店を構えた商人にとって、行商人は大事な情報源や
貴重な商品を扱う取引相手だ。
いつだったかどこかで、
ワーウルフと行商人の噂も聞いた気がするが・・いいか。
「リンー!面白い物持ってきてやったぞ!」
そう言いながら人様の店の扉を蹴りで開けたゴブリン種族の行商人、
ライザはとりわけ大口の行商だ。
「お前さんの面白い物は当たり外れが大きいからなァ・・?」
リンが苦笑いしながらライザからの一抱えもある包みを受け取る。
──瞬間、腰に嫌な電撃が走る。
「ぐおッ!?」
思わずいつもの接客と同じように包みを受け取ったのがまずかった。
相手がゴブリンだということもしっかり忘れて、
容易く受け取ったリンも無謀だった。
目を白黒させながらも何とか持ちこたえるリンに、
ライザが駄目押しにと一言付け加えた。
「それ落としたらあたしも大損だからな?」
ライザの軽いいじめである。
「むぐううう・・」
湿布薬を腰に貼ったリンがカウンターで呻く。
包みの中には貴重な鉱石や原石がしこたま入っており、
大人一人分はあろうかと見積もって間違いは無いだろう。
腰の痛みと迂闊さでトレード・オフかな・・
渋い表情のままのリンに、ライザが詰め寄る。
「ちょっと大きい仕事があってさ、一口乗らないか?」
「・・また密輸か?それとも詐欺か?」
幾度と無くライザの面白い『外れの』仕事を担がされたこともある。
トントンどころか大赤字にもなったことがある。
だが、それでも長期で見れば概ね黒字か新規拡張の機会があった。
さて、今回は──?
「近々南方で親魔物勢が反魔物勢の一地区に攻め込むらしいんだってさ。
・・で、いろいろ入り用な空気がしているってワケ」
ライザの発言にほぅ、と相槌を打ちつつ勘定に走る。
武器防具の類か、在庫はあったはずだが・・?
「で、リンには魔法具の都合をして欲しいんだけどさ」
「魔法具・・?ロールとかの類か?」
「いやぁ、もっと派手なのがいいね。隕石召喚とかレベルの」
情報料を払いながら聞き返すリン。
何でまた魔法具がいるのだろう?
「ライザ・・?お前何を企んでるんだ?」
戦争ともなれば魔法具も大量に使うのは百も承知だ。
だが、そういった大規模戦闘で使うような物ならば
それこそ魔女達に直接依頼した方が良いのだが・・
「『ワケ有り』なら当然割り増しだぞ」
「わかってるって」
必要な魔法具のリストをリンに渡すと、他にも回るからと
ライザは急いで店を後にしていった。
「今回は赤字になりそうだな・・これは」
受け取ったリストの項目を確認しながらぼやく。
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