第二章 再会

一年の月日が経過した。

「よし、終わり!」

一年前、この大陸の通貨を持たない俺は資金を稼ぐ為、ギルドに入った。
幸い、放り出された初日は昼頃だった為、宿代と食事代を何とか確保し、一番安い宿に泊まる事が出来た。これが夕方や夜だったら知り合いも誰も居ない俺は野宿する所だった。

「御苦労さん」

当初は簡単な依頼を引き受けて信用を得る事に奔走し、その後は様々な任務等をこなし続けてきた。現在では、かなり危険な依頼等を行なっている。
しかし、難易度の高い依頼を一人でこなしてきたわけじゃない。
ギルドでは中級者以上の資格を持つものは必ず相棒(バディ)が必要になる。
バディの決め方は多種多様で上級者とも組む事が出来る。
だが実際、上級者と組んでも能力差や経験の差の格差が激し過ぎて、それを実行に移す中級者は、あまり居ない。殆どの中級者は同じランクの者達と組む。
その為、余程の事が無い限り、上級者と組む事はない。
自分の腕が未熟なままでは上級者のお荷物となり、危険な状況になりかねないからだ。上級者ともなれば危険な任務等が増える為、二人以上のチームを組んで任務に当たる。その為、たった一人の足手まといがチーム全員の足を引っ張る。それだけは何としても避けなければならない。それを防ぐ為、中級の資格を持つ者が上級の資格を持つ者と組む場合、簡単な試験が行なわれる。それに合格できなければ上級者と組む事が出来ない。実際、そう言った試験を行なってきた中級者の話を聞けば、かなりハードな内容らしい。

「あんたも手伝ってくれよ、上級者だろ」
「何故、この俺が中級者のお前を手助けしなければならない?」

しかし、その逆もまた、しかりで上級の者が中級の者と組む事がある。
それは中級の資格を持つ者にバディが居ない時だ。

「本来、上級者の俺は別の依頼をしている筈なのによ」
「俺は別に、あんたと組むつもりはなかった…ギルド長が言うから相棒にしたんだよ」
「なんだと?」

どうやら今の俺の言葉で完全に上級者のプライドを刺激したようだ。

「お前…誰に、そんな口を聞いたのか分かっているのか?」
「知るか!何もしなかった奴に言われたくない」
「この…許さんぞ!」
「五月蠅い、吠えるだけじゃなくて掛かって来いよ」

瞬間、大気中の魔力が震えた。
一触即発の空気。

「貴様…塵一つ残さないくらい消し炭にしてやる!」
「これくらいの挑発に乗るなんて、あんたも未熟だな!」
「きさまぁああっ」
「ストップ!!」
「仲間割れは止めなさい!」

仲裁に入ったのはリエス=エリオンさんと、その妻レナスさん。
リエスさんは『悠久の翼』の総帥で、その実力は未知数だ。
一方、レナスさんは『悠久の翼』の参謀であり、エルフ族だ。

「止めないでください!リエスさん」
「落ち着け!ロイ=ギュート」
「これが落ち着いて居られますか!」
「仮にも貴方は上級者なのよ?」
「ですが…!」

リエスさんは興奮の治まらないロイをなだめる。
そして、レナスさんが俺の方を向く。

「カズキくん」
「なんですか?」

レナスさんはため息を吐く。

「もう少し先輩の彼を敬う事は出来ない?」
「無理ですね…彼は任務に参加せず、在ろう事か愚痴をいいました」
「分かってるけど、もう少し言い方がないかしら?」

レナスさんは諭すように言う。

「確かに彼は任務に参加してないけど、いざという時は動くのよ?」
「いざってどんな時ですか?」
「君の手に負えない強敵に遭遇した時よ」
「それが上級者のする事ですか?上級者って言うのは後輩を補佐したり、教えに導く存在ですよね?」
「それはそうだけど…」
「彼はそれをしてません、なぜ、そんな人を敬う必要があるのですか?」

俺はレナスさんに喰い下がる。

「すみません…レナスさん」
「カズキくん…」
「初級に戻してください」
「どうして?」
「やっぱり俺…団体行動が苦手です、初級なら一人でもやれます」
「でも今の君の実力を発揮するには初級じゃ無理よ?」

それは自分自身が一番理解している。
団体行動が苦手な俺は、ずっと初級クラスだった。
その為、俺よりも後に入った者は次々と中級の資格を持ち始めた。
だけど俺だけは、ずっと初級資格のみ…それが半年前の事だ。
それを見かねたギルド長のレナスさんが直接、リエスさんに推進した。
その後、中級資格の試験を受けた俺は見事に合格した。

「最初の君は実戦も何も知らない素人だと思ったけど…実際、君の戦いを見てきた私には分かる、君は…誰かの為に実力を伸ばしてきたのね?その人を支えれるくらい強くなる為に…その人と共に歩んでいける様に…そうでしょ?」
「はい…今の俺の実力では“彼女”に追いついていません」
「その人は恋人?」
「それは分かりません」

俺は胸に下げてあ
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