少女と女性のちょうどその中間に位置する彼女、メタリアは物心がついた時からこの教会の聖女として崇められ、その信仰を集めていた。
出立の式が無事に終わった後、全員が無事に帰ってくるように教会の外にある聖母の像に祈りを捧げた後、(主よ教えて下さい。人も魔物娘も同じ1つの命。尊い命をなぜお互いに奪い合わなければいけないのでしょうか?)心の中の疑問を問いかけ、再び祈り、その祈りは1人の名前も知らない騎士の無事を強く願っていた……。
そして、近くの樹に何かが落ちた音で祈りは中断され、その音の正体を探るためにその樹へ近づき‥自身と同じような年頃の魔物娘が傷ついて倒れていた。
メタリアはその魔物娘の手首を取ると脈をはかり、生きている事を確認し、傷の手当てのために自室に運ぼうとするが‥彼女1人の力では運ぶ事が叶わず、この場で傷の手当てをする事を決心し、教会の周りに生えている薬草を摘んでいき……集めた薬草を力一杯握り、その汁を傷に塗っていった。
時間を置いて傷が塞がっていった事に安堵し、再び手首を取ると胸元に当てて、自身の心音と脈拍があまり変わらない事を確認すると、そのまま魔物娘が目を覚ますことを望み目を閉じて強く祈った。
「ねぇ?ねぇってば?あたしの手離してくれる?」
どれだけ祈ったか分からない。聞いたことがない声が聞こえて目を開け、そこには傷だらけだった魔物娘が目を開けてメタリアを見ていた。
「ご、ごめんなさい」
メタリアは謝ると同時に慌てて手を離した。
「なんであなたが謝るんだか‥。あたしの傷を手当てしてくれたのはあなたなんでしょ?………」
魔物娘は身体を軽く起こし、目の前の建物を見て絶句した。
「最悪…。よりにもよって教会に落ちて、そこの人間に助けられるとはねぇ……私を生かしてどうするつもり?仲間の事を尋問するつもりなら‥おあいにくさま何も話さないよ」
「いえ‥違います‥。ただ‥」
「ただ‥?」
「人も魔物娘も1つの命だから‥。失われてよいものとは思えません‥。それに‥あなたにだって親や兄弟はいるのでしょう?その方たちがあなたの命が失われたと知ったら‥悲しみに…暮れると思います‥だから……」
メタリアは話ながら涙を溢し、魔物娘はその様を見ていた。
「分かった。分かったから。あなたを疑いの目で見ていた事を謝る。謝るから‥だから‥泣くのを止めてよ…。それに泣かれたらコッチが困るから‥」
「ごめんなさい‥。」
(だから‥なんであなたが謝るの?)心の中で悪態をつき「取り敢えず、まずは自己紹介から。あたしはベリル。見ての通りサキュバス。あなたの名前を教えて」
「メタリア‥です‥」
「ありがとうメタリア。傷を直してくれた事は素直に感謝しているわ。でも‥ここから早く動かないと誰かに見つかっただけでもね‥」
ベリルは言いながらも横目でメタリアを見て‥(まだ泣いてる‥。泣いている子をムリヤリ引き剥がして、はい。さよならってのは気が引けるわね‥。それに‥メタリアに命を救われたのは事実なんだけど…でもこのまま教会に長居するのも危険ね‥)考えを巡らせ、結論を出すと1つの魔法‥人化の魔法を唱えた。
(人化するとその維持のために精が欲しくなるのだけど‥仕方ないわね‥。羽根をボロボロにされた以上、もう飛ぶことが出来そうもないわね‥。だから、いざという時のために傷が完治するまでの時間は必要ね‥)
「メタリア。修道女の服とかがあったら貸してほしいんだけど‥」
「服ですか?」
「そう服。1着や2着なら余分にあるでしょ?しばらくは教会の中で少し身を隠そうとおもってね」
「それなら私のを使って下さい」
メタリアは躊躇う事なく服を脱ぎ出し……「止め止め止め……なんでメタリアが公開ストリップしてるの?」
「困っている方に手を差し伸べるのが私達の‥いえ、神に仕える者の責務と義務ですから」
(その責務と義務の中に私達を倒すのも入っているのかしら‥?)疑問の目でメタリアを見ていた。
「あの‥服は着ないのですか?」
メタリアは着ている服を全て脱ぎ終わると、畳んで両手の平に乗せてベリルに差し出し‥そして、引っ込みのつかないベリルは服を取り着ていった。
(それにしても‥あたしも際どい服装でいるけど‥メタリアは下着姿で平然と歩くなんて抵抗はないのかしら?それとも誰かの為にならってヤツ?)
メタリアが顔色を全く変えずにベリルを教会の入り口まで案内している事に別の意味で感心し、入り口のドアを開けて1人のシスターと出会った。
「聖女様!その格好はどうされたのですか?」
シスターは慌てて詰め寄り‥「この方は…」
「あ‥あの…。私が‥私の服が外の小枝に引っ掛けてしまい……。その‥聖女様が服を貸して下さいました」
ベリルはメタリアを遮るように強引に話を始めた。
「そういう事なのですか‥。分かりまし
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