護衛と茶葉

本当に一瞬でケリが付いてしまった。
「面白くない!」
アレクが動き足りなさそうに文句を言う。
一撃で伸びた兵を一人叩き起こし、
「俺達は中央へ向かうんだけどな、
今ここで起きた事は本部に報告すべきか否か?」
リンが問いかける。

ものすごい勢いで顔を横に振る兵を解放すると、
証明書を書かせる。
「俺達が一般の商人だと証明すると書いとけ。
そこで伸びている同僚のサインも忘れるなよ?」
「・・わかった」


この証明書の効果は抜群だ。
道中幾つかの検問や非常線があったが、ことごとくパス出来てしまった。
軍の紋章が入った証明書か、これは便利だな。

思いもよらぬ効果で、中央都市へ予定より早く到着した二人。
適当な宿を見繕い、荷物を置いて一息つく。
「飲むか?」
出来たばかりの茶が入ったコップを差し出すリン。
それを受け取るアレク。

「リンはさ、本当にこのお茶が好きだよね」
ずず、とすすりながら聞いてくるアレクは、どことなく嬉しそうだった。
「そりゃあな、お前さんが取って来る茶葉は中々手に入らないからな。
普通にこの茶を流通させるだけでも充分儲かる・・
──まさかお前さん、今まで知らなかったのか?」
「え!?そんなに価値があるのこのお茶!?」
長いことアレクにはこの茶の採集を依頼してきたが、
まさかその対象がどれ程の価値かまでは興味無かったとは・・
いやはやである。

「だって私、護衛業の合間とかでやっているお小遣い稼ぎなんだよ?」
「それはお前さんの価値観、その道では結構な価値があるモンなんだ」
知らなかったと真顔で言うアレク。
「俺がこの茶以外で他に茶を飲んでいると思っていたか?」
「てっきり、どこでもあるものかと思っていたよ・・」

この茶と茶葉、アレクが想像しているレベルとは訳が違う。
並の冒険者では太刀打ちできないような所に生育している茶の木で、
ごく一部の限られた地方でしか採れないという代物なのだが──。
やれやれと頭を振るリン。愕然とするアレク。
10/07/09 02:51更新 / 市川 真夜

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