その気持ちにまだ気付かない。

「まずは話を聞いていい?」

「はいはい?」

「…此処はどこ?」

「ウェルカムトゥマイホームという奴だね!!」

さあさあみなさん大刮目ぅ、音にも聞け!目にも見よ!

いつもはそんなハイテンションボーイ
あっけなく捕まるイエスタデーイ
そんな俺氏はチェリーボーイ

やかましいわ

状況が飲み込めなすぎてラップに走ってしまうくらいパニックになってる。

そんな俺の精神をクリニックってか?

やかましいわ

とりあえず肩をがっしりと捕まれ愛の巣もとい鳥の巣に連れてこられたところまではなんとか把握できている。

把握はできている、なんでかは知らない。

知らない今夜はパーリナーイ
俺は無知だが彼女はムチムチ、ってかぁ?

やかまs(以下略

「じゃ、じゃあ、質問を変えよう、なんで俺はここに連れてこられた?」

「…なんでだろうね?」

「疑問形なのは俺の方だよ!」

疑問形マジ天然系、状況把握できないおっけい、そんな俺は天然の包けーい!

やかm(以下略

「私だってわかんないんだよねぇ…なーんで持ってきちゃったのかなぁ」

「そんなどちらかといえば俺が着いてきたみたいな言い方すんなや」

「あぁ、そうか、そうだ、そうだよ、君がいけないんだ、そうすればいいんだ!」

名案を思いついたみたいな顔してるがスゲェはた迷惑である、迷惑してるさらに困惑、そんな俺はちょっとわくわーく。

いつもは通うハローワーク!

やk(以下略

「いやねぇ、この種族には発情期というものがあるんだよねぇ。」

「…いや、知ってるけど…今発情してる時期じゃないだろ?」

「…そう、なんだよねえ、ほんと、分かんないことだらけなんだなぁ。」

ほんとうに困っているように首を傾げる彼女。
ガチ目に分かってないらしい、どうしたのだろうか。

あ、もうラップはしないぞ、くどいから。

「…それ、普通に俺と話したいだけなんじゃないか?」

「…あー、あぁー!そうかも!そうだね!僕は君とお話ししたいんだ!」

顔をパッと輝かせてこちらを見る

「あっはは、そうだよー、僕は君と話したいんだー…」

「…別に、それなら此処に連れ帰る事も無かったんじゃないか?」

「…あー、そうかも…」

バツが悪そうに頬をかく、表情がコロコロ変わるので見てるとすげぇ面白い。

「んじゃあ、俺を帰してくれよ」

「あ、あの…それは…ちょっとまたない?」

「ん、なんでさ」

「いやー、ほら、ここなら二人だしさ、たっくさん話せるかなって?」

ね?ちょっとだけ!と手を合わせてお願いをされる。
ここまでされたらそりゃ、断ることなんてできないので。

「まぁ、いいけど。」

「そうこなくっちゃ、それでこそ君だね!」

と、流されるままに流された。
時代の濁流にのまれゆく老兵の気持ちがわかった。

いやごめん適当言ってごめん、全然ゎヵんなぃ。

「最近さあ、近くのスーパーのスイカが美味しそうなんだよねぇ。」

「あー、もうそんな季節か、んー、俺はメロンのが好きだなぁ。」

「メロンも美味しいよねぇー、真ん中の部分。」

「わかる。」

何を話すかと思えばこんな話である、世間話。
出会ったときからこんな感じである。

あ?出会った時のこと話す?話しちゃう?聞きたい?聞きたい??

いやごめん、ウザイって言わないで傷つく。



「世間話でも良いんだけどさ、二人きりって言ったらアレじゃない?」

「あれ?」

ワクワクしているような、そんな顔をしながら口を開く。

「こ い ば な 。」

帰りたい。

「ちょっ、何その嫌そうな顔!」

「嫌なんだもん」

「男子は皆好きなんでしょ?恋バナ。」

「好きなのは女子だろ…」

恋とか最近してないしなぁ。
こんな話題をふられても困ってしまう。

「じゃあ話変わるけどさ。」

「おう」

「好きな人いるの?」

「話変わるの意味知ってる?」

避けては通れない道らしい。
しょうがないね、腹くくるしかないね。

「好きな人、ねぇ。」

「いるの?いないの?」

「今は居ないな」

「…そ、そう。」

そう言うと、彼女はガクッと落胆したような顔をした。

「ふーん…そっか、居ないんだ、そっかそっか。」

「なんだよ、なんか文句あるのか?」

「いや、なんかさ、モヤモヤするんだよねー。」

「モヤモヤ?」

元気を地で行くようなこいつがモヤモヤ?

「うん、君が『好きな人は居ない』って言った時にさ、なーんか、カッツーンって、心に霧がかかったっていうかさ。」

「…はぁ」

「なんだろうね、これ。」

「いや…知らんけど…」

今日はいつもよりテンションが低い気がする。
気の所為かな、気の所為か。

「逆にさ」

「ん?」

「ぼ、僕のこと、どう思う?」


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