準決勝

 


「うぅ……参っちゃったなぁ……」
 大会出場者に用意される部屋で私は一人、明日の試合の事を思っていた。
「相手は男の人……しかも準決勝まで勝ち進むなんて、よっぽど強い人だよぅ」
 そもそも私はこの大会を舞踏会だと思って参加したのだ。なのに、当日来て見ればなんと、“舞踏会”ではなく“武闘会”だったという。
 勿論、棄権しようと思った!けれど遅刻してしまった所為で開会式に参加出来ず、そのペナルティとして棄権“権”がないっていう。
「うわぁ〜ん……どうすれば……どうすればいいのぉ〜っ!?」
 おまけにどういう運命なのか、今までの相手は皆魔物で、私が女の子だと見るやあっさりと棄権してしまったのだ。多分、私とはエッチ出来ないからだとは思うけれど……
 寧ろ誰かしら私を倒してでも先に進もうとか思わなかったの!? 一回戦から棄権って、どういうこと!? 私だって一回戦で棄権したかったわよ! ていうか、一回戦なんだから相手が一般の女の子でも倒して先に進もうとか思いなさいよっ。思ってくれれば……惰性で準決勝まで進むなんてこと、なかったのに!
 うぅ……当然のことながら、普通の女の子である私に武術の心得も、魔術の心得もない。心理戦もからっきし。人にはよく騙されるタイプだし、頭だってよくない。
 そんな私がどうやって明日戦うであろう筋肉隆々の男の人に勝てるの? え? 馬鹿なの? (私が)死ぬの?
 唯一の取り柄といえば、踊り……でも、戦うための踊りなんかじゃない。私は明日衆目に曝されるであろう自分の亡骸を思い浮かべた。   剣で切り裂かれているのか、はたまた槍で串刺しか、斧で真っ二つか……いや、潔く死ねたならまだいい。若しかすれば相手は変態さんで、私が死ぬまで嬲り続けるとか、果ては嫌がる私を尻目に男の人のを……!
「いや! それだけはいやっ。お、おかっ、犯されるなんて……け、けけけ汚らわしいっ」
 顔が真っ赤になる。考えてみれば、好きな人もいないのだし、そういうことに興味が無い訳ではない。だから想像してみて、一瞬……ほんの一瞬、いいかも、と思ったのは絶対、気の所為だ。
「と、兎に角……っ。明日に向けて、やれるだけ体を鍛えよう。――ほっ、やっ!」
 只で犯されるのはやっぱりいや。多分無駄だと知りながらも、格闘家の真似事をしてみる。

 コンコン
「   ひぅっ!?」
 そんな時、唐突に入り口の方からノックが響く。私は驚いてしまい、体を硬直させる。首を曲げると、其処には刺激的な服装をした、褐色の肌の綺麗な女の人が壁に寄り添っていた。もうすでに人が部屋の中に入り込んでいることにも驚いた私は慌てて格闘家のポーズを止めておしとやかに振舞おうとする。女の人は微笑んだ。
「さっきから見ていたけど……貴方、独り言が多いのね」
「え、ええっと……あ、あの……ノックは……」
 ちゃんとノックをして入ってきたのかを確認したかった。
「ノック? ああ……今、したわ」
「………」
「それよりも貴方、今、面白い動きしてたわね。何? アマゾネスに伝わる特殊な意味のある踊りか何か?」
「!? いえ! なんでもありませんっ」
「そう」
 女の人はクスクスと笑う。私が何をしていたのか判っている様な気がする。顔が熱くなった。
「な、なんですかっ。此処、私の部屋なんですけど」
 そう尋ねると、女の人は目を鋭くして私に近寄ってくる。私は異様な空気を察して後ろに下がるが、スカートの丈に足を引っ掛けてしまいベッドに倒れこむ。
「きゃっ」
「……あら、大丈夫……?」
 すると、あろう事か見知らぬ女の人は、ベッドに仰向けに倒れこんだ私に覆いかぶさってきたのだ。私は怖くなって体を揺するが、この人、細い体に依らず、凄い力で私を組み敷く。
「あ……やぁ……な、何を……?」
「ふふ……貴方がずっと、明日の事で怯えていたから、ちょっとアドバイスしようと思ってね」
 女の人は口の端を持ち上げると、懐から何かピンク色の細長いものを取り出す。それは鶏の卵のような大きさだった。
「いや……! それ、なんですかぁっ!?」
「ん? ふふ……とってもイイモノ、よ」
 そう答えると、女の人は私のスカートの中に手を伸ばし、私の太ももを撫で上げながら下着に指を滑り込ませた。私は驚いて声を上げる。
「え!? ちょっと、何を……むぐっ」
「ん……(ちゅぱっ)」
 私の声をさえぎるように口を塞ぐ。私の頭が思考停止に陥っている間に、私の下着はだらしなく地面に落ちた……
「ん……んんっ」
「ちゅ……っ」
 チュク……ッ
「んんっ!?」
 女の人は遮る物がなくなった私の中心に指を沿わせる。薬を塗るように丹念に解し、中指と薬指で開いて弄ぶ。
 私、女の人にこんなこと……。屈辱に涙が浮かんでくる。終いにはその指が一本、私を刺し貫いた。初
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