死闘

私がこの力を手に入れたのは数年前。
それはいつもの様に国の政務を終わらせた時の事。
私は不思議な力に引き寄せられる様に地下施設でこの力を発見した。

「これは…!?」

私は台座の上にある巻物を手に取ると地下施設から自分の部屋に戻った。
古い文献を調べると、この力は『闇の技法』と呼ばれる代物だった。
元々古代魔法に興味がある私は其れなりの知識を持っている。
その為、私の部屋の本棚には多くの古代魔法に関する文献が存在する。
文献によると『闇の技法』は暗黒時代の魔王固有の戦闘技法であり、言わば上位古代魔法と言っても過言ではない。

「この力を制御できれば…」

私は多くの文献を読み漁り、長年の知識と勘を使ってついに封印解除の術式を見つけた。非常に複雑な封印術式が巻物に施されていたが黒の派閥に在籍する考古学に精通した人材何人かと解除式を見つけた為、半年近くで見つける事が出来た。

元々私は此の国を掌握する為、数年前に派遣された考古学に精通した『光の教団』のメンバーである。ある日、国の国王が病の床に伏せていると言う情報を教団は入手した。そして私は教団の中でも最も位の高い聖職者…ユリウス・フォン・セラフィス教皇から二つの勅命を受けた。一つは親魔物派の国王に取り入り、偽りの大臣となってライブラの中枢を掌握する事。もう一つは同じく偽りの大臣となり信頼を得た後、病を装って国王を暗殺する事。後者は暗殺を専門とした者に任せる為、私の仕事は取り入る事である。
しかし、この力を手に入れた事で暗殺を専門とする者達には別の任務を言い渡した。
その為、私自ら国王を"救済"する事を決意した。

「大臣、これは一体どういう事ですか?なぜ側近である貴方が謀反を…」
「元々私の目的は親魔物派のライブラを掌握、或いは王を病と装って亡き者にする為に『光の教団』から派遣された人間だからです」
「どうしてライブラを?」
「此の国が我等が教団…反魔物派の敵、親魔物派の国だからです」
「しかし、貴方は数年間、王宮に在籍したではありませんか」
「私だって好き好んで魔物が在籍する王宮に居たわけではありません、魔物は人間の天敵…」
「それは昔の事です…今の"彼女達"は昔の"彼等"とは全く違う別の存在です」
「王妃様…貴女は人間でしょう?何故あんな魔物達の肩を持つのですか?」
「彼女達が無害な存在だからです」
「王妃様も魔物に感化されましたか?」

私は闇の術式を王妃の周りに展開させ、簡単な索敵を行なう。
すると驚きの事実が判明した。

「これはこれは…王妃様、貴女も魔物だったのですね?」
「っ!?」
「失態です…こんな近くに魔物が潜伏してたとは…」

これ以上の会話を無理と判断した私は国王と付き添いの“魔物”もろとも我等が崇拝する神の代理人の名の下、憐れな国王の魂を天へ“魔物”は討滅する。
私は此処へ赴く前に二人の守護騎士の足止めを暗殺者たちに任せた。
彼等には独自の判断で戦闘を行なって貰い必要があれば葬っても構わないと事前に伝えておいた。しかし、そんな事を伝えなくても彼等は暗殺を専門とする為、己の任務を全うするだろう。

今此処には私を含み、国王と“魔物”の三人…救済する事は容易い。
私は胸の前で十字架の印を切ると右手を天に掲げ、救済の槍『ロンギヌス』を顕現する。
原物の『ロンギヌス』は教皇様が所持している為、これは複製である。
そして、この『ロンギヌス』は我ら光の教団が必ず最初に取得する戦闘技能の一つであり、この槍に貫かれた人間は魂が浄化され、過去の記憶や思い出等その全てが白紙に戻され、新しく生まれ変わる。反対に魔物達が此の槍に貫かれると転生も出来ず、この世から抹消される。しかし、その能力は原物の『ロンギヌス』に限られている為、複製の場合、人の魂は浄化されるが過去の記憶や思い出等は後に残る。また魔物も同じで複製の場合、抹消する事は出来ないが深手を負わせる事は出来る。しかし、本当に力の強い(魔力や魔法等に長けた)者が此の槍を扱うと複製でも原物と同じ能力を発動する事が出来る。だが其れは完全ではなく不完全な能力となっている為、あまり意味は無い。
しかし、私には闇の技法がある為、教皇様と同じく“魔物”を抹消できる。

「神に祈る時間を与えます」
「必要ありません」
「そうですか…しかし、ご安心ください」

私は周囲の魔素を集めて作った『ロンギヌス』を構えると一言だけ呟く。

「貴女が祈りを奉げなくとも王は光の神に祝福され、この世から貴女は抹消されます」

私は逆手に持った『ロンギヌス』を国王と“魔物”に躊躇なく投擲した。

しかし、槍の矛先は先程まで居なかった筈の気配に叩き落とされた。

「間一髪…」
「もう少し到着するのが遅れてたら二人とも危なかったね」

其処には東国の島国に古くか
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