“エクソシスト”。
魔物退治や悪魔祓いを専門とした職業である。
多くは“退魔師”や“祓魔師”と呼ばれている。
しかし、教団の“エクソシスト”は異なる。
彼等の言う“エクソシスト”とは“滅魔師”。
文字通り“魔”を“滅する”事を目的とした教団独自の名称である。
彼等の対象は“退魔師”や“祓魔師”と同じだが、そこに慈悲等ない。
ただひたすら“全ての魔物は絶対の悪である”という古来より崇拝してきた神の定義に従って対象を屠り、討伐し、駆逐し、殲滅して討ち滅ぼす。
“全ては秩序と安寧をもたらす為の“聖戦”である”と豪語している。
夜天の館。
「今宵のエクソシスト共は速いな…」
「いかがいたしますか?レティア様…」
「(奴らも本腰を上げてきたという事か…)」
俺を組み敷いていたレティアさんが離れた。
「村の状況は?」
「皆、避難いたしました」
「エクソシストの数は?」
「五名です」
「それくらいなら、わたしが蹴散らしてやろう」
レティアさんのワインレッドの眼が光る。
それは、まるで獲物を狩る時のワーキャットのように鋭い。
そして、その口からは八重歯が見えた。
レティアさんは先程、脱いだガウンを着なおす。
「エクソシスト共を片付けたら続きをやろう」
それだけを言い残し、レティアさんは広間を出て行った。
そのあとをクノイチが続いた。
「…」
その後ろ姿は優雅で美しく、そして気品に溢れていた。
暫く途方に暮れていた俺はレティアさんが出て行った扉を見ていた。
「教団のエクソシスト…か」
風の噂で聞いた事がある。
彼等は“退魔師”や“祓魔師”と違って思想が非常に過激だ。
全ての魔族を駆逐する為なら手段を選ばない。
「レティアさんは正面から…と考えているだろうが教団は思っていないだろう」
何らかの形でレティアさんの動きを封じ、動けないところを集中攻撃。
またはヴァンパイア討伐に特化したエクソシストが控えている可能性もある。
「確かにヴァンパイアは高い戦闘能力を持っているが、その分弱点も多い」
陽光の下では身体能力が一般的な人間の少女程度に低下する。
「今は深夜だから心配はないと思うが…」
教団の白い団服には十字架の装飾が施されている。
加えて前線に出るエクソシストなら銀で加工した武器は当然持っている。
それがどのような武器なのかは皆目見当つかない。
少なくとも神聖魔法は使えるだろう。
その時、ふと頭をよぎった。
「心配…だな」
何故、そう思ったのか自分でもわからない。
どうしてヴァンパイアハンターであるのにレティアさんを心配するのか。
気付けば俺は立ち上がり、レティアさんのあとを追いかけていた。
あれから、かなり経過したからすぐに追いつけるとは思っていない。
だけど胸の奥に何か違和感のようなものを覚えた。
「(エクソシストの数は本当に五人だけなのだろうか…)」
俺は駆けだした。
夜天の館から丘を下り、森を抜け、わたしは村へやってきた。
「っ!?」
そこで見た光景はあまりにも凄惨だった。
既に家々には火の手が上がり、村は火の海に包まれていた。
「全ての魔物は絶対の悪、奴らは原罪をもって生まれてきた」
炎の中、白い団服のエクソシストが大声を発していた。
「罪なき者など一人としていない、故に消えてもらわねばならない」
「そこまでだ、滅魔師《エクソシスト》」
「ようやく現れましたか」
「これ以上、我が領地の村で好き勝手やらせん!!」
わたしはエクソシストを睨み付けた。
「ならばどうすると?」
「痴れた事…貴様を砕き、引き裂き、二度と陽光を拝ませぬ!」
「単純明快ですね…“私達”も滅魔師としての仕事を果たすまでです」
わたしは一足飛びで肉薄し、手加減無用の蹴りを放った。
「っ!?」
「失せろ、エクソシスト」
躱すことも受ける事も出来ずエクソシストが横に吹き飛ぶ。
そのまま燃える家や木々をなぎ倒していく。
次に気配を背後に感じ、わたしは振り向く。
「気配が駄々漏れだ!」
「がっ」
「吹き飛べ!!」
拳を握り、渾身の一撃を放つ。
防御する間もなく二人目のエクソシストも吹き飛ばした。
今度は両サイドからエクソシスト二人が現れた。
再び一足飛びで肉薄し、それぞれに蹴りと掌底を放った。
そして、わたしが次の行動を起こそうとしたその時。
「魔封結界…展開」
「っ!?」
どこからか声が聞こえ、気付けばドーム型の結界の中にいた。
その先には今までのエクソシスト共とは比べものにならない存在。
ピリピリと全身を突き刺す圧倒的な気配。
その気配は徐々に近づき、わたしの前で立ち止まる。
「貴様が大将だな」
「その通りよ」
白いベレー帽を被り、白い団服姿をした少女。
その瞳は紫水晶と銀のオッドア
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