なまらぬくい

ピンポーン

朝…まだ太陽も出きっていない冬の早朝、アパートの一室で
寝ている俺の耳に呼び鈴の音が入ってきた。
この時間帯に来るのは大体は新聞屋だが、一々呼び鈴を使うことはしない。
だからこれは…

「先パーイ!センパイ、センパイ、センパイ!」ダンダンダン!

やっぱり。聞こえてくるのはドア越しでも届いてくる程元気のある女の子の声…
てか、そんなに声出るなら呼び鈴いらないじゃん;それにそんなに扉叩いたら…

「先パーイ?いたら返事をしてくださ…ふきゃあっ!?」ドサドサドサァ・・・

あ〜、言わんこっちゃ無い;昨日の大雪で屋根に結構積もってたんだろうなぁ…
(っと、思ってるだけじゃいけないな;助けに行かないと…)
まだ眠たがる体を無理矢理起こして声の主を助けに行く。
生き埋めにされた女の子をほっぽって寝るなんて非情な男では俺はない。

ガチャ  ギィィ…
「ふぇ、ふぇんぱ〜い;はふへへ〜(泣)」

扉を開けるとこんもり盛られた雪製の小山から片手を出して助けを求める声がする。
スコップを使うと危ないので、手を使って掻き出して数十秒…

「…っしょっと、大丈夫か?」
「ん〜…ぷはぁっ!! あ〜苦しかったぁ; ありがとうございます、先パイ♪」

顔を出してきたのはイエティの母富裳 暖女(もふも あたため)ちゃん、俺の彼女だ。
近くの商店街(俺が働いてる所)会長の娘さんで年は高校生になるかならないか位。
ちなみに俺は三十過ぎなので、暖女ちゃんとは所謂年の差カップルである。
仕事に関しては本当は暖女ちゃんの方が先輩のはずなのだが、
「そちらの方が年上なのと仕事の方も学校等で大して手伝えていないから」
という理由で俺の事を先輩と呼んでくれる。ええ娘や(/_-。)
それにしても、少しの間とはいえ雪に埋まっていたというのにこの明るさと元気さ、
さすが寒冷地住まいの魔物娘である。
…自力で出られたんじゃ、なんて事は言わない。失礼だしね。

「こんな時間にどうしたんだ、今日はシフト休みだろ?」

「おせっかい焼きに来たんです!先パイまだご飯食べてないでしょう?」

「そうだけど、また作ってくれるのか?」

「はい!食材も持ってきました!美味しい料理作ってあげますね
#9829;」ニパッ

そう言いながら布をかぶせた籠(背中に背負うタイプである…デカ過ぎない?)
を見せながら満面の笑みを見せてきた。
この太陽にも負けない底抜けに明るい笑顔…あぁ、癒される。
起きたばかりの体に暖かさが染み渡ってくる様だ…

「…先パイ?」

「あぁすまん、ほれ、中に入ってくれ」

このまま立ち尽くしていると流石に寒いだろう、早く家に入れてあげよう。

「おじゃましま〜す、って、あ〜!先パイったら
この前片付けたばっかなのにもう散らかしてる〜!」

「いや〜ははっ、つい面倒臭くってな;またお願いできねぇか?」

「んもうっ!私は先パイの掃除機じゃないんですよ!?」ぷくぅ

「悪いと思ってるて;俺も手伝うからさ、な?」

「む〜、今度来た時もこんなだったら知りませんからね?」ガサガサ

前もそう言いながら片付けてくれたけどね、本当はダメなのは分かってるんだけどなぁ、
つい甘えたくなるって言うか、あの膨れっ面も可愛いから見たいって言うか…

ガタガタッ、ゴットン、クシャクシャポイッ、カッコー(掃除中)

「…よしっ!こっちはある程度片付いたんで
後は先パイでやってくださいね?私は料理の準備をしますので…」

「おう、いつもすまないねぇ;」

「そう思ってるのなら少しは保たせてください!
全くもう、いつもゴミ掃除から始めさせて…!
せっかくのさわやかな朝が台無しです!」プンスカ

(ゴメンな、保たせる気は無えかも;)

残りの片付けを俺に任せ、彼女は料理の準備をする。
残りといっても拾うものは殆ど拾い、
分別も済ましているため、後は袋に詰めるだけである。
ごみ拾いの際はいつもここまでやってくれる、本当に尽くされてるっていうか…
甘えてるよなぁ、俺…いや、甘やかされてるのかもな?
そんなことを思いながらふと視線を彼女の方にやる。
目に入るのは暖女ちゃんの料理姿、
マフラー一筋にオーバーオール(+エプロン)と季節的に過激な格好になっている。
寒すぎるんじゃと思うかもしれないが、
彼女は獣人型の魔物娘なため、体の大部分は毛皮で覆われている。
その上寒冷地生息だからこの時期にも着込む必要は無い
(どころか服を着る事自体必要無いそうだ)。
この格好、俺としては性的にもかなり過激な方だと思う。何故かって?
彼女達は胸や尻は毛皮でそんなに覆ってない。オーバーオール一着程度では
彼女の褐色の肌を隠しきれてはいないのだ。特に胸なんかは大きいから
ちょっと姿勢を変える度に谷間がモロ見えである。

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