「帰れ帰れ!お前みたいな田舎者に教える魔法など無いわ!!」
「そんなぁ…そこをなんとか…」
「ふんっ!」
目の前で扉がぴしゃりと閉められ、またもや僕は路上に置き去りにされてしまった。
「はぁ…またダメだった…これで7軒目か…」
魔法を学ぶため、研究が盛んなこの街へこの身ひとつでやってきたが、なかなか師匠となる人を見つけることができていない。
今日も朝から高名な魔法使いの人達を尋ねるが、誰一人として田舎から出てきたばかりの素人を弟子にしてくれる人はいなかった。
「はぁ…もう日が暮れるし…今日も収穫無しか…帰ろ…」
夕方になり暗くなった街路をとぼとぼと歩く。
「…ん…あれ?ここどこだろう」
顔を上げると、見知らぬ落ち込んで下を向いていたせいか見覚えのない路地へと迷い込んでしまった。
日が落ちて幾許も経っていないはずだが、周囲は深夜のようにシンと静まり返り、道の先は霧が立ち込め白く曇っていた。
「変な道に来ちゃったな…どこかに道を聞ける人はいないか…」
周囲を見渡すが、周りにある家には明かり一つ灯っていない。
いや、それどころか人が住んでいたかどうかすらも怪しいほど、人の営みや温かさとは切り離された無機質さが漂っている。
不気味に思いながらも、ふと道の先に光が見えた。
「なんだろう…店…?」
道の行き止まりにある店はこの場所で唯一明るい光が灯り、安心感を与えてくれる。
不安感に苛まれていた僕はとにかくその店に飛び込むことにした。
扉を開ける前にふと見た看板にはこう書かれていた。
アルカナ秘宝庫
あなたの願い、叶えます
…………………
「いらっしゃいませお客様、我がアルカナ秘宝庫へようこそ」
扉を潜ると1人の魔物が僕を出迎えてくれた。
魔物には詳しく無いため何の魔物かは分からないが…おそらく獣人の類いだろうか?
「すみません、道に迷ってしまって…」
「まぁ…それは災難でしたね…ここらは霧が出ると迷いやすいんです…よければ、霧が止むまでここで一休みしてくださいな」
「いや、道さえ教えてくれれば大丈夫なので…霧もそこまで深くは──」
そう言いながら外を見ると、いつの間にか辺りは深い霧に包まれていた。
先程とは比べ物にならない濃さで、数歩先すら見えない。
「あれ!?いつの間に…」
「ここではよく起きる事です。無理矢理進むと危険ですよ?」
確かに、ここまで濃いと無理に外に出れば迷ってしまいそうだ。
ここはしばらく待った方がいいだろう。
「じゃあ、お言葉に甘えて…ここって何のお店なんですか?色んなものが置いてありますけど…」
店内にはおそらく商品と思われる物が理路整然と並んでいる。
しかし、商品に値札は無く、並んでいるものもネックレスや指輪などのアクセサリーを初め、彫像や人形などの置物や何に使うのか分からない実験器具のようなものまで置いてある。
「ここはマジックアイテムを扱う店…お客様の願いのため、より適切な──」
「マジック!?」
店主のセリフに思わず身を乗り出してしまう。
「なら…僕が魔法使いになれるような物もありますか!?」
「…何か事情があるご様子…これも何かの縁、あなたのお話を聞かせてください…」
…………………
「はぁ…今日もこれだけ…」
少しの硬いパンに芋の欠片、これが僕が住む村の一般的な食事。
この村の風景はほとんどが茶色だ。
ひび割れた土、薪にすら使えない枯れ木、そして古ぼけた民家。
ここには自然の恵みと言えるものがほとんどない。
辛うじて芋などの強い野菜を育てることで食いつないでいるが、それも日照りが続き水が枯れれば無くなってしまう。
僕と同じくらいの若者はみんな常に腹を空かせていた。
「僕、魔法を学んでみたい」
そんな村の現状を変えるため、僕は魔法を学ぶことを決めた。
最初は両親やみんなも反対していたが、僕の意思が強いと分かると、なけなしの食料や路銀を持たせて送り出してくれた。
恩に報いるために、出来るだけ早く魔法を学びたい…そう考え魔法研究が盛んなこの街へとやってきたが、師匠になってくれるような人はどこにもいない。
魔法使いを尋ねては帰され…そんなことを繰り返していたらもう1週間が経ってしまった…
…………………
「そういう訳で、僕は魔法使いになりたいんです!」
「ふむ…なるほど…」
店主は少し考えた後、口を開く。
「質問なのですが…魔法についての知識はどれほど…?」
「…全くありません」
「魔力やそれに関する原理について、基本的な事も?」
「全然わかりません」
「そもそも、魔法の種類について知っていますか?」
「そんなのあるんですか?」
「うーん…なるほど…」
「…やっぱり僕が魔法を学ぼうなんて身の程知らずでしたかね…」
そう尋ねると、店主はにこやか
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