2話 浅葱君は私が絶対に守るね

授業を担当している教諭は状況を把握するために「自習にする」と一言告げると教室を出ていったが…教諭が居ない事を良いことにクラスの半数近くが自習をせずに今の事を興味本意だけで話をしてその話で盛り上がっていた。
彼は―女性徒の身に起きたことを自分の事のように心配し何も手付かずだった事に対して、彼女は―アレダケノケガヲオスレバ、アサツキクンヲダブラカスコトハデキナイデショウネ。彼女は女性徒が担架で運ばれている様子を見ていないのに怪我の具合まで完全に知っていた。

そして時間だけが過ぎていき………授業終了を知らせるチャイムが鳴った。

授業が終わるとほぼ同時に彼は教室を急いで出て保健室のある方へと向かった。その様子をつぶさに見ていた彼女は―アサツキクンハアノオンナニタブラカサレテイル。ダカラ‥ワタシガアノオンナカラアサツキクンヲマモラナクチャ。
彼女はゆっくりと席から立つと彼と同じ方向へ歩き出した。
ワタシハ‥ワタシダケガアサツキクンニタヨラレテイルノ。ダカラ‥ワタシガアサツキクンヲマモラナクチャイケナイノ。ソウ、アノオンナカラアサツキクンヲマモラナクチャ…マモラナクチャ…マモラナクチャ……。
彼女は胸に秘めたる想いを全く顔に出さずに休み時間で生徒の多い廊下をゆっくりと歩いて保健室に向かった。


彼が保健室の前に着いた時にはドアに『急用のために外出中』のプレートが掛かっており、鍵も掛かっていたので彼は諦めて教室に戻ろうと踵を返した所で彼女に会った。
「あっ……楪」
「浅葱君どうしたの?」
「保健室で湿布を貰おうと思って来たんだけど先生が留守で入れなくて」
彼は咄嗟に嘘を吐いたが彼女はその嘘を見抜いていた。
ネェアサツキクン。ワタシニウソヲツイテデモ、アノオンナニアイタカッタノ?デモアノオンナハ、ホケンノセンセイガチョクセツビョウインニツレテイッタカライナイノヨ。
彼女は状況を見ていたかのように知っていた。
「楪こそ保健室に何の用事で来たの?」
「私?私はお薬を貰おうかなって思って」
彼女も彼に嘘を吐いた。
「薬?どこか悪いの?」
彼女は彼の後ろにある保健室のドアに触り開かない事を確認している。
「ドア‥開かないわね。女の子の身体は男の子と違ってデリケートだから…薬でも貰おうかなって思ってね」
「そっか‥」
彼は深く追及するのを止めて教室に向かおうと何歩か歩いた所で後ろから強く首を絞められた。
彼女の右腕が彼の首を捉えると右手の平を左腕の二の腕に当てて彼の首に力強く自らの腕を押し付けて力を加えて首を締め付けていく…彼は急激に酸素を奪われた事で身体を動かす事―抵抗が出来ずにそのまま彼女に首を閉められて意識を失った。
彼女は彼が意識を失い身体が自身にもたれ掛かるとそのままゆっくりと彼の身体を床に寝かせるてから膝枕をして彼の頭を優しく撫でた。
アノオンナカラアサツキクンヲマモルタメニハコウスルシカナイノ。ダカラ……
彼女は何かを決心した顔になると膝枕で彼を撫でるのを止めて彼の頭を優しく床に置くと立ち上がって彼の上半身を起こし踵を引きずりながら運び出した。



彼女は体育館の用具倉庫まで彼を運ぶとマットを1枚床に敷き彼をそのマットの上に寝かせると声が出ないようにするために口にテープを貼ると腕は頭を挟むように伸ばし、伸ばされた腕は手首で交差させて、その交差した箇所を大縄跳び用の縄で簡単に解けないように縛り、縛っていない側の端の方を持って弛みがないようによく伸ばすと窓の格子に解けないように強く縛り付けた。
そして足も手と同様に足首を交差させて縄で縛ると同じように反対側の端を窓の格子に縛り付けて身体の自由を奪うと彼の腰の上に座り目が覚めるまでその安らかにしている顔を見続けた。



彼は目を覚ますと自分が寝かされている事や自分のいる場所を認識する前に手足が全く動かせない事に混乱した。
「浅葱君。おはよう」
彼は彼女の声を聞くと反射的に声のする方に首を動かして――彼女を視界に捉えて…彼女が自分の身体に跨がっている事に驚き衝動的に声が出たのだがテープが貼られているために「んー」や「うー」しか発する事が出来なかった。
彼女は徐に立ち上がると彼に添い寝をするように寄り添い耳元で囁いた。
「ここは体育館の用具倉庫。だから回りに見覚えがあるでしょ?それに浅葱君にも隣でボールが跳ねる音や授業の声が聞こえるでしょ?だから大きな声を出したら見つかっちゃうよ」
彼は耳を澄ませて隣から聞こえる声や音を聴くと頷いて意思表示をした。そして、恐らくは彼女がこの異様な状況を作り出したと考え、それに恐怖を覚えつつも彼女と身体が密着している事に彼の男の部分が素直に反応していった。対して彼女は彼に寄り添って囁く事しか考えていなかったために、彼女の足が彼の股に触れていた事に全く気づいて
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