「シオン、元気がないね」
「姉さんはオカリナを吹くのが上手いよね」
「いきなりどうしたの?」
「いや…どうして僕はあまり上手くないのかなって思って…」
「そんなこと気にしてたの?」
「むっ、そんな事って言わないでよ。これでも真剣なんだから!」
「あははっ、ごめんごめん。その代わりシオンは剣術に優れているじゃない」
「そうだけど…オカリナも姉さんと並ぶくらい上手くなりたい」
「あらあら、だったら今日もオカリナの練習をする?」
「でも仕事は大丈夫?」
「今日は予定が入ってないから大丈夫、一日中付きっきりで教えてあげるよ」
「ありがとう、頑張って上手になる。あ、オカリナを取って来るね」
僕は急いで木の階段を上がり、ドアノブをひねり部屋を開けた。
けどいつも置いてある場所にオカリナが無く、部屋中を探し回っていた。
そしてようやく見つけた涙滴状のオカリナを手に取り、階段を下りた。
「ごめん姉さん、なかなか見つからなくて…」
けど姉さんの姿はどこにもなかった。
「あれ…姉さん、どこに行ったの?」
声をかけても反応がない。
姉さんは忽然と姿を消してしまった。
僕は急いで村の奥に住居を構えるライカ村長に連絡をした。
「ライカさん、姉さんを見てないですか?」
「いや…今日は見てないな」
「そうですか」
「一体どうした?汗だくじゃないか」
「そう…見えますか?」
「十年近くシオンとカレンの親代りをしてたんだ、それ位わかるさ」
カレンと言うのは僕の姉さんの名前だ。
母さんは僕を生んで亡くなり、父さんもあとを追う様に亡くなった。
そして僕と姉さんはライカ村長に引き取られた。
それから僕が十歳になった頃、姉さんが長に前の家に戻ると告げた。
「ライカさんには敵わないなぁ」
「ふふっ、それでどうしたんだ?」
「はい、実は…」
僕は事の次第を大広間に居るライカ村長に話した。
その時の僕は自分でも驚くほど冷静で。
その時のライカさんの顔が忘れられなかった。
「なるほど…シオンが少し席を外していた間にカレンが居なくなったのか」
「はい…いつもオカリナを置いてある場所に無かったもので遅れて」
「しかし、まぁ…最後の肉親が消息を絶ったと言うのに冷静だな」
「僕が泣いていても姉さんが戻ってくる保証がありません」
「つらくないのか?」
「正直つらいです…でも今の僕には何も出来ない…報告しか」
「そうだよな…すまない」
「いいえ…」
僕は悲しみを何とか堪えて泣かない様にしていた。
けど身体は正直で…僕の瞳からは一筋の滴が流れた。
ライカさんは何も言わず、僕を力一杯に抱き締めてくれた。
僕はついに涙が堪え切れずライカさんの服を掴みながら嗚咽をもらした。
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