店主と材木

「リン、この大量の材木は何?」
店内に所狭しと積まれ、店の前にも溢れている丸太や加工された木材。
相変わらずカウンターの中にいる男、リンが面倒臭そうに答える。
「何って・・商品だろ?」
確かに季節はもう冬に近い。
とはいえ、家屋補修や薪にするには少々大きすぎる。

「商品なのはわかるけど、
その使い道くらい言ってくれても良いじゃない?」
アレクが自分の尻尾でひたひたと手近な丸太を叩く。
「情報も商品になるって前にも言っただろうが。
お前が知りたいなら、相応の情報料払うか?」

裏通りにあるこの店は、
扱う商品が無いと言われるほどの取り扱いをしている。
物資、食料、人員、武器、防具、情報──。
確かに金さえ積めば大抵の物は手に入るが、
それ以外の付加価値や金で解決できない
いわば後ろめたい所にも手を出しているという噂もある。

「・・そんなお金、無いもん」
ぷう、とふくれ面をするアレクは
いつに無くまじまじと見つめていたリンに気付く。
思わず赤面。
「リン、また私をからかっているな?」
ますますふくれるアレクをあしらいながら、リンが返す。
「ご名答だ。さて──そろそろ来るはずだ」
カランコロンとドアベルが鳴り、
ズルズルと入ってきたのは一人(匹?)のスライムだった。

「その様子だとだいぶ冷えてるようだな、外は」
半分シャーベットのように固まった部位をストーブで暖めながら、
スライム娘が言い返す。
「私が隙間から入れない位になっちゃうんだもん」
「そうかい、試作のブツは夕方ヘレネが持ってくるから、
しばらくその辺で待っててくれ」
リンとスライム娘が何かの打ち合わせを始めたので、
アレクは仕方なく店を後にした。
「リンのドケチ虫・・」
10/06/23 19:11更新 / 市川 真夜

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