「お主・・こんなに貯め込んでおったのか!?」
小国の国家予算にもなりかねない金額を目に、リンは不敵に言い返す。
「先日、俺の所に面白い情報が入ってな。
某国が外交面で強気に出てきたんだと。交渉の材料の中に
魔具を臭わせる発言があったんだとよ・・」
その外交によって少なくともこれ位の損失は出るだろうと踏んで
財政部に揺さぶりをかけた所、
「対抗できる魔具の入手」を条件に王政から予算を頂戴したというのだ。
「お主・・どこまで繋がっておるのじゃ」
「さあね?俺もわからんよ。で、どうする?」
同族のしでかした事に対する始末と代償。
これはサバトの縄張り争いにおいても大きな「貸し」になる。
何より資金も手に入る。
ユーリアにとっても悪く無い条件だ。
「よかろう、交渉成立じゃ」
「毎度、どうも」
人間の姿に化けたバフォメットが店を出ると、
リンはまた伝票の整理に没頭し始める。
「今月はやけに投資が多いな・・」
・・後日。
リンの思惑通りの展開になった外交交渉で思わぬ好結果になったと
ハーピーの便りで知ったリンは、
その足で酒場に向かい一人祝杯をあげたという。
また、某国とそのバフォメットは周囲より手痛いしっぺ返しを喰らい
その支配範囲を大きく削られたそうだ。
これを知ったユーリアもまた、魔女達と盛大に祝い
新たな縄張りの確保へと進出したと聞く。
人間の支配欲もそうだが、
魔物娘達は魔物娘達なりにしがらみがあるのだな。
そうつぶやきながら茶をすする。
「また客と面倒が増えるが・・まぁ、いいか」
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