ここは触手の森。
濃度の高い魔力漬けとなった土地に生息する触手植物がひしめきあい、まるで森の様相を呈することからそう呼ばれる。
そこに訪れるのは大体疼く体を慰めてもらいに来る独り身の魔物娘か二人で目一杯愉しもうとする夫婦のどちらかだ。
触手はそんな魔物娘に対して快楽を与え、魔物娘から魔力を吸って生きる生物である。
もし、人間女性が何かを間違えてここに来ることがあれば、土地の魔力でたちまち魔物娘化、つまり触手の標的となるだろう。
そして人間男性の場合、ここに来ても大体の場合は何ともない。
精を生成する能力を持っていることから人間女性ほど露骨に魔力の影響は受けないし、触手は触手でそんな人間男性からは魔力が得られないので何もしてこないのだ。
例外として、女性化願望著しい男の場合は土地の魔力がある程度体に蓄積した時点でアルプ化し、もれなく触手の餌食になるというが、それはまた別のお話。
ここに生息する触手植物というのは魔物とは共存関係にあり、おとなしいものである。よって、魔物が嫌がれば必要以上の責めをするようなことはしないし、魔物が望めばグチャグチャに犯して魔力を存分に吸い上げることもある。
ただ、森の奥深く。いわゆる深奥部に進めば進むほど触手は凶暴化し、そこまでやってきた魔物娘は皆例外なく徹底的に犯されてしまうという噂もある。
噂、と言うのは、事実を確かめた者が少ないのだ。
魔物娘がその噂を確かめようとしても途中で触手に捕まってしまい、最終的には記憶がこんがらがった状態で森の入口で発見されることが多い。そして人間男性が確かめようにも、途中で嬌声を上げる美しい女性の姿を目にしてスルーできる精神力を持つ人は少ない。
「―――故に、今まで噂でしかなかったが、筆者はようやくその触手の森の深奥部にたどり着くことに成功した…っと!」
独り言を呟きながらレポートにこれまでの観察記録と考察を少年は書き加えていく。
少年の名前はオレグ。反魔物領の貴族だったが、しきたりに囚われた生活を嫌がって外に飛び出して行ってしまった弱冠17歳の冒険家である。
今回の、触手の森に関する記録は結構いい感じにデータがとれているので、考察のしがいがある。これまで二人して愉しむ夫婦や一人で触手に慰めてもらう魔物娘なんかを何回も見かけ、そのあられもない痴態、もといありのままの真実をとったそのデータを元にした考察だ。
確かに森の深いところにまで来れば来るほど触手の責めは激しくなっているようにも見える。特に、こんな深奥部の近くになってくると白目を向いている者も珍しくはない。
そこまで考えて、オレグは首飾りに目をやる。
「これ、結構助かるもんなんだなあ」
首飾りは十字架の形をしていた。
反魔物領の貴族や一部の兵士が持つことができるこの高級品は主神教団が総力を挙げて開発した対魔力防護ペンダントである。旧魔王時代からあったというこのペンダントだが、新魔王時代になってからは簡単に発情しないようにする効果も付与されている。さすがに魔物娘からストレートに魔力や想いをぶつけられるとどうしようもないらしいが、こうして魔界を歩く分には特に何も問題はないのだ。
現に直接肌に触手の粘液を何度も浴びているがなんともない。
水たまりのような粘液に足を踏み入れてもなんともない。
数々の痴態を目にしたってなんともない。
性に対して大いに興味を持つ年頃であるオレグがこうなのだから、このペンダントは確実に効果があるのだ。
辿り着くことが難しいと言われるこの触手の森の深奥部。
彼は実に合理的な方法であっさり辿り着いていた。
「さて、今日も魔物娘はやって来なかった、と…。いい加減眠くなってきたなぁ…」
深奥部は暗い。とにかく暗い。日が差さないのでオレグは魔法による明かりを用いて辺りを見ていた。それでもやはりと言うか、ここまで来れる魔物娘もそういないため、彼はいつもの通り明かりを消して寝袋の中に潜り込もうとしていた。
その時だった。
「?!―――ぬぐっ!?」
頭と肩、そして太ももに突如、後ろから触手が伸びてきた。そのまま触手は男の身体に絡めて後ろに引っ張っていく。
「〜〜〜〜っ!?―――」
ぬるんぬるんと周りの触手に腕やら脚やらを撫でられながら勢い良く引っ張られていく。持っていたレポートやペンはその勢いで取り落としてしまった。
勢いが収まる頃にはオレグの身体は触手の粘液まみれになっていた。
「―――っ!!」
次に、触手はオレグを弄り始める。服の下に潜り込み、胸に触手を這わせ始める。頭に絡まっていた触手は口に突っ込み始め、下半身の触手はズボンを引きずり始めた。
「…。オイ、誰だよ、触手は女しか襲わないって言った奴」
初め、オレグは冷静だった。あまりに唐突過ぎてどう驚けばいいの
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