現在俺とフェリルさんはアレイダさんのお店を後にして、とある場所へやってきた。
街全体が荘厳な雰囲気を放つここはドラゴニア王立中央学院というらしい。
この区画は住人がほぼ学院関係者で占められており、イギリスのオックスフォードやケンブリッジのような大学都市と考えれば分かり易い。
ここで聞き込みすれば確実に当該人物を探し当てられるだろう、という訳ではない。
むしろ捜していた人物に会うためにやってきたのだ。
何故ここまでの急展開が起こったかというと・・・
〜三時間前〜
「人を捜しておるという話だが、当てはあるのか?」
アレイダさん宅ダイニングにて朝食中、そんなことを聞かれた。
「一応、名前と皇都にいる事はわかっているんですが。それ以外は何も」
「よくそんな状態で人探しなんぞしようと思ったな」
「はは...」
返す言葉もありません...。
俺が言葉に窮していると
「ブルーノ・アルテンブルグさんて、覚えてませんか?以前父の紹介で意気投合していた人です」
フェリルさんが情報を追加してくれた。
「なんじゃ、あのブルーノか!?」
「ご存知なんですか?」
「ご存知も何も、今も交流がある」
マジで!?一気に王手かかったじゃんか
「あー、確かに以前世界線が云々言っとったのう。ヤツに会いたいなら、紹介状を書いてやろう。学院で教授をしているからただ行くだけじゃ会えんだろうしな」
「ありがとうございます!」
こうして、俺たちは紹介状をもらい今に至る。
街はやはり学生が多く、胸には各カレッジごとの盾章が描かれているローブを羽織っていた。
中世ヨーロッパ的町並みにそんなローブを着た学生が歩いている光景は、まるでホグ◯ーツにでも来た気分だ。
「魔法工学部研究棟はここですね」
「漸くついたか...」
俺たちは研究棟のフロントへ行き、紹介状を渡した。
すると受付の方が連絡を入れてくれて、今から来てほしいと言われた。
どうやら電話のような内線システムがあるらしい。
「アルテンブルグ教授は現在第三講堂におられます。階段を登って、二階左手奥の扉です」
「ありがとうございます」
俺は階段を登りながら、ふと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「そういえば、フェリルさんはブルーノさんと面識はあるんですか?」
「あることはあるんですが、最後に会ったのが七十年以上前ですから、あまり鮮明に覚えていなくて...」
今から70年前というと彼女が27歳の時か。
まぁ、そんなに昔のことなら覚えていろという方が無理があるだろう。
俺たちが大理石の階段を登って2階に着くと、ローブを着た学生たちとすれ違った。どうやら講義が終わったタイミングらしい。
本当、映画のワンシーンだよこりゃ。
俺は若干の昂りを覚えつつ第三講堂へ着いた。
講堂を少し覗く。人は殆どいない。
講堂中央に当たる教壇で白衣の人間がガサゴソしているだけだ。
すると白衣の人がこちらに気づいたらしく、重そうなハードカバーの本を抱え、軽快な足取りでこちらへやってきた。
「ああ、君がアレイダの紹介の天城君か」
少し口角を上げながら話す彼は、若干の無精髭を生やした初老男性だった。
「私がブルーノ・アルテンブルグだ。私に用事があるとは奇特な人間もいるものだね。これから研究室に戻るからそこで要件を聞こう。荷物をまとめて来るからここでまってい...」
そう言って彼が講堂へ戻ろうとした時、フェリルさんを見て彼は行動を止めた。
「君は...フェリルちゃんか?」
「あっ、はい。お久しぶりです。ブルーノさん」
「ああ、久しぶりだねぇ!七十年ぶりくらいか、元気そうでよかった」
彼はフェリルさんの手を握ってブンブンと上下に振る。
彼女が若干激しい運動につられている。
「あ、すまないね。少々激しすぎた」
彼ははしゃぎ過ぎたと自覚したらしく、コホンと息をついてから
「それじゃあさっさと片付けてくるから、ここで待っててね」
そそくさと講堂へ戻っていく彼の背中は、少し羞恥に震えているようだった。
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「どうぞどうぞ、入って〜」
ブルーノさんは講義に使ったと思しき荷物をもって講堂から出てきた。
そのまま彼に導かれるままに研究室へやってきたのだ。
「お邪魔します」
そろそろと部屋へ入っていく。
室内はエアコンがあるわけでもないのに快適な気温であった。
研究者の部屋というからもっとこう、書類とか色々散らかっているようなイメージがあったが、整理が行き届いておりとても清潔な空間だ。
俺達は円形のテーブルの前に椅子を出してもらって、そこに座った。
少しして、ブルーノさんがカップを三
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