昔々、あるところに魔法使いの女の人がおりました。そしてその魔法使いは男の子と女の子の双子の赤ちゃんを産みました。
お母さんになった魔法使いは子供達が元気で健やかに育つようにとの願いを込めて、そっくりな形をしたおまじないの指輪を2つ作りました。
しかし、この人の夫が出稼ぎで遠くに出かけ、魔法使いが独りで双子の赤ちゃんをお世話しなければならなくなると、彼女は次第に朝から晩まで疲れ切った顔をするようになりました。
そしてある日、女の子の方の赤ちゃんが大声で泣き出して何をしても泣き止んでくれなくなってしまい、魔法使いのお母さんは思わずこう叫んでしまいました。
「そんなにずっと大声で泣き続けたかったら、カラスになって飛んでいくといいわ!」
すると、女の子を抱えていた魔法使いの腕の中から、突然1羽のカラスが飛び出しました。間違えて本当の呪いをかけてしまったのです。
魔法使いは慌てて呪いを解こうとしますが、カラスになった女の子はベッドの傍らで光る指輪を片方掴むと、あっという間に窓の外へと飛んで行ってしまいました。
魔法使いは出稼ぎから帰ってきた夫と一緒に、カラスになってしまった娘を探し回りましたが、結局娘を見つけることができませんでした。
2人はせめてもの償いにと残った男の子に精一杯の愛情をもって育て、この子には双子のお姉ちゃんがいることを黙っておくことにしました。
ところが、それから10年の月日がたったある日、男の子はお父さんに聞きました。
「お父さん、僕にお姉ちゃんがいるって本当なの? そのお姉ちゃんはどこに行っちゃったの?」
どうやら町の人達があることないこと噂しているのを聞いてしまったようです。お父さんはこれ以上隠し立てできないと思い、本当の事を話しました。
「お母さんだって本当にお姉ちゃんが憎くてあんな事をしてしまったんじゃない。ただ……本当に疲れていたんだ」
悲しそうに俯くお父さんを見て、男の子はこう答えました。
「お父さん。僕、お姉ちゃんを探しに行くよ」
「だめだ! お父さんやお母さんだって今まで何度も思い当たる場所を全部探して回った。それでもお姉ちゃんは見つからなかったんだぞ」
「そうよ。あんたまで失うなんて考えたくもないわ」
お父さんもお母さんも男の子を必死に止めようとしましたが、男の子の決意は固い物でした。彼はお母さんが作ったおまじないの指輪と小さなパンを1つ、そして喉が渇いたときのための水筒と疲れた時のための小さな椅子だけを持って旅に出ました。
男の子はどこまでも歩き続け、とうとう世界の果てにある太陽の所までたどり着きました。そこではとても暑い日差しがじりじりと照り付けてきます。
その日差しを避けようとして男の子が深い森に入っていくと、女の子の慌てたような声が聞こえてきました。
「やめて! 私に乱暴する気でしょ? エロ小説みたいに!」
そちらへと歩みを進めた男の子は言葉を失ってしまいました。彼よりも小さな女の子が何人もの大きなお兄さんに力ずくで取り押さえられ、槍のように硬くまっすぐになったおちんちんを身体の色々なところに乱暴にねじ込まれていたのです。
あの子を助けないと。そう思った男の子でしたが、その足はがくがくと震えて動こうとしませんでした。
(でも、僕が助けに入ろうとして、あのお兄さんたちに勝てなかったらどうしよう)
自分もあの女の子のように乱暴されてしまうかもしれない。そう思うととても怖くなってきました。自分は女の子ではありませんが、口やお尻は男の子にも付いているのです。
「……ごめん」
とうとう男の子は泣きながらその場から逃げ去ってしまいました。
実は小さな女の子は魔女という魔物娘で、大好きなお兄ちゃんに分身薬を飲んでもらって「無理やり乱暴されている」という設定の「ごっこ遊び」を楽しんでいただけなのですが、男の子にその事を知る由はありませんでした。
それから再び男の子は歩き続け、今度は月のある所までたどり着きました。太陽の所とは反対に、凍えるような寒さです。
遠くで大きな火が上がっているのを見つけた男の子は、温まろうと近づいていきました。すると、そこでは赤や青の肌をして頭に角の生えた大きな魔物が何人も焚火の周りを取り囲み、お酒を飲んで大声で騒いでいました。怖くなった男の子は近くの物陰で様子を伺います。すると、赤い肌をした魔物が鼻をひくつかせながら言いました。
「匂う。匂うぞ。まだ小さくて元気な男の子の匂いだ」
「本当だ。美味しそうな匂いだなあ」
「ひっ」
魔物達はニヤニヤと笑いながら、男の子が隠れている方へと歩み寄ってきます。その光景は男の子の目には、太陽の所で女の子に乱暴していたお兄さん達の姿に重なって見えました。
「助けて!」
男の子は慌てて逃
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