小鬼と朝食

「おお、見事に青あざだ」
翌朝、鏡を見たライザが顎下に出来たあざをさする。
「ゴブリン相手に手加減なんか出来るかよ」
と、トーストを寄越しながらリンが答えた。
かなり柔らかいパンのはずだが、それでもライザには
顎を動かすのがかなり辛いようだ。
「トースト半分返せ。ホットミルク作ってやる」
「・・あんがと」
ホルスタウロス特製のミルクをカップに注ぎ、湯煎にかける。
自分の分は紅茶に入れよう。

「さて、ライザ」
「ん?」
昨日の醜態をどうしてやろうかと考えながら、リンが問う。
「どっかに就職するか?それとも行商するか?」
「売るものが無いよ、雇われ人躯になるかなぁ・・」
ライザは今まで雇ったことはあっても雇われたことは無い。
誰かの下で働くなんて、今まで考えたことも無かった。
「日雇いとかか?」
「うーん・・わかんないや」

ほどよく温かくなったホットミルクを飲みつつ、考える。
自己流の商いしかしたことが無い自分に、何ができるのだろう?
「・・どっかで店員でもするかなぁ?」
「算盤片手にハイいくら、って?」
「そうそう」
キャラじゃないよね、なんて言いながら目線を落とす。
仮に心機一転するにしても、
今の取引先には失敗を伝えなければいけない。
それがライザにとって、何よりの心配事だった。

「へい、そこのお姉さん」
リンの調子外れなナンパの掛け声に、目が点になる。
「YouばっくれちゃいなYO!」
「・・あんた馬鹿?」
ふふん、と自身ありげにリンが言う。
「俺の予想だと、お前さんは反魔物勢とドンパチしようって連中とも
取引しようとしていたんじゃないか?」
「・・そりゃあ、まあ」
「いっそ、反魔物勢に捕まっちまえ」

あまりにも過激な発言。
「だって、そうすりゃ積荷はボッシュート。
お前さんは捕らわれの身。荷物もクソも無い」
それがどういうことか、リンに判らないはずが無い。
ドロシアの館にいるオレカノの仲間達と同様、
残酷な事にもなりかねないのだが。
10/07/02 20:53更新 / 市川 真夜

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