商店街。
物部商店街。
今のスーパーやデパートやコンビニが普及した世界ではもう場違いと言われても可笑しくない商店街ではあるが、この商店街はそれなりに繁盛していた。
世の中シャッター商店街などありふれているようだが、ここはシャッターが閉まっている店は一つとなかった。
「いや…残念ながら一つ締まってる所があるよ。」
あそこの、本屋。
古本屋。
古本屋だったのか、勝手に倉庫だと思い込んでいた。
訂正、一つを除いて、締まってる店はなかった。
シャッターは締まったが話が締まらなくなってしまった。つまらん。
「なんであそこは締まってんだ?」
「えーっとねぇ、店の主人が風邪こじらせちゃったみたいでねぇ、一週間くらいかな、実家に帰ってるみたいなのよ。」
「へぇ」
風邪か、そりゃ、大変だね。
「で?骨董屋から刀盗んだ奴は分かったのかよ。怖くて夜も寝れねぇぞ。」
骨董屋。刀。
そう、いや、そうとか言われても全くわからないだろうけれど。
なので軽く説明をするならば、この商店街で窃盗が起こった。
まぁ、万引きである。
そして盗まれたのは刀。
それが壷や皿ならまだしも、刀。
幼稚な言葉で端的に言うなら危ないものなのだ。
流石に見過ごせない、というわけである。
で、犯人探し。
「おい、聞いてんのか?謎が解けるとか啖呵切っといて、わかりませんでしたーなんて済まされねぇぞ、ド畜生が。」
「あぁ、うん、うるせぇな、もう解けてるよ。もうちっと落ち着いて待ってらんねーのかっての」
「ああ!?」
なんだろうな、なんだこうイライラしているのかサッパリだ。
じゃあ、謎解きとしようか。
ーーーー1時間前
物部商店街。
我が家から歩いて20分程である。
これが近いのか遠いのかわからないけれどまぁ、買い物をするならここにしようか、とは思える距離である。
そして今日も足を運ぶ。
正直事件に巻き込まれることとなるので、運ばない方が良かったのだが、後の祭りである。
「よ!兄ちゃん、元気かっ?」
「ん、元気っすよ、お勤めご苦労さんっす。」
交番勤めのおっちゃんに挨拶をする。
商店街への道にあるので、まぁ、商店街に足を運ぶときは必ずと言っていいほど挨拶をするのだ。
で、そんないつもどーーりの道を歩き、商店街に着く。
そして刀がないよーってなってた、と。
「おいおい!このままじゃあ疑心暗鬼になっちまってろくに人付き合いもできねぇぞ!?
いや、人付き合いだけならまだいい商売もできなくなっちまう、それだけはゴメンだろうが!」
魚屋さんが叫んでいる。
「誰か名乗りをあげてくれないかしらねぇ…」
「やーねぇ…」
コロッケ屋、お惣菜屋のおばさまも困ってしまっているようだ。
なんだ、買い物ができねぇのは困る。
「…すいませぇん、今、コロッケ買えます?」
「ごめんねぇ…流石にそんな状況じゃないみたいなのよ…」
「…ですよねぇ」
買い物できなかった。
ちきしょう、迷惑なことしやがって。
「…なぁ、お店屋さんの店長さん達よ、こんなかから探し出そうってオーラでてっけどさ。
犯人、こんなかにいるって決まってんの?」
「あぁ?何だお前。」
「んー、通りすがりだけど、まぁ、救世主って事で。」
「はぁ?」
「あんたらが協力してくれたら、犯人、見つけてやるよ」
言ってしまった。
うるせぇ、ご飯買わなきゃいけねーんだもん
「本当か?」
「あぁ、本当だ。だから頼むよ。」
「何が目当てだ、報酬金は払わんぞ」
「ガム」
「…は?」
「ガム寄越せ、ミントのやつ。」
ミント味のガム。
頭がスーッとして考えやすいから好きなのだ。
「報酬、それでいいよ。」
「……駄菓子屋、ガム。」
「あぁ…はいな…」
駄菓子屋からガムを受け取る。
「ん、前払い確かに。じゃあ、犯人探ししましょうかいね。」
ーーーー
一通りの事情聴取。
家の場所、その時何をしていたか。
まぁ、案の定ババッと見つかるわけもなく。
どちらかといえば世間話をしてしまった。
整理しよう魚屋は夫婦共に寝ていた。
本屋は休み
駄菓子屋は仕入れ、証人はいないが監視カメラに映るであろう。
骨董屋はパチンコ
コロッケ屋と服屋は一緒にカフェに行っていたそうだ。
家の位置はほとんど宛にならなかった。
「あ、このカフェです。」
おっと。
服屋とコロッケ屋が本当にファミレスに居たのか調べるため、案内してもらっていたのだ。
ちなみにこの服屋、なんとびっくり。
俺の家と隣の家だった。
「えぇ、確かにいらっしゃってますね」
「そっすか、確認ありがとうございます」
「いえ、またのご来店をお待ちしております。」
どうやらアリバイは確立されたらしい。
ちなみにこのファ
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