「お前生きてる価値あんのォ?」
「居なくなったって、誰も悲しまねぇよ」
「両親だってお前捨ててにげるくらいだもんなぁー!」
「親が最低なら隠最低ってな!!!」
「もうほんと、死んじゃえよ。」
大雨をザァザァ降りという表現をした人を、僕は尊敬しよう。
雨水は頭から頬へ流れ、肩へ滴る。
このまま溶けてしまっても、未練はない。
両親はとうの昔に僕を捨てて二人で旅に出てしまった。
血縁はみんな僕を嫌がり、忌み、遠ざけ、孤児院にすら入れては貰えなかった。
そんな僕が、表の明るい世界で生きていけるはずもなく、たどり着いたのはスラム。
地下の薄暗く、汚い世界だった。
正直似合っていたと思う。
毎日のように突き飛ばされ、水をかけられ、泥をぬられ、蹴られ殴られていたのだし、そのせいで服は破れ体は汚れている。
この格好で表の世界を歩けという方が、むしろ苦だったのかもしれない。
まぁ、そんな考えもここで全て断ち切ろう。
終止符を打とう。
ここまで耐えていた意味も、分からなくなってきた所だ。
この川底に身を投げれば、きっと溺れることができる。
溺れられなくても、いつかは対応が下がり、意識を失えるだろう。
どうせなら迷惑をかけずに死にたい。
川に身を投げれば、僕みたいな誰も捜査届けを出さないであろう人間は、きっと迷惑をかけずに済むと思ったのだ。
川のへりに立つ。
未練なんてない。
未練なんて…ないんだけど…
「………」
鉄橋の下、固まって動いていない、1人の…1つの?女性?を見つけてしまった。
正直面倒事は避けたかったが、その容姿は僕みたいな異性に疎い人間ですらハッキリと分かるほどの淡麗さで、どうしても目を引いてしまうのだった。
というか単純に露出が多かった。
さらにというかエロかった。
僕だって、女の子に興味はある。
まったく花のない人生だったのだ、少しくらい行動したって遅くはないだろう。
僕はゆっくりと歩いて近寄った。
警戒をしている訳ではない。ただただ、単純に走る気力すらなかっただけだ。
「…生きてるの?」
「…」
ファーストコンタクトは大失敗に終わった。
「…あっ…なんだ、これ…」
頭をかいて途方に暮れていると、彼女(?)の足元に一切れの紙が落ちているのを見つけた。
その紙にはなにがなんだかわからない古代文字らしき物と、その上にフリガナのように振られた僕達の言語。
そして一番下に、「彼女の右肩に名前を彫れ。」とだけ記されていた。
記させるってったって、書きなぐられてただけなんだけど。
格好つけたいお年頃なんだ、許してくれ。
「…彫る…って、言ってもなぁ…」
彫れ、と言われている対象の右肩には何も彫られておらず、試しに触ってみるとそれは石のような感触だった。
物は試しだ、僕は好奇心のまま足元に転がっていたある程度尖った医師を拾い上げ、紙切れを見ながら自分の名前を彫り込む。
どうでもいいがこの彼女が居る上の鉄橋。
景色がいいという理由からカップル達がどんどん名前を彫っていくのだ。
それを見ながら鼻で笑うのが僕のこの頃の日課だったのだが、今日見つけたのは逸脱していた。
「ユウヤVSミオ ずーっと一緒
#9829;」
戦え、戦うがいい。
とか思っていたら僕の名前は後少しで書き終わるところまで来た。
「後は…ウ…だけだな…」
僕の名前はコウ。
名字は忘れてしまったので、名前だけは自分で考えてみた。
まぁ、誰も呼んではくれないのだけれど。
そして、書き終わり、僕が「よし、」とでも言おうと息を吸ったとたん…
急に動き出したその彼女(?)に押し倒されてしまった。
そして頭を打って、恥ずかしながら気絶した。
「起きましたか。」
「えっ…あ…うん…うん!?僕のズボンは!?」
すっかり元気?になっていた彼女は目が覚めた僕に対して、無感情に言葉を発してきた。
いや、それはどうでもいい、体を起こした時にこんにちはした僕の半身がみえた。
いやんばかん
#9829;
とか言ってる場合ではない。
「そこにあります。」
「なんで!?」
いやほんとになんで?
「誠に勝手ながら、私は燃料が後少しで尽きる事態に襲われていました。」
「う…うん…」
ズボンを履きながら彼女の言葉に耳を傾ける。
「故、私は止む負えなく目に入った貴方様から燃料を補充させて頂いたのです。」
「…いや、僕、ガソリンとか持ってなかったけど…」
「ガソリン?いえ、私の燃料は精液ですゆえ。」
「……!?」
ああ、繋がった。
ズボンを脱がされていた理由。
「もっと細かく言うのなら、私は俗にいう手コキというもので…」
「あーっ!言わなくてい
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