幼女と貴族

「これだけの種類ともなると・・儂一人じゃ厳しいのぅ?」
魔界の実力者、バフォメットのユーリアといえど
これだけの量・種類ともなると、やはり簡単にはいかないようだ。
魔女達に手伝わせようかとも思ったが、
どこから何が漏れ出すかわからない。
プライベートはとにかく、依頼としての立場であれば
ユーリアはこと手堅い。

「儂がもう一人くらいおればいいのじゃが・・むう」
「お前がもう一人いたらこの辺りは壊滅だ、滅多な事を言わないでくれ」
ダークプリースト達からもユーリア達の「勧誘」について
重々聞かされている。
手段を選ばない(彼女達にしてみれば)
卑怯な手口で次々堕としてしまうので、
私達の布教活動がしにくくなったと嘆いてくる始末だ。
種族間での縄張り争いも大変そうだなどと思い出していると、
ふといいアイディアが出てきた。

「この前の騒動で魔法具がどうっていうのがあったよな?
そいつらはどうしているんだ?」
リンの思いつきに成程と返すユーリア。
「あ奴らはドロシーの館に食客として居候しておったと聞いたの。
隣国から逃げるように飛び込んできたとか。
・・どれ、儂も行こうか?」

ここまで来るのに、馬車と徒歩でえらく時間がかかってしまった。
しかしユーリアなら転送魔法でひとっ飛びだろう。
リンが快く受け入れないはずが無い。



日が暮れ、国境に程近い豪華な洋館。
ヴァンパイアの女主人、ドロシア・ガーネット卿はそこにいた。
「このような時間に連絡も無くお伺いして申し訳ありません、ガーネット卿」
「構わぬ、貴様には色々面倒をかけたからな」
ヴァンパイアという種族だからだけでない、文字通りの威厳。
ドロシア本人としての資質も大きいのだろう。

「卿が最近新しく食客を迎え入れたと聞きましたので、
ご挨拶に上がった次第です」
リンが言うと、ドロシアが軽く驚いた。
「ほう、もう知ったのか。聊(いささ)か早すぎるのではないか?」
「儂が教えたのじゃが、問題はあるかの?」
飄々とリンの後ろから出てくるユーリアと、納得いった顔のドロシア。
「ユーリアの耳と口からなら仕方あるまい。
・・さ、立ち話もなんだから入れ。」
ユーリアとリンは応接間へと向かった。
10/06/25 18:57更新 / 市川 真夜

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