「ふふ…どう料理してやりましょうか…」
「結構な自信だね…?」
どうしてこうなった。
「さて…刃物はこれでいいですかね…」
「ふむ…鈍器はこれでいいな…」
ほんとどうしてこうなった。
「さぁ行きますよ!」
「望むところ!」
どうして。
どうして…
どうしてこいつらは料理合戦をしている…?
ーーーー
以下回想。
俺、サヤと帰宅
サヤ、マユと交戦
結果引き分け、アヤとシズクの仲裁により幕引き。
その時のシズクの場を収めた後の一言。
「お兄さんは私の。」
アホか、余計カッとなるわ。
「にぃは私のだからね!?」
カッとなったわ、バカ野郎。
以後アヤの念力で全員壊滅的頭痛(俺も)
事無きを得る。
ーーーー
そして起きたら…
「にぃ、肉たたきどこ!?」
「お兄様!砥石はどこにあります!?」
…料理の鉄人(物理)が開幕していた訳である。
頭が痛い…
「…っつーか、サヤ、お前物もてんのかよ」
「取り憑きましたからね!ある程度は!」
「さいですか…」
持てて欲しくなかった。
「…お兄ちゃん、これ、どうすんのさ、確かに二人ともそれなりに腕はいいけど…お兄ちゃんが蓄えてた食材も全部使われちゃいそうじゃない?」
「……もうなんでもいーよ、あの二人のお菓子抜きな。」
「それでいいの?」
「…めんどくせぇんだもん。」
あーあ、食費がかさばるなぁ
「…一番効くのはお兄さんに近づくの禁止にすること。」
「は?そんなんでいいのか?」
「うん、確実に効く。」
「でもなぁ、サヤの方はなぁ。」
「………………………………好きなの?」
「えっ、い、いや、ゴーストだから、ある程度近くねーと弱っちまうんだよ。」
「それだけ?」
「おう。」
なんでだろう、たまーに怖いんだよな、こいつ。
「とりあえず止めた方がいいよね、これ。」
「…なんでこうなったんだ?」
「うん?あぁ、えっと、より家庭的な方がお兄ちゃんのお嫁にふさわしい…とかなんとか。」
…妹の時点で相応しくはねーよ。
「…いいよもう、このまんま昼と夜作ってもらおう。」
「…まぁ、現実的ではあるわね。」
アヤとシズクの間に座り(こうしないと何故か怒る)、二人の様子を見る。
マユは言わずもがな料理は作れる、というかうちに来た3人とも作れるっぽい。
そしてサヤ。
俺と親父の分の料理、こいつが作ってくれていた。
というか母親ポジションだった。
つまり。
「もう1品目完成しましたよマユさん!」
…手際など、完璧なのである。
「嘘…早すぎる…ッ!?」
「にひひ、完璧なんですよこっちは!」
綺麗にフライパンを振り卵焼きを作るサヤ、見蕩れる俺を除く3人。
なんだこれ。どんな状況だこれ。
「はっ…見蕩れてる場合じゃない…作らなきゃ…っ」
「もう降参してもいいんですよ?なんたってお兄様は私をえらぶんですから!!」
選ばないけどな。
「ふ、ふんっ、まだ負けたとは決まってないし!負けてもにぃは私を選ぶもん!!」
選ばないけどな。
「…ふん、選ばれるのは私…」
選ばないけどな!
「…私は…うん、たまに構ってもらえればいいよね…」
あぁもうアヤは後で撫で回しとこう
「にぃ!見てて!!絶対虜にしてみせるから!!」
「バカですね!にぃはもう私の虜なんですよ!」
…ならねーけどな。
ーーーー
机に並ぶ豪華品々。
美味しそうなだけではなく、バランスの取れたパーフェクトな昼食。
俺、こいつらが来てからなにより食生活が改善された気がする。
「さぁ!私のから食べてください!さぁさぁ!」
「先でいいの?絶対後に食べた方が口に味が残るよ?」
「空腹は最高のスパイスと言いますからねぇ?」
「うっ、ふ、ふんっ。」
食べない、という拒否権はどうやらないらしい。
ーーーーーーーー
「あぁ…ごちそうさま…」
うぐ…食べ過ぎだ…
「…どっちが美味しかったかな?」
「…わ、わたしですよね?私に決まってますよね?」
そわそわとしながらこちらに問いかける二人。
うん、まぁ、どちらも美味しかった。
どちらも美味しかったからこそしかし喧嘩両成敗とさせてもらおう。
「…どっちも美味しかったよ。」
秘技、ナデナデである。
「はっきり言わないと絶対許さな…ふにゃぁ…」
「お兄様!?そんな曖昧な回答納得できませ…んんぁ……」
蕩けるように倒れ込むマユと溶けるように落ちていくサヤ。
…ナデナデってどんな武器よりもつえーんじゃねーかな。
「…うん、美味しいけど、お兄ちゃんのクッキーのが美味しかったわ。」
「…同意、強いていうならあのキスの味の方が…痛いっ!」
横から余ったのをつまみ食いし、それぞれの感想
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