男は1人で森の中の道を歩き続け……大きな屋敷の前に着くと門を叩き……暫くすると、屋敷からオーガが出てきて門を開けた。
「よくきたな」
屋敷の客人である筈の男にごく普通に接している。庭の道を一緒に歩き続け……オーガは屋敷の扉を開けて男を中へと招き入れた。
男はオーガに1つの部屋へと案内されているその途中にネコマタとすれ違い、笑顔で挨拶をした。
ネコマタは足を止めると、顔を真っ赤にしながら男にお辞儀を返すと男とオーガが通った廊下をそのままの方向へと行った。
「今のネコマタは?」
「お嬢様が連れてきたウチの新入り。男って奴は気が多いのか?女を見るとすぐにヤりたくなるのかね?」
「僕はそんなつもりで……」
「まっ‥アタイもあんたと初めて会った時は今みたいな笑顔で挨拶されたね」
廊下を歩き、階段を上がりながら男とオーガは話をしていた。
「なぁこれからお嬢様に血を吸ってもらうんだろ?興奮して汚いモノをおった勃てて…欲望でお嬢様を穢すくらいなら…」
「ぼくは……」
男が反論しようと口を開いたが‥それを聞かずに更に畳み掛けた。
「お嬢様の貞操を守るために‥今すぐアタイの物になれ!!それとも……ま、まさか‥お嬢様は既におまえに穢されているのか?
だが‥いや…血の付いたシーツはアタイが気付かない内にグラースが洗っていたら……」
男は独りで盛り上がっているオーガに対して心の中で溜め息をついた。
「まぁ‥冗談だ。気にするな。だが‥お前がアタイの物になるならいつでも歓迎する」
男は苦笑いを浮かべ…オーガと談笑(?)をしながら1つのドアの前に立ちノックをした。
「ソイルお嬢様。カストルさんをお連れしました」
「そうか。リエータありがとう」
「私はこれで‥」
リエータは踵を返し……
「興奮して、おっ勃てるのは自由でいいが…お嬢様の服もシーツを血で汚してくれるなよ。洗う方の身にもなってくれよな」
カストルに一言漏らすとリエータは元来た道を戻っていった。
場所は変わり屋敷内の台所で先程のネコマタとホルスタウロスが昼食の用意をしながら会話をしている。
「グラースさん。今‥リエータさんが男の方と歩いていたのですが‥あの男の方はどなたなのですか?」
「そっか…ウェルちゃんは日が浅いから初めてなのね。ウェルちゃんが見た人はきっとカストルさん。お嬢様とは許嫁で……旦那様とカストルさんのご両親が決めた話なんだけどぉ……許嫁を勝手に決められてお嬢様は最初の内は『私の事は私が決めます!!』と旦那様に猛反発していたんだけどねぇ……」
ゆっくりと語尾を伸ばしてウェールに説明を始めて……グラースは何かを閃いた。
「ウェルちゃん。良い事を思い付いたからぁ…リエタちゃんの時間が空いてたら台所まで来るように呼んできてくれるぅ?」
「はい♪」
ウェールは返事をすると台所を急いで出て行き………ソイルの部屋に向かおうとしたその途中でリエータと会った。
「血相を変えて何かあったのか?グラースが鍋の中に頭を突っ込んだまま寝てたとか?」
「違います!リエータさんの時間が空いていましたら台所に来てほしいとグラースさんから伝言を受けたんです」
「時間なら空いている。グラースは入浴中にうたた寝をして危うく溺れかけたりとか‥調理中にうたた寝をして身体の毛を焼いた事もあったからな。鍋に頭を突っ込んだまま寝ていても不思議はないだろ?」
リエータの言った事を想像して……グラースならあり得ると確信した時‥
「今のは嘘だ。まぁ‥その間に受けないでくれ」
………。ウェールは何かを訴えるような目でリエータを見ると、リエータは視線の意味を理解して気まずそうに話を続けた。
「グラースは仕事中は失敗しないが……オフになった時は凄い。数分放置したら直ぐに寝る。それもどこでも寝る。あれはある種の特技だろうな」
ウェールはそれについては心当たりがあり、だからこそ先程のリエータの嘘を信じてしまった。
「そういえばアタイは台所で何をするんだ?」
「良い事と聞いたたげですので……詳しくは分かりません」
「そうか」
リエータは返事をすると2人は台所へと向かった。
「ウェルちゃん。リエタちゃんを連れてきてくれてありがとう♪」
「だから‥ちゃん付けは止めてくれって何度言えば……」
「今日のお昼はテラスで食べようと思うのぉ。私とウェルちゃんで作るからリエタちゃんも運んでくれると助かるかなぁ?」
グラースはリエータの心の訴えを全く聞かないで話を進めた。
「わかった。わかった。テラスまで運ぶついでにお嬢様とカストルに声を掛けてくる」
「リエタちゃん。ありがとうねぇ」
リエータは心の中で溜め息を付き、ウェールはその2人の様子を見て微笑んだ。
「そういえば……」
調理中にグラースは人差し指を顎に当てて何かを考え始めた。
「ん?どうした?」
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