リュカが魔界の地を踏んでから既に一週間が経過していた。彼は今現在、魔界一の広さを誇る森林の真っ直中に居る。避けて通れるならそうしたかったが、教団が決めた魔王城への最短ルートではこの森林しか道がなかった為、勇者は鬱蒼とした木々の間を只ひたすらに突き進む。しかし、山歩きに関しては育った環境の影響もあって然したる問題のないリュカにとってはもっと気になる事があった。
――あれが本当に魔物なの?
教団の講義で教わった魔物は凶悪にして醜悪。彼らの教え通り人類を破滅に導く存在に相応しい姿。ところが実際に彼が目の当たりにしたのは美しく妖艶な人間の女性と異形が混ざり合ったような魔物。最初に目撃したハニービーに始まり、ワーウルフ、ワーキャットの計三種全てにおいて例外は存在しなかった。
衝撃を受けたリュカは草木の間などに身を潜めてやり過ごすことに今のところ成功はしていたが、何時までも彼女たちから身を隠し続けることなど不可能に近い。だが観察する限りではとても邪悪な魔物に見えない彼女たちを教団から授けられた業物の剣で斬れるかと問われれば彼の答えは否であった。
――何が本当なのか分からなくなっちゃった。けど、旅を続けていれば真実を得られるかもしれない……。
抱いてしまった疑念を晴らす答えがない今、前に進み続け自分の目と耳で全てを明らかにするしかない。そう結論付けたリュカは再び歩み始める。
数時間後、歩き疲れたリュカがそろそろ休憩にしようと身を隠せる場所を探そうとしたその時、何処からともなく漂ってきた甘い香りが彼の鼻を擽った。何の臭いだろうと勢いよく嗅いでみると、頭に霞が掛かったかのように何も考えなくなりそうになる。
もっとこのぬるま湯の様な感覚に浸っていたかったが、主神から授かった加護が危険だと警鐘を鳴らしていた。ここで彼が選んだのは……。
【@誘惑を振り切り香りが漂ってくる方向から急いで遠ざかった】or【A誘惑に勝てず香りの発生源へと向かってしまった】
【@を選択した場合】
甘い香りの誘惑に打ち勝ったリュカは再び森を抜けるべく気合いを入れた。
――それにしてもさっきのは何の臭いだったんだろう?
【ToBeContinue...】⇒【森の暗殺者】
【Aを選択した場合】
甘い香りのまんまと誘われてしまったリュカは突然襲い掛かってきたツタで全身を拘束されてしまい、その大元である巨大な花弁の中に引きずり込まれてしまった。彼の体を飲み込む為だけに開かれた花は直ぐに閉ざされリュカは中に満たされた何かの液体にドップリと浸かってしまう。と同時に花弁内部に充満するさっきより何十倍も濃厚な甘い香りに、彼の思考能力は更に低下してまともな判断さえできるか怪しい精神状態に陥ってしまった。
勇者を罠にはめた張本人は美しい女性の姿を持つ植物型の魔物『アルラウネ』。朦朧とするリュカの頬を愛おしげに両手で挟むとそのまま彼の唇に自分の唇を合わせた。流石のリュカも驚いて正気に戻るが時既に遅し、口内に侵入を果たした彼女の舌で蹂躙されてしまう。
「んんぅーーっ、んぐっ、ふむっ、んぶっ……んぅ」
「ちゅぅ……んじゅぅ♪ちゅぶ、んんぅ、はぁぶ……美味し♪」
愛し合う男女が交わす行為だという知識はあっても実際にしたことなどない初なリュカは、早くも彼女とのキスに心奪われていた。
――なにこれ?こんなのしらない。……でもきもちいい♪
心臓は相手にも聞こえるのではと思える程に高鳴り、本人は気付いていないがズボンの一部が盛り上がっている。
それを彼女が見逃す訳がなく、再び唇を合わせリュカの口が無防備になったのを確認してから媚薬効果のある特製の密を大量に流し込んだ。当然彼は反射的に吐き出してしまおうするが、アルラウネが指を突き入れて阻止し、そのままグチュグチュと密液を掻き混ぜながら耳元で囁き掛ける。
「えぶぁぁ……なに、これ……んじゅぅ」
「安心して、これは毒じゃなくて私が造った蜜だから♪
それにとーっても甘いでしょ?頭の中がおかしくなりなりそうなくらいに、ふふふ♪」
彼女の言う通り教団の教育機関で与えられたどのようなお菓子よりも……いや、比べること自体愚かしい程に甘く、もうこの密さえあれば他の食べ物などいらないとさえ思わせる魔力が秘められていた。そんな破滅的な思考に飲まれたリュカは遂に自分の舌で蜜を口全体に塗りつけるようにして味わい恍惚の笑みを浮かべる。
ここでアルラウネは更なる追い討ちを掛けていく。
「飲みなさい。美味しそうに喉を鳴らして、舌で確りと味わいながら、一滴残らずにね」
普通なら抵抗しようとするだろうが、最早彼女の手中にある勇者は言われるがままに舌の上でゆっくりと
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