ウェールはカストルと唇を重ねた時に僅かにその匂いを嗅いでしまい、軽く発情をしていたが‥彼女自身、今の自分が発情していると認めてはいなかった。
この先、誰にも邪魔されずにずっとカストルさんと一緒になれるから‥だから私がドキドキしてる。そのためにまず、お嬢様とグラースさんとリエータさんをなんとかしなくちゃ。
ウェールは不気味な笑みを浮かべたまま屋敷の倉庫へと入っていった。
倉庫からロープとナイフを持つとそのままグラースの部屋の前に立ち、鍵が掛かっていないことを確かめると静かに部屋に入った。
ロープを手頃な長さに切り、手足を動かす事が出来ないように手際よく縛り上げていくと次はベッドから身体が動かす事が出来ないように縛っていった。
グラースの身体の自由を奪うと鼻を摘まみ……息苦しさで目を開けるのを待った。
グラースは寝起き直後のぼんやりした思考でもこの異常な事態にすぐに気が付き、ウェールの顔を見ると反射的に口を開けたが、ウェールはその言葉を遮るようにグラースに話し掛けた。
「グラースさん‥。私、グラースさんのお陰で自分に正直になろうって思えるようになれたんです。だからグラースさんには感謝しています」
「ウェルちゃん?何の事?どうしちゃったのぉ?ねぇ‥私…ウェルちゃんに……」
ウェールはグラースが言い終わらない内にナイフを持つと、グラースは反射的にか細い悲鳴と共に唯一自由になる首を左右に降った。
「いやぁ‥止めてぇ……ウェルちゃん」
「グラースさんを刺そうなんて考えていませんから安心して下さい。ただ静かになってもらうだけです」
グラースの頭のすぐ上のシーツをナイフで切り裂いていった。
「ウェルちゃん…止めてぇ‥お願いだからぁ……どうしちゃったのぉ‥ねぇ‥止めぇ……」
ウェールはグラースの問いに答える事なく、切り裂いたシーツをグラースが話せなくなるように、その口から後頭部にかけて幾重にも巻いていき、端と端が解けないように強く結ぶとグラースの部屋から出ていった。
リエータにもグラースと同じようにすると、台所に戻り大量の水を持ってソイルの部屋へと入り、少しずつソイルの服に水を染み込ませていき……ソイルの身体が水に濡れた頃を見計らい、素早くロープで身体の自由を奪った。
「リエータ……何を‥する…は、早く……ロープを……解け」
リエータは何も答える事なく部屋を出て、大量の水が入った入れ物を3つ運び込み、それぞれを左右の手と足に浸かるようにロープで固定していった。
「拾って頂いた事を感謝しています」
「なら……早く……ロープを……解け……」
「私がカストルさんと一緒になるために‥ロープは絶対に解けません。カストルさんの事は私が深く深く愛しますから‥安心して下さい。」
「カストルの事なら……」
ウェールはソイルの言った事を最後まで聞かずに喋る事が出来ないようにすると、ソイルの目が全く見えないように覆った。
「光が一切差さない闇の中で身も心も快楽に支配されて下さい」
ウェールはソイル部屋に内側から鍵をかけると猫へ姿を変え通気孔から出ていき、リエータ、グラースの部屋も同じように鍵をかけるとカストルの部屋に入り、ベッドの上に乗り、朝起きた時に撫でてくれる事を期待し、足下で身を丸くして眠りに入った。
そして朝‥。
カストルは目を覚ますと、寝惚けた頭で誰も起こしに来なかった事に疑問を感じていた。そして‥足下に猫が居ることに気付くと足をぶつけないように気をつけながら身体を起こし、猫のすぐ横に座った。
いつもは触ろうとすると逃げるから、寝ている時しか触れないか…。
出来れば膝の上に乗せたい。乗せるとなればきっと起きてしまうから乗せられない。カストルはその間で葛藤しながら、初めて猫の毛の感触をその手に受けていた。
身体が空腹のサインを出すとその音で猫は目を開け……ベッドの上から慌てるように飛び出しドアを爪で引っ掻く素振りをした。
「部屋から出たいの?」
猫はカストルの方へ向くと軽く短い鳴き声を上げた。
カストルは猫を撫でる事が出来る時間が終わりを告げた事に残念がり、部屋のドアを開くと猫が一目散に出ていった事に呆気に取られて……その直後、ニ度目の音がなり、食事を求めて台所の方へと向かった。
カストルが台所に着くとウェールが朝食の支度をしていた。
「カストルさん‥。おはよう……ございます。あ、あの‥ごめんなさい‥。寝坊をして……しまったので……その‥朝の…食事が……遅れて……しまい‥」
カストルはウェールの息が絶え絶えになっているのは急いで来たからだと思い特に気にしなかった。
「寝坊なんて誰にもあるから気にしなくていいよ。今日は珍しくみんな寝坊なのかな?」
「私が……今ここにいるのに!!なんで……なんで‥みんななの…!!」
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