昔々、ある国の森にオークの群れが住み着き、辺りに住む人達を困らせていました。このオーク達は畑を荒らし、家畜を囲う柵を打ち壊し、作物や家畜を奪っていったり、時には人間の男の人まで浚っていくのです。やっと声変わりしだしたような子供からお爺さんまで。
困り果てた国の王様はオーク達をやっつけるか国から追い出した者にたくさんの褒美を取らせるとお触れを出しましたが、勇ましくオークの棲む森へ入っていった男達も誰1人として帰ってくる事は無く、とうとう誰も森に近づこうともしなくなってしまいました。
そして王様は遂に、オーク達を倒した者を自分の1人娘であるお姫様と結婚させるとお触れを出したのです。
さて、その国に貧しい木こりの男が2人の息子達と一緒に暮らしていました。男が持つ斧はボロボロに錆び付いて新しく買うお金もなく、買えたとしてもオーク達のせいで森に近づけないのでは仕事になりません。そこで彼の2人の息子がオークと戦う事になりました。欲張りなお兄さんは自分がたくさんの褒美を貰って美しいお姫様と結婚するため、心優しい弟は王様からもらった褒美で父親に新しい斧を買って森の中でまた働けるようにしてあげるために。
「1人は森の西側から、もう1人は森の東側から入っていくといいだろう」
王様からそう言われた2人の兄弟は、兄は森の西側から、弟は森の東側から入っていく事にしました。
弟が森の東側から入ってしばらく歩いていくと、そこに1人のドワーフが倒れていました。
「どうしたの?」
「お腹が空いて動けない……」
かわいそうに思った弟は鞄から水筒とパンを取り出し、ドワーフに分けてあげました。
「ありがとう。おかげで助かったよ。お礼にこれをあげよう」
そう言うと、このドワーフはどこからか黒い槍を取り出して弟に渡しました。
「これは私が作った特別な魔法の槍だ。この槍を持っていればどんな敵が君を傷つけようとしても、槍が必ず君を守ってくれる。でもいいかい? どんなに敵が怖くても、目を反らしたり背中を向けたりしてはいけないよ。そうするとこの槍はたちまち力を失って、君を守る事ができなくなるからね」
ドワーフから黒い槍を受け取った弟が更にしばらく進んでいくと、オーク達が森の真ん中を切り拓いて作った集落にたどり着きました。
「もう勘弁してつかあさい。何度も言うてきたように、わしには家で帰りを待っている息子夫婦と孫がいるんです」
「そうかい。だったらあんたの息子さんに、新しい妹の姿を見せてあげないとねえ。……おっと、今も私の腹ん中を元気に蹴っているよ!」
「うわーん。おうちに帰りたいよー。パパー。ママー」
「泣きごと言っている暇があったらもっと精を出しな! 私がママになるんだよ!」
集落の真ん中では大きな広場でオークに浚われたり戦いを挑んで捕まった男達が、それぞれ気に入られたオークに犯されています。そして周りではまだ夫のいないオーク達が遠巻きにして眺めながら、いやらしい笑みを浮かべてお股の下着の中に手を突っ込んでいました。
それを見た弟は思わず逃げ出しそうになりましたが、ドワーフの言葉を思い出し、槍をぎゅっと握ってオーク達の方へ歩き出していきました。
その足音に何人かのオークが気付き、舌なめずりをしながらやってきます。
「おや、また新しい獲物が自分からやってきたのかなぁ?」
「男も武器もずいぶんちっこいなあ」
弟は思わず槍を持つ手が震えましたが、それでも逃げ出さず、じっとオーク達の方を見据えます。
「ほう。度胸は一人前のようだね。気に入った。こいつはあたしが貰う!」
そう叫んで1人のオークが石斧を手に走ってくると、弟はそのオークの方へ槍を構えてしっかり握りしめました。すると、ドワーフが言ったとおり、オークが弟を攻撃する前に槍がオークを貫きました。もちろんドワーフが作った魔法の槍なので魔物を傷つけたりはしませんが、貫かれたオークはお股からぶしっと勢いよく潮を吹き、白目をむいて倒れます。
「へえ。あんた見かけの割になかなかやるじゃないの」
「こうなったら数で一斉にやっちまえ!」
今度は何人ものオークが飛びかかってきましたが、弟はまたもや敵をしっかりと見据え、槍で次々と貫いていきます。その予想外の強さに、残ったオーク達は思わず怯んでしまいます。
「ね、ねえ、どうする? こいつとんでもなく強いぞ」
そしてオーク達が皆怯んで足を止め、ざわざわと騒ぎ出したその時。そのざわめきを貫くように大きな声がオーク達の後ろから届きました。
「まったく、揃いも揃って情けないね!」
オーク達がざわつきながら道を開けるように2つに別れると、その間から黒い肌とひと際大きい身体に巨大な戦斧を担いだ魔物娘が現れました。オークを束ねる上位種、ハイオークです。
「やっと私専
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