ベリルの紹介と晩ごはんを兼ねた食事会が開かれる事が決まり、ベリルとメタリアは部屋を出てその部屋へと向かった。
「姐さん姐さん」
後ろの方から呼ばれた声にベリルは私の事?と疑問をもって振り向いた。
「姐さんの名前を知らないから、このままスルー?スルーされるの?内心ドキドキでした」
そこには修道服を着ていない女性がにこやかな笑顔をして立っていた。
「あたしはベリル!名乗ったから姐さんと呼ぶのは止めて!」
「周りから聞いた話によると姐さんは大変苦労されたようで‥。後でその苦労話をじっくりと聞こうと思ってます。ぇと‥確か…聖女さんと一緒の部屋って聞いたけど‥間違いない?」
その女性はベリルをスルーするように視線を移してメタリアに確認するように聞いた。
「はい。私と同室です」メタリアは笑顔で返し「ありがとね」その女性はお礼を言うと2人を抜き、手を大きく振りながら食事会が開かれる部屋の方へと行った。
「今の誰?」
「あの方はアゲートさんです。教会に様々な品を持ってきて下さる方なんですよ」
「ふ〜〜んそう」
ベリルはさして興味が無さそうに答え、メタリアの案内で食事会の部屋へと行った。
「ここ!!ここ!!」
アゲートは2人を見つけると存在をアピールするように大きな声と手を大きく振っていた。
(あの手の人はスルーして適当に座っても自分から来るでしょうね‥。それにメタリアもスルーを容認をしないでしょうね‥)
ベリルは内心、諦めに近い溜め息をついてアゲートとメタリアに挟まれるように席についた。
食事会が終わり、部屋に戻るベリルとメタリアの後ろをついていくようにアゲートも一緒になって歩いた。
「なんであんたもついてくるの?」
嫌そうな目と溜め息を出してアゲートを見て言った。
「姐さんの苦労話を聞く約束をしましたから♪」
ベリルの様子に悪びれる事なく笑顔で答えた。
「だからあたしは姐さんじゃ……」
「なぁ?聖女さん?」
ベリルが言いかけた事を華麗にスルーしてメタリアにわざとらしく確認をとり「はい。アゲートさんが後で聞くと言って、ベリルさんは……」
「ああ‥もういい!いいから。分かりました。話します。話せばいいんでしょ」
逃げ場がないと悟り半ば自棄になってシスターとは程遠い仕草で話した。
「ベリルさん‥はしたないです」
「はいはい。どーせあたしは育ちが悪いですよ。品行方正とは程遠いですから」
(とは言っても‥嘘で塗り固めた話なのに…。それにメタリアが変な気を使って更に逃げられない所まで追い込まれるのは目に見えるから‥この際だから2人をサキュバスにすれば解決するかしら?)
等々考えている内に部屋のすぐ目の前まで来て「どうぞアゲートさん」メタリアは自室のドアを開けてアゲートを招き入れた。
「聖女さん。悪いんだけど‥姐さんと2人になっていい?」
申し訳なさそうにメタリアに告げ「私は廊下にいますので話が終わりましたら呼んで下さい」メタリアは部屋を出ていった。
「魔物娘を敵視している所で同族というか似た者というか‥会うとは思わなかったよ」
アゲートは人の姿から刑部狸の姿に戻った。
「いつから気付いていたの?」
「直感というか匂いというか‥そんなとこ」
(直感と匂いって別物じゃないの?)
「私も姿を解かないとね。それに人化ってホント疲れるのよ」
ベリルは修道服を脱ぐと姿を戻した。
「姐さんはサキュバスか‥。サキュバスが教会に何の用があるの?修道女全員をサキュバス化したいって野望とか?」
「あたしの場合それとは違って……」
メタリアとの事情をアゲートに話した。
「なるほど‥それは聖女さんらしいね」
「姐さんの場合、がさつというか大雑把というか‥人化している時に身体から魔力が少し漏れるんですよ。だから敏感な人なら関知するかもしれません。人の中で生活するなら改めたほうがいいですよ。本当の所それで姐さんが人間じゃないと気付いたんですが……」
「がさつや大雑把で悪かったわね」
「話たい事はこれで終わり。サキュバスが生き方に苦労するとは思えないから、嘘っぽい苦労話を聞くのを止めて出ていくね。あと‥聖女さんを連れてくるね」
アゲートは人の姿に戻り、部屋を出ていくとそれから、メタリアが入ってくる頃にはベリルは人の姿には戻らず、ベッドの上で仰向けで天井を見ていた。
「脱いだ服はちゃんと畳んで下さい」
「あー‥。今日なんかすっごい疲れたら、それどころじゃないの‥。人の中ってホントに疲れるわ…」
「疲れたのですか?ご飯を食べている時や皆さんと話している時のベリルさん。本当に楽しそうな顔をしていました」
メタリアはベリルの脱いだ服を手に取り、ベッドのすく近くの床に座ってベリルを見て話している。
「そう‥。実際、本当に楽しかったのかもしれない。話すこと自体嫌いじゃないから。でも
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