エロフさんに搾り尽くされるまで

「…………」

森の中にある、小さくも澄んだ池。
そこに佇む、名も知らぬ女性に、僕は見惚れていた。

人間よりも長く、尖った耳。恐らく、彼女はエルフで。
水に濡れて纏まった、腰まで届く程の金髪は、差し込む木漏れ日を反射し、煌びやかに輝いている。
理智的さに溢れ、端正に整った顔立ち。僕より歳上のように見えるが、歳下の少女のようにも見える。
近づき難い雰囲気も醸し出しているが、これ以上は考えられない程の美人だ。むしろ、その近寄り難い雰囲気すら、美貌を引き立てているように思えてならない。
遠くを見つめる彼女。憂いをたたえた横顔に艶かしさを感じてしまう。

そして、彼女の身を覆い隠す物は何も無く。生まれたままの姿を僕に晒していて。
透き通るように白いながらも、生気に満ちた肌。
華奢ながらも、肉付きの良い身体つき。そのシルエットは、均整の美という物を体現していて。
遠目に見てもその張り、柔らかさが伺える、豊満な胸。
その大きさにも関わらず、乳房は全く垂れていない。
美しく纏まった造形ながらも、零れ落ちそうなほどの柔らかさ、重量感を僕の視覚に訴えかけてくる。
つんと上向いた乳首は、慎ましやかに、しかし確実にその存在を主張している。
まるで果実のような、弾力を想起させるお尻。
むっちりと肉感的、それでいて太過ぎない太ももが眩しい。細く引き締まった脚に、女性的な柔らかさのみを上乗せたかのようで、そこには贅肉一つ無い。
きゅっとくびれた腰回りが、身体のラインに緩急をつけ、それらの魅力を一層引き立てていて。無論、くびれの曲線美そのものも、僕の目を惹きつける。

僕が今までに見てきた何よりも、彼女は美しく。
木漏れ日の中で水浴びをする彼女の姿、僕の目に映る光景は、絵画の中の世界に入り込んでしまったかのように幻想的。
そして、彼女の美しさは、芸術品のようなそれだけではなく。
男を欲情させる淫らさ。女としての魅力が溢れ出していた。


「…………♪」

彼女は、濡れた髪をかきあげると、水面に身体を預け、仰向けに浮かび漂う。
そして、静寂の中、緩やかな旋律を歌い始める。
決して大きくは無いものの、凛として、よく通る歌声。
艶めいて、色香を孕んでいて、女性的な魅力に満ち溢れていて。
穏やかな旋律であるはずなのに、何処か妖しい響き。僕の背筋を、心地良くぞわつかせる。

歌声に聴き入り、魔性とも形容出来そうな程の彼女の美しさに魅入る。
時間を忘れ、自分のしている事の意味も忘れ、僕は彼女に心奪われていた。





どれぐらいの間、彼女に見惚れていただろうか。
それは分からないけど、恐ろしい程の早さで時間が過ぎて行ったのは確かで。

「ぁ……」

不意に、こちらを向く彼女。目と目が合う。
知性を感じさせながらも、深く妖艶な輝きを湛えた碧の眼。
心地良く跳ねる心臓。高鳴る胸の鼓動。視線に、心を射抜かれる。

「―――……ッ!!?」

「あっ……」

一瞬の硬直の後、声にならない声をあげる彼女。
その声で僕は我に返り、自分のおかれている状況を理解する。
僕がしていた事はつまり、いわゆる覗き行為で。
そして、それが本人にバレてしまった。
自分のしでかした失態に、血の気が引いていく。

「あちらを向きなさいッ!」

「っ、はいっ!」

胸を片腕で隠し、その場に座り込み、お腹から下も水面に隠す彼女。
怒号とも叫び声ともつかない命令。
反射的に返事をし、声に従う。

「―――。
……逃げようとしたら撃ちますので。こちらを向いても、です」

呪文の詠唱が背後から聞こえ、魔力の唸りが響く。
呪文の詳細は分からないにせよ、僕が受けたならば、ただでは済まない代物なのは確かだろう。

「……す、すみません」

水浴びを覗いてしまった罪悪感。
謝罪の言葉を探すが、ありきたりな言葉しか出てこない。

「いつから覗いていたのですか」

平静を装いながらも、羞恥に震え、怒気の滲み出た語調。
僕を問い詰めるその声も、また美しく。僕の背筋を震わせる。

「……歌い始める少し前、から」

怒られていてでも構わないから、もっと彼女の声を聴いていたい。
そんな、不謹慎極まりない考えを抑え込んで、問いに答える。
誤魔化し様は幾らでもあるのに、正直に、誤魔化さず。
どうしてだろうか、彼女に嘘をつきたくない。

「……何故、この場所に」

「一仕事終えたから、休もうと思って……」

僕は、この森で薬草や果実、キノコなどを採取する事を生業にしている。
それを終えて、一旦休もうとこの場所に訪れた。
その時は、彼女のように美しい女性が水浴びしているだなんて、思いもしなかったのだけれど。

「……ふむ。確かに仕事の後ではあるようですね」

恐らくは、僕の傍らに置かれた、今日の収穫を見ての言葉だろうか。
一応の筋は通
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