ラーメン大好きエリナさん

私の名はエリナ。種族はリリム、そう魔王の娘、第515女よ。チャームポイントはそうね……視力があまり良くないから眼鏡をかけていることと、趣味でやってた武術で鍛えた筋力かしら。

私は、今、異世界にいるわ。私は魔王軍の斥候としてこの異世界での諜報活動をしているの。私の世界では代替わりより長く続いた教団との抗争にも決着が付きつつあったわ。魔王もといお母様が次の一手を講じていた矢先、遂に異世界との確固たる往来方法が確立したの。

昔から異世界から来た人々は多く、異世界の存在も認知されていたわ。こちらに住み着いた異世界人の提案で魔王軍にも異世界対策を主眼とする部署も作られたわ。
そして私は通称『異世界部』にて魔王軍最高司令官でもあるお母様の指示の下、この世界で斥候活動を行っているわ。

私が派遣された先は日本、図鑑世界でいうとジパングにあたる地理、風土、文化をもつ国ね。ただ、かなり高度に発展したため、見てくれはジパングのそれとはかなりかけ離れているようね。

刀を挿した武士はおらず、スーツという一様の格好の人々が溢れかえっている、木造の建築物は少なく、無機質かつ高層のビルといわれる建物が多い等色々あるけど多すぎるので割愛しましょう。

そんな私たちの目的はこちらの世界の情報収集、文化から社会情勢等役に立ちそうな情報を集めてはあちらの世界に送っているわ。そしてその情報を下にこちらの世界への最善の進出計画を画策しているようね。
因みに可能であれば女性を魔物化したり、男性を堕としたりて協力者を増やしてもいいわ。

私は日本の北方地域担当支部の隊長をしているわ。大都市S市に潜伏し、各地に潜伏と連絡を取り合いながら活動しているわ。
え、魔王の娘なのになんでそんな事してるかって?それは面白そうだったからよ。ただそれだけ。
…………男に恵まれなかったからとかそんなんじゃないからね!?

さて、そんな私はこちらの世界で外国人を装い、こちらで人気の創作作品から姓をとって『映里奈・ユーティライネン』と名乗り、賃貸住宅の一角で過ごしているわ。事あるごとに街へと赴き、こちらの文化や生活様式にまつわる情報を収集しているわ。
その中で特に感心を持っているのは食文化。こっちの世界は食文化が非常に豊かなようね。玉石混交だけど、向こうの世界にはない美味しいものがたくさんあったわ。魔界植物や魔界動物を使っていないのにもかかわらずね。

その中で特に美味しかったものは『ラーメン』と呼ばれる料理ね。豚や鶏などの動物や鰹や煮干し等の魚介類から採った出汁で作った熱々のスープに細い麺を浸し、アクセントとして、チャーシューと呼ばれる薄切りの肉やメンマと呼ばれるたけのこの加工料理、鳴門と呼ばれる渦巻模様のかまぼこや海苔が乗っけられている料理よ。
ここS市は日本でも選りすぐりのラーメン店が集結する街のようね。多くのラーメン屋があったわ。これも玉石混交なんだけど美味しいものはとことん美味しいわ。今ではすっかりこれの虜になってしまって最近、昼食はラーメンが大半を締めているわね。
最初のうちは色んなラーメンを試したわ。だけど今ではだいぶ食べつくしちゃったし、地雷のお店についても見分けがついたからお気に入りの店ばかりに行っているわね。

おっと前置きはこのくらいにして、今日は『異世界レポート』の中から、私選りすぐりの店を二店紹介するわ。

一軒目:S

S市の象徴とも言える大繁華街S。ここは多くの居酒屋や飲食店が集結している一方で私たちの世界で言う、娼婦街に当たる街のようね。
聞いた話だとお金に困った女性がその身を売って稼いでる事が多いって……
ここは真っ先に掌握すべき所ね……

と深刻な話はここでは置いといて目的地のS繁華街を駅前通りの道を沿って南へ進んだ先、繁華街の南端にあるお店ね。小さくて席も少ないお店だけどガイドブックで丸々1ページ割かれて紹介されるような新進気鋭のお店ね。
店内はカウンター席のみ、内装も派手な色は使っていないかなり落ち着いた雰囲気のいい所ね。上の方には沢山の色紙があるけど、どうやら有名人も沢山来たみたいね。

いつものように食券を買い、カウンターで待つ。カウンターの仕切りが低いから鶏出汁の香ばしい匂いが漂ってくるわ。すると、あっと言う間に出てきた。下手するとカップ麺ができるより早いんじゃないかと思う速さのときもあるわね。

ここの看板メニュー『特製淡麗中華そば』赤みのある茶色のスープに黄金としか形容のしようが無い色の鶏油が浮いているわ。ドラゴンの娘が本当に金と勘違いしちゃいそうね。それに加え二本のメンマと二切れの白い鶏チャーシュー、一個の卵が入っている。だが最も目を引くのは中央にラミアがとぐろを巻くように積み上がったサーモンピンクのレアチャーシュ。全体的に落ち着いた色で
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