目を覚ますと知らない場所にいた。
その日限りの荷物運びの仕事を終え、ボロ宿のギシギシうるさいベッドに寝たはずだったのに、今ぼくは柔らかな草の上に寝そべっていた。あったかいお日様の光が、木々の葉の隙間から何本も降りてきている。さあっと爽やかな風が木の葉を優しく揺らすなか、夢かと思ってほっぺをつねってみるけれど痛いだけで目が覚める気配はない。
「……ここどこ?」
きつい仕事で疲れた体を無理やり動かして、辺りを歩き回ってみる。ここはなんだか不思議な場所だった。森の木々はぐねぐねとねじ曲がっていたり、鮮やかなピンク色をしていたりと見たこともない者ばかりだ。それに、少し開けた場所にはお茶会でもするようなテーブルセットが置いてあったり、おっきなボールやトランプが地面に埋まっていたり……まるでおもちゃ箱をひっくり返して作ったみたいな場所だった。
その不思議さは少し怖い気もしたけど、どこか楽しげな雰囲気もあって、不安な気持ちはだんだん薄れてきた。不安が無くなると、今度は体の疲れを感じるようになって、変に丸っこい木の根元に腰をおろした。ふう、と息を吐いて目を閉じると、穏やかな風がそよそよと通り過ぎていく音に交じって小さく足音が聞こえた。
「んぅ……キミ、なにしてるのぉ?」
目を開けるとそこに立っていたのは一人の女の子だった。背丈はぼくよりも少し高く見え、長い髪は辺りの木と同じような茶色だったけれど、固い木とは違って1本1本がさらさらと風に流れて、甘いチーズみたいないい匂いがした。不思議なことは、髪の毛と同じ色のネズミみたいな耳と尻尾が生えていて、それらはどうやら飾りじゃないみたいだった。眠そうに目を擦りながら首を傾げているお姉さんの服、ピンク色のパジャマは前が大きく開いていて、ぷにぷにと柔らかそうな肌や真っ白なかぼちゃパンツまで見えていてドキッとしてしまう。
「あの、迷子になっちゃったみたいで……」
「そっかぁ……じゃあ私と一緒に行こっか〜……」
正直に答えると、ネズミのお姉さんは手にしたチーズ型枕をぎゅっと抱きしめてからふにゃりと笑みを浮かべた。差し出された手をおずおずと取って立ち上がると、お姉さんの頭についた大きな耳がぴょこぴょこと動いた。よく見るとお尻から生えた尻尾もゆらゆらと機嫌よく揺れていて、なんだか可愛いな、と思った。不意にお姉さんの顔がすっと近づいてきて、またドキッとしてしまう。
「すんすん……キミ、変わった匂いがするね……」
「ご、ごめんなさい。汗臭いですよね……」
「確かにキミの匂いは濃いけど……嫌じゃないよ〜。ただ、この国の人じゃないんだなって〜……ふぁあ……」
「この国って……ここはどこなんですが」
「ん〜……まあ、それは後で……キミ疲れてるみたいだし、私も眠いし……とりあえず私のお家に行こ〜」
お姉さんはぼくの手を引いて森の中を歩いていく。家に向かう道中、ぼくはドキドキしっぱなしだった。お姉さんと手を繋いでいるというのもあったけど、道すがら見かけた人たちが、不思議なことをしていたからだ。
木々の向こうで、男の人と紫の猫みたいな女の人が、裸で抱き合っていた。紫の尻尾が生えたお尻が男の人に撫でられて、揉まれて、むにむにと形を変える。紫猫さんは嬉しそうな声をあげて男の人にキスをして、ぺろぺろと舌を舐め合っていた。不思議なのは、男の人のおちんちんが大きく固くなっているように見えたことだ。紫猫さんはふわふわの手でおちんちんの先端をいじったり、先っぽの裏側を撫でたり、上下に擦って……更にはそのおちんちんが、紫猫さんのお股にずぷずぷと飲み込まれてしまった。裸の2人が上ずったような甘い声をあげたところで、ぼくはサッと視線を外した。
もう少し進んだところでは、芋虫みたいなお姉さんがぼくと同じくらいの男の子の……おちんちんをお口に含んでじゅるじゅると音を立てながら吸い上げていた。大きな芋虫さんに抱き上げられるような姿勢の男の子はびくびくと身体を震わせながらも必死に耐えているように見えた。やがて男の子がびくんっと大きく体を跳ねさせた後でぐったりしてしまった。お姉さんは満足げに口を離すと、男の子を腕の中に抱きかかえて、赤ちゃんをあやすように頭を撫で始めた。男の子の方も息を整えつつ幸せそうな顔になっていて、なんだかうらやましく思ってしまった。
そんな光景を見るたびに、心臓がドキドキして、頭のなかがぴりぴりして、おちんちんがむずむずした。ぼくは自分がどうしてこんなところに来てしまったのかという疑問がもやのなかに消えていくようだった。
「はい、到着しました〜」
ネズミのお姉さんの家は、絵本に出てくるような可愛らしいログハウスだった。扉を開けてくれたお姉さんに促されて中に入ると、小さな家には似合わない
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