「ほう、あそこの菓子職人め・・なかなか腕を上げたのう」
手土産に持ってきたブランデーケーキに舌鼓を打つドロシア。
出された紅茶を置き、リンが切り出す。
「卿が食客にされたという者ですが、このような経緯がありまして・・」
包み隠さず事のあらましを伝える。
ケーキをすっかり平らげたドロシアが紅茶をすすり、口を開く。
「そうか・・あの者達には深く聞かなかったが──」
「卿、口の端に付いています」
「むッ・・失礼」
赤面しナフキンで拭うドロシア。失笑するユーリア。
「ドロシーよ、お主・・寝起きか?」
「・・色々立て込んでおったのでな。
──だが、今の話で私の方にも合点がいった」
国境付近の管理は彼女の仕事の一つだ。
やはり不穏な空気が流れているのだろう。
「私の所に流れてきた話では、
反魔物勢の中にいる同胞達が此方へ逃げようとしている・・
が、教会の手の者らがそれを阻んでいる──という所だな」
「じゃがのう、いくら森林地帯といえど
国境越えはあまりにも危険じゃあるまいかの?」
逆に、それだけ事態は急を要しているとも考えられる。
「そこで魔法具、か?」
ドロシアが聞く。リンが頷き、
「これは思想の違いですから・・
国家間で堂々と救出劇なんて全面戦争になりかねません。
そこで、これは俺の・・もとい、自分の想像の範囲ですが
魔法具を使って何かをすることで避難させつつ美味しい所も貰う・・
──魔法具に関しては専門家ではないので自分にはわかりませんが・・」
「結界と移動魔法、それに忘却じゃな、それも大規模の」
ユーリアが口を挟む。リストに目を通したドロシアも納得したようだ。
「それで、ユーリアだけでは魔力が足りないから彼女らにも助力を、と?」
「魔女達ではちと荷が重いからの。儂も思う所がある」
ユーリアの場合は単に義侠心の類ではなく、
「こんな面白いこと魔女達に教えたら面白みの取り分が無くなるではないか」
とか、そういった所だろう。
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