「くっ、ふぅ。よく寝た」
俺は軽く腕を伸ばして上半身をベッドから起こす。
ふと、何かが動く気配を感じた。
「フェリルさん...?」
呼びかけると、その影はビクッとしてこちらへ寄ってきた。
「おはようございます...」
「おはようございます。朝からどうかしましたか」
「あっ、いえ、あの、朝食ができたので、起こしにきたんです...?」
何で語尾に疑問符がついたんだ。
そんな事を気にしている頭とは裏腹にお腹はぐぅと鳴る。
「ほっ、ほら!お腹も空いているみたいですから、朝食にしましょう」
なんだか釈然としないが彼女に促されてダイニングへ向かう。
朝食はベーコンエッグとバターロールと牛乳だった。
日本の家庭でもよく見られるポピュラーな感じに懐かしさを覚える。
「それじゃあ」
「「いただきます」」
僕はベーコンエッグをバターロールに挟んで頬張る。
「ところで、何処からいらしたんですか?昨日は聞いてませんでしたが、あんな森の中で遭難なんて滅多にあることじゃないですし...」
「あー、なんて言ったら良いか...。話すと、長くなるんですがいいですか?」
「はい」
そう言って、俺は事の顛末を語った。
放射線流に巻き込まれたこと。
そのときにここへ飛ばされたこと。
自分の憶測でしか無いことも全て話した。
「そんなことが、あったんですね」
すっかり空気が落ち込んでしまった。
彼女はいつしか朝食を摂る手を止めてしまっていた
「ごめんなさい。なんか、空気悪くしちゃいましたね。取り敢えず、ご飯食べましょう」
「そうですね」
気を使わせてしまったのは本当に済まないことをしたと思う。
俺たちは黙々と朝食を食べた。
食べ終えた後、食器の片付けを少し手伝った。
もっと手伝いをしたかったが、足を心配されてできなかった。
俺は部屋へ戻って治癒魔法を受けてから安静にしていた。
まだ二度目だが足が大分痛みも取れて楽になってきた。
魔法って凄い。
「はぁ」
こうなると意外とやることがないもんだ。
俺が手を持て余していると部屋のドアが開き、彼女が入ってきた。
「あの、もしかしたら暇かなと思って何冊か本を持ってきたんですけど。読みますか?」
「え、ああ。じゃあ読ませてもらいます」
「さっきの話を聞いて、それらしい文献を父の書斎から持ってきたんですが..」
「あの、そう言えばフェリルさんのご両親って」
「もう、亡くなりました。私がまだ小さいときに」
「あっ、ごめんなさい」
「いえ、いいですよ。もう何年も前のことですし」
また、彼女の顔を暗くしてしまった。
今日に限って朝からやらかしてばかりだ。
「それじゃあ、本ここに置いておきますね。後なにかあったら遠慮なく呼んでください」
そう言って彼女は数冊の本を枕元のシェルフに置いて部屋を出ていった。
俺は何冊かの本の中から一番薄そうな本を選ぶ。
「すげえ丁寧な装丁だな」
タイトルはアルファベットのように見える。
文字がくすんでいてよく見えない。
仕方なくページを開いて、目次と思しきページを見る。
「こりゃ論文の類か」
難しそうな漢字が羅列されている。
「まぁ、これから読むか。時間はあるし」
そう思って、俺は情報収集を始めた。
二時間ほどかけて二冊の本を読み終え、三冊目にかかろうとした時、本の何処かに挟まっていたと思しき紙が膝の上に落ちた。
「なんだこれ」
封筒だ。
俺はそれを拾い上げ、読んでみる。
宛先はリュウノスケ・ニーベルンゲンとなっている。
差出人はブルーノ・アルテンブルグ。
少し宛先の名が気になった。
ニーベルンゲンとなっているから、恐らくフェリルの父親だろう。
だが名前が"リュウノスケ"。
明らかに日本名だ。
それとも日本に準じた地方、国家があるのだろうか。
人の手紙を覗くなんてよろしくないのは重々承知だが、内容が気になった俺は中身を読んでしまった。
"朗報だ。先日、理論の確率に成功したぞ。これで元の世界へ戻る光が見えてきた。実証はこれから行う予定だが、最初の座標は君の故郷である日本にしようと思う。成功次第、また手紙を書くよ。"
なにか、とんでもないものを見てしまった。
「これはつまり・・・」
──フェリルさんの父親は、俺と同じ漂流者だったと言うこと
それにこの手紙の内容から察すると、もう一人漂流者がいる。
しかも、戻る手段が確立されているかもしれない。
この手紙が何時書かれたものかは分からないが、紙の劣化具合から大分昔だろう。
俺は一筋の希望を見出したような気がした。
些か出来すぎている気もするが、今はこれに賭けたい。
しかし、手紙の主は何処に住んでいるんだろう。
封筒を見るが住所らしいものは書かれていない。
ただ、裏側にスタン
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