眠れぬ夜の小会議

「…つまりだな、20を超えると自分の指だけじゃ足りんのだ。他人の指を借りなければならんのだ」
「…」
「なるほどね〜。あ!でもねこさんゆび5ほんないよ!」
「バッキャロー。猫が関係あるかよ。そもそも自分の歳を指で数える必要性が、オレにはわからねぇ」
「…猫の指は…4本…」
「待ちたまえ、それ以前にこの話題自体がおかしい。我々はもともと別の議題について議論しようとしていた筈だ。違うかね、アナタ」
「そ〜だよね〜。あたし、うっかり。えへへへへ」
「うん、そうだったそうだった。俺としたことが、ついカウント談議に花が咲いてしまったな」
「……、…!」
「…カウント談議…カウントダウン…似てる……プフゥ」
「旦那ァ、お前アホか?そもそも花なんて咲いてねぇだろうが」
「うむ、アナタの一方的展開ではあったな」
「ま、気を取り直して…今週は『今年のヒメナへの誕生日プレゼントは何にするか』でいきたいと思う。今年は結婚1年目なので気合い入れていくんで夜露死苦。それではゲストの皆さん、自己紹介を」
「……。……、………。……」
「これはこれは、毎年ご丁寧にありがとうございます。それでは次の方」
「はいは〜い!だんなさま!つぎあたし!あたし!」
「それでは次は…」
「おい旦那ァ」
「何だ?」
「茶番は止めないか、アナタ」
「…茶番、とは?」
「…何故なら……私達は全員……」
「「「「ヒメナの頭の蛇なんだから」」」」
「…。…」



「しかし、ぐっすり寝てるなぁ」
「うむ。この様子なら朝まで起きないだろう。安心していいぞ、アナタ」
「では、安心したところでスタート」
「そもそもだ。プレゼントする本人に訊くってのはどうなんだよ、オイ。もうちょっとワクワクドキドキを演出する気はねぇのか?あァ?」
「え〜?でも、だんなさまのきもちもわからないわけじゃないでしょ〜?」
「………。…」
「あぁ、彼女はアナタに素直じゃないからな」
「…新商品……外はツンツン…中はデレデレ…」
「そうなんだ。正直、毎年プレゼントを渡すは良いが…」
「旦那への返事はいつも同じ。『べ、別にアンタのプレゼントなんか嬉しくないわよ!フーフでしょ!?トーゼンだわ!』…だもんなぁ」
「おお、似てるぞ。まるで本人だ」
「ほんとほんと〜!ね、もーいっか〜い!」
「…アナタ、彼女は本人だ」
「…神……キター……」
「とにかく、評価がよくわからんから心配なんだよ」
「……。…………?」
「あぁ、毎年毎年喜んでるぜ?」
「え、そうなの?マジで?」
「まじまじ〜!おおまじだよ〜!」
「去年だったかな?ほら、アナタは耳飾りをあげたじゃないか」
「あ〜、アレか。うん」
「…『…、…。…………!!……。……、……!!』…………?」
「MA JI KA !?俺に隠れてそんな事言ってたか?!」
「わかったのかよ旦那!?」
「…読者……置いてけぼり……」
「だが実際、毎日着けてただろう?彼女は相当気に入ってたんだ」
「だからね〜…。なくしちゃったとき、ヒメナちゃんかなしそうだったよね〜」
「………」
「それでも、御嬢強がりだからなぁ。『別にぃ?!あんなのそんなに気に入ってなかったし?ま、精々アクセサリーのNO.2位だったし?』…って言うし」
「あぁ。それをと泣き腫らした真っ赤な目プラス涙声で言うから、正直反応に困ったわー」
「彼女が持ってる宝石はゴマンとあるのに、No.2と言ってしまうあたり彼女の本心が垣間見えるな」
「……」
「あのね、だんなさま。ひめなちゃんね?あのよる、ずっとみみかざりさがしてたんだよ?」
「ああ。知ってる」
「知ってるのかよ!旦那は寝てたろ!」
「…俺はアイツより強いんだから。それほど鈍感ではないさ」
「……らぁぶらぶ……てんきょうけーん……」
「だが、それなら彼女が必死に森の地面に這いつくばっている時に傍観していたという事だな?アナタ、それは感心しないぞ」
「…、……!……!」
「そうだよ〜!ひめなちゃん、あさまでずっとがんばってたんだよ〜?!」
「朝までだろ?頑張りが足りん」
「…おい旦那ァ!!御嬢が寝てるからって言っていい事と悪いことがあるぞ!」
「おぉいこらっ。絡むな絡むな。そんなイライラしがちな貴方にはコレっ!」
「「「「「!!」」」」」
「…アナタ…それをどこで…」
「森の中ですが何か?…プレゼントと一緒に渡すかな。…いや、勿体ぶるのは…」
「だんなさますごーい!かっこいー!」
「……なんということでしょう…皆の好感度50アップ……」
「…、………?」
「ん。お前達は知らないかもしれんが、仕事帰りとか時間作って毎日探してたんだよ。ま、見つかったのは今日だがな」
「じゃ、旦那がここしばらく寝不足気味だったのは…」
「あ〜。時間が取れないとどうしても夜、な」
「ひめなちゃん、うわき
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