【夜が更けて】
私の記憶。大好きなご主人様との記憶。今でも忘れられない。
あの頃のご主人様との時間。
あの頃のご主人様の笑顔。
あの頃のご主人様の 愛。
そして何より、ご主人様が生まれたばかりの私の頬を優しくなでていった、あの言葉。
「お願いだ……。君だけは、いつまでも俺を愛して…… 」
涙を流してご主人様は言った。でも、私はあの時、頷いてあげられなかったし、言葉も返して上げられなかった。
だってあの時、私は只の石ころ、だったから。
あれからとっても長い時間がながれたよ?
私は魔王様のおかげで、ご主人様とお話し出来るようになった。
けれど気付けば、そのご主人様はいつの間にか、どこにもいなくなっていた。
きっと、あの方はいまもどこかで寂しがっているに違いない。
ぜったい、見付けてあげるからね?
私の、たった一人の……
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