僕はクエストボードとにらめっこしていた。
冒険者ギルドに入って1か月。レベルもあがってきた事だし、もう薬草摘みや素材集めのクエストは卒業したい。少しレベルが上の依頼に目をやって、討伐クエストの依頼書をボードからはぎ取った。洞窟にいる魔物を追い出す内容で、推奨レベルは3〜5。たぶん大丈夫だろう。
このクエストを受けることに決めて、受注の手続きをカウンターで行う契約書にサインを書いて提出する。内容は、低レベルクエストなので失敗しても救助隊は来ないこと、クエスト中のトラブルには個々人で対応することなど、いつもの内容だ。愛想の無い受け付けに契約金を支払ってクエストを受注した。
初めての討伐クエストだ。
期待と不安を胸に僕は目的地近くに向かう馬車へと乗り込んだ。
◆
よせばよかった。
薬草摘みや素材集めでよかった。
もっと経験を積むべきだった。
月の光りも届かない薄暗い洞窟の中で、僕は後悔に涙を滲ませていた。
馬車を降りてしばらく歩いてたどり着いた人気のない洞窟。そこで僕は魔物に捕らえられていた。たいまつがあるから平気と、暗い洞窟に目が慣れないうちに奥へと進んだせいで、不意打ちをくらった。天井から降ってきた魔物の一撃を受けて剣を手から離してしまった。慌てて拾おうとした隙をつかれて、たいまつまで奪われた。
しかも、魔物は1体じゃなかった。たいまつを奪った魔物に気を取られているうちに、他の2体に捕まってしまった。人並み外れた力で持ち上げられ、魔物たちの巣へ連れ去られてしまった。
「はぁっ、ああっ……!」
壁に突き立てられた、たいまつに照らされた人影は間違いなく魔物だ。本来腕がある部分には紫がかった黒の大きな翼が生え、足も翼と同じような色の体毛がびっしりと生え、獣のような爪が伸びている。頭の上には大きな耳が生えていて、その姿からコウモリの魔物だと分かった。
「やだ、やめて……っ!」
武器も逃げ道もない僕は命乞いをするしかなかった。低レベルクエストだから助けもこない。言葉が通じるかなんてわからない。でも、口から勝手に情けない声が出た。コウモリの魔物たちはくすくすと笑いながら、こちらに近づいてくる。
「お願い、助けて……!」
言葉が通じなかったのか、聞き入れる気がないのか、コウモリの魔物たちは鋭い爪の生えた足を持ち上げ、振り下ろし、僕の服を切り裂いた。
「わぁあ! やだぁ! たすけてぇ!」
必死になって懇願しても、コウモリたちは攻撃をやめてくれるはずもなかった。肌に傷をつけないように、わざとゆっくり切り裂いている。コウモリの魔物たちが楽しんでいることは明らかだった。最後に残された下着も切り裂かれ、全裸になった僕を見て、コウモリの魔物たちはきぃきぃと魔物じみた声で笑っている。
「ひっ……いぃ……」
コウモリたちは恐怖で縮こまった性器を指差してまた笑う。恥ずかしさと悔しさと恐怖で涙がこぼれ落ちる。こんなことなら冒険者なんかになるんじゃなかった。今更後悔しても遅いけれど、心の底からそう思った。
「やだぁ、やだよぉ……」
僕は全裸のまま、ボロボロ泣きながら頭を抱えるように縮こまった。これから始まる恐ろしい事を受け入れたくなくて、現実を直視したくなくて自分で作りだした小さな暗闇に逃げ込んだ。でも、そんな意味のない逃避すらも許されず、魔物たちが近寄ってきて頭を抱えていた両手を無理矢理に開かされた。2体の魔物に片腕ずつ掴まれて、涙でぐしゃぐしゃになった顔を晒される。
「ひい……っ!」
目の前には残りの1体の魔物が立っていた。人の形をしたコウモリの魔物、これから僕を遊び半分に切り裂くのか、干からびるまで血を吸うのか。僕の腕を掴んだ2体の魔物が顔を寄せてくる。熱い吐息が耳元に、首にかかる。やだ、やだやだ、怖い。怖いよ。僕はぎゅっと目をつぶってその時を待った。
「…………?」
でも、いつまで経っても牙も爪も僕に向けられることはなかった。恐る恐る目を開いてみると、相変わらず目の前にいるのは笑みを浮かべたコウモリの魔物。その笑みは、なんだか僕の想像していたものとは違って――。
「っ!?」
次の瞬間、僕は目の前で何が起きているのか理解できなかった。コウモリの魔物が胸元のベルトのような衣服をカチャカチャと音立てて脱ぎ捨てたのだ。押さえつけられていた膨らみがぷるん、と解放され、たいまつの灯りに照らされる。白い2つの胸肉の先端はピンク色で、ぷっくらと膨らんでいる。恐怖で気がつかなかったけれど、3体の魔物は皆女の子の姿をしていた。
一瞬、服が僕の返り血で汚れるのを嫌って脱いだのかと思ったけれど、様子が違う。押さえつけられた僕の目の前に白い胸を付きだし、体を左右に振って
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