 滅多に無い機会デシタ。
 色々な女性が食指を伸ばしていた彼ハ、とにもかくにも警戒心が強いとイウカ、
 他人に対して見えない壁を作ってイテ。
 二人きりの時は少しましになっテモ、上手く躱されると聞きマス。
 それも後からそうと分かるぐらいニ、然り気無く丁寧ト。

 親切に付け込むような真似はちょっと心苦しかったケレドモ、
 折角の機会を逃したくなくて家に来るように誘導シ。
 そのまま眠らせるだけでもよかったトコロ、つい魔が差シテ。
 襲いかかったのは後悔していないデスケド、逆に襲われ犯されてしまっテハ。
 まあ嬉しいことは嬉しいんデスガ…


 ─── コンコン ───


「ハイッ?!」
「あ、起きていましたか。朝食を用意してありますけど、食べますか?」
「ハ、ハイ。もう少しシタラ…」
「了解しました。ごゆっくり」

 自分の家だというノニ、何故か気後れしてシマイ。覚悟を決めテ、扉を開けマシタ。


 …
 ………


 ─── パクッ ───

「モグモグ…量が多くテ、しかも美味しいデスネ」
「そりゃ本職のですから。コンビニのケチりようとは違いますよ」

 あの後リビングに行くト、シャワーを勝手に使った事を詫びらレ、私もシャワーを浴ビ。
 近くの商店街のパン屋さんで買ったといウ、サンドイッチや惣菜パンを食べてイマス。

「台所を使おうと思ったら、化学実験室だったのは驚きました。大丈夫なんでしょうね?」
「エット、まあソノ、ハイ。後で説明しマス」

 キッチンはこちらに来てからズット、魔法薬を調合する為に使ってイテ、
 元の役目は飲み物用の湯沸かしぐらいになってイマシタ。

 ア、このコーヒー、私が淹れるのよりオイシイ…
 彼が本に目を移して会話が途切レ、その姿を眺めながら静かに食べ進めマス。


 …


「へぇ。じゃあ他に貴女みたいな人?魔物娘?は居るんですかね?」
「エエ。確かワン先生は白澤という魔物娘デス。他にもこの学校にはかなりの数…」
「妙に美人が多いと思ったら、そういう事でしたか」
「信じるのデスカ?」
「体験してしまいましたから」

 食事が終わりコーヒーのお代わりを渡さレ、「説明、してくれます?」という言葉と
 圧力に負ケ、素直に話しマス。
 別の世界からやって来た事、どういった存在であるのカ、その他聞かれたことヲ…

 昨晩の経緯を話すト、呆れが混じったようなため息を吐かレテ、
 ムゥッと不満を募らせマシタ。

「八方美人とは言いませんケド、誘っているのに手を出さないノハ…」
「そこについては、文句言われても仕方ないと思っていますよ。でもね」
「ムー…」
「他人の飲み物に薬を盛って」
「ウッ」
「自身の家に連れ込んだ上で閉じ込めて」
「ウウッ」
「自由を奪い、襲いかかる。どうみても普通はアウトですよ?」
「…ハイ」

 それについテハ、実際言い訳しようもありマセン…


「と、聞き忘れた事がありましたね。…黒魔術師の契約紋って、どういうものですか?」
「…!」

 悪魔の契約紋を真似て作られたこの契約紋ハ、私 ── つまり魔物娘 ── の性的欲求が
 相手に伝わって作用するというモノ。
 本家のものとは違ってこちらからの一方通行だけデスガ、その分お手軽で
 様々な種族に使われてイマス。
 相手の性感を操作し行動に影響を与えるという点デハ、ある種の従属魔法みたいなものデス。

「、こんな感じデスネ。…もし嫌でしタラ、解除もできマスヨ」
「特に嫌という訳でもないですし、いくら妊娠しにくいとはいえ散々ヤッてしまった以上、
 今さらそうするのもちょっと憚れますし。あと…」
「?」

 彼を見てみると気恥ずかしそうに目を反らシ、頬を掻いてイテ。

「あまりにも気持ちよかったので、もう他では満足出来そうにないというか…
 忘れる事が出来そうにないというか…まあ、その、そういうことです」
「ッ
#9829;
#9829;」

 つまりソレハ、私の体の虜にナッテ、溺レテ、堕落してしまったというコトデ。
 昨晩の濃密過ぎる交尾ト、子宮に飲まされたザーメンの味を思いダシ。
 胎がジュンと疼キ、膣がとろりと涎を潤わセ。

「…って、何で盛っているんですか?!」
「エヘ
#9829;」

 契約紋がある状態で発情してしまうト、当然ながら彼にも伝わることにナリ、
 そのズボンの盛り上りようニ、ついつい顔を緩めてシマイ。 

「午後に顧問をしている部活へ顔を出しますから、する暇はありませんよ」
「ウゥ〜…」
「我慢…出来ますかね?」
「無理デス」
「.」

 彼が口をつけようとしたカップがピタリと止まりましタガ、笑顔でゴリ押しシマス。

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