「違ぁあーう!もっと媚に媚びた声をだせ!女っぽくだ『まぁおぉうさまぁ
#12316;もぉっとお
#12316;』 もう一回いってみろ!」
「あ……こう……?まぁおうさま
#12316;もっt」
「違ァーうっ!!棒読みじゃないか!それにほら、お前も!もっと魔王らしく、奴を猫可愛がりしろ!」
「ホント、どういうことよ……」
椅子に腰掛けている男、つまり俺の膝上にリリムが腰掛けている、つまりは対面座位の姿勢でいる。その2人に映画監督のようにメガホンを持ち、怒声を浴びせて指導しているヴァルキリーというかなりシュールな絵面。
さて、ここで問題、俺達は一体何をしているでしょうか?
正解は『イメージプレイ』の予行演習である。イメージプレイといっても、普段ベッドの上でするごっこ遊びの延長線上のものではなく、まるで本格的な演劇のような、用意周到なプレイである。どうしてこうなってしまったのか。俺の境遇と共にその経緯を紹介するとしよう。
俺、大塚康之は2人の嫁がいる。リリムのメリナとヴァルキリーのヘリアだ。不真面目と生真面目、奔放と自律、陽気と冷静、快楽的と禁欲的、自分本位と他人本位、常識と非常識、等々性格は真逆な部分が多い2人だったが、俺への愛の強さは甲乙付けがたいものだった。
俺と彼女達の馴れ初めは2人が同時に俺に一目惚れしたことからだった。魔王の娘らしく、セックスアピール全開にして誘惑してくるメリナと神の使いらしく神がどうたらこうたらと変な理屈をつけて俺と関係を持とうとするとヘリアの争いだった。俺は二匹の猫の取り合いになっているネズミのおもちゃ並に振り回されたものだった。
最終的には文字通り2匹の猫によるキャットファイトにまで発展したが、結局決着はつかなかった。
優柔不断だった俺はどちらかを選ぶなんてことは当然できるわけなく、最後は2人共受け入れることにした。そもそも、2人同時にアプローチされるという願ってもいない状況に内心最初から喜んでいたものだ。
正反対の2人との三角関係はどうなるものかと不安な部分もあったが、意外にも事は上手く運んだ。
正反対な分、お互いの長所を称え合い、短所を補い合うという互いを認め合い、高めていく良きライバルのような関係になった。付き合う前はいがみ合ってばかりの2人だったが、今となっては俺の誘惑に百合キスを使ってくるぐらいには仲良しとなった。それでも些細な小競り合いは今でも時々発生しているが。
俺としても趣旨が正反対の2種類のプレイを味わえたり、正反対の2人に同時に襲われる刺激的な3Pも味わえたりできるので最高の出会いだったことには疑いない。特に天使と悪魔の相反誘惑プレイは最低でも週一でヤる程に病みつきになっている。
時間をちょっと戻して少し前、ソファーの上で雑誌を読みながらいちゃつく俺とメリナの前に突然仁王立ちしたヘリアがこんな提案を吹っかけてきたのだった。
「本格的な闇堕ちプレイをしようではないか!」
「「は?」」
得意げな笑みを浮かべている彼女と対照的に、俺とメリナは意味が分からず、呆れてぽかんと口を開けていた。ヘリアの主張を要約すると今回は魔王に連れ去られ、虜となってしまった嘗ての勇者に襲われているうちに快楽に目覚めてしまう闇堕ちを舞台や衣装等も含めて本格的に演出した上でやりたいとのことだった。そんな大掛かりなプレイなんて想像もつかないので、俺は得意げな様子のヘリアになんて返せばいいのか思い浮かばず、黙っていた。
「わからないか!?快楽に堕ちていく様を演じて、この身で味わってみたいのだ!!」
「ナニ言ってんのよアンタ……」
メリナ目をじっとりと細めて呆れ果てた様子だった。そんな彼女を他所にヘリアが演説じみた口調で力説し続けた。
「魔王の娘たる貴様ならわかるだろう!神の使いである高潔で麗しき戦乙女が魔物に屈し、堕落することで快楽に目覚め、貪るという背徳的行為が織りなす素晴らしさを!」
「知らないわよ!」
声を荒げるメリナを他所に俺は彼女の右手に握られているものが何かを突き止めた。俺が相当昔に買った闇堕ちを題材にしたエロ漫画だ。
モンスター娘が出ているから衝動で買ったものの、メリナ達魔物娘のいる世界では当然ご法度の女性が不特定多数の男とヤッてる描写が多いため、そもそも俺が元からそういうものが嫌いだったので、買って直ぐに本棚の肥やしになり、いつしか押入れの奥にしまったものである。どうして、そしてどうやってヘリアはそんなものを見つけ出してきたのだろうか……。
ただ、これの影響を受けたのは明白であろう。
そんなことを考えている間にも2人はまだ口論していた。
「わからぬか?先達のヴァルキリーたちは魔物と教団の争いの中で、勇者を育て上げている間知らぬ間に魔力に蝕まれ、魔物側に寝返ってしまう冒涜や
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