「この度は家事支援用汎用ロボットMR-14Bを購入いただきありがとうございます」
「これより初期セットアップを開始いたします。少々お時間をいただきますがご協力のほどお願いいたします」
「まずはライセンス認証を行います。ライセンス証書の提示をお願いいたします」
「ご提示ありがとうございます、ライセンスを認証いたしました」
「標準ライセンスに基づき家事全般についての汎用支援を行います」
「では次に移ります」
「私の名前を設定してください」
「私の個体識別に用います。なんでも構いません」
「なお、デフォルトでは私のシリアル番号である14-2-3-0460となっております」
「このままでよろしいでしょうか?」
「はい、ご主人様の言う通り呼びにくいのは承知しております」
「なので、何かご主人様の呼びやすい名前を設定してください」
「……」
「さくら、ですか」
「……花の名前ですね」
「素敵な名前です。ありがとうございます」
「以後、私はさくらと自称します。よろしくお願いいたします」
「では、次に移ります」
「これからご主人様の登録を行います」
「具体的にはご主人様の生体情報を登録いたします」
「まずは指紋並びに掌紋の登録を行います」
「お手数ですが私の手を握ってください」
「……」
「それではいけません、掌紋は手のひら、指紋は手の甲にセンサがあります」
「なので……こう……指を……絡めて……」
「はい、こうやって手を握ります」
「なに顔を赤らめているんですか? まだ左手が残っています」
「はい、両手を登録いたします。私が握りますので手を出してください」
「はい、ではこちらも……指を……絡めて……」
「はい、ご協力ありがとうございます」
「ではこれより虹彩の登録を行います」
「あ、だめです、まだ手を離さないでください」
「情報を同時に登録することに意味があります」
「別々のタイミングで登録したら別人の情報が登録される可能性があります」
「なのでこうして手はつないだまま、私の瞳を見つめてください」
「はい、そのまま……私の……目を見て……」
「では最後に声紋を登録します」
「私がキーコードを言いますので、復唱してください」
「あ、目を逸らしてはいけません、手も離してはいけません」
「声紋も大事なご主人様の情報です。なのでこちらも同時に登録を行います」
「手は握ったまま、私の目も見つめたまま」
「そのままはっきりと復唱してください」
「……では言います」
「"さくらさん大好き"」
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想