「第一特殊建機小隊、前へ!」
小隊長の号令とともに、瓦礫を除去していたダンプを先頭にして複数のコンクリートポンプ車とタンクローリーが瓦礫の除去された道路に展開していく。
これからポンプ車を使って血液凝固剤をゴジラの口に流し込む。
ヤシオリ作戦の核となる作戦最終段階だ。
何としても成功させなくてはいけない。
俺は号令を聞き、そんな取り留めのない思考を引き締めた。
タンクローリーを所定の位置に止め、早急にポンプ車とタンクの接続作業をする。
「リモコン操作問題なし!」「回転上げろ!出力最大!!できるだけヤツの中に流し込め!!」
ポンプ車ののエンジン音が唸る。手元のカウンターは徐々に数値を大きくしている。順調だ、これなら行ける。
誰もがそう思った次の瞬間、目覚めたゴジラがに放射線流を吐いた。一瞬の出来事なのにやけに長く感じて、俺はその光の濁流に飲み込まれていった・・・
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「っ・・・」
目が醒めた。あれ?
「俺、生きてる・・・?」
おかしい、たしか俺は放射線流に飲み込まれて・・・
あたりを見回すと、そこは鬱蒼とした森の中だった。
さっきまでいた瓦礫に埋もれた東京駅ではない。
「あれ、ここ何処だ」
誰が見ても明らかな異常事態。
俺自身、割と平静を保っているのが不思議だ。
俺はガスマスクを外し、トランシーバーを見てみるが
「くそっ、無線もダメか」
手元のトランシーバーからはザーザーという雑音しか聞こえない。
それに今は作戦行動中だ。迂闊に行動するのは出来る限り控えたい。
「でも状況がわからないことにはどうにもならないからな」
俺は周囲を探索することにした。
まず方位磁石を取り出して北を確認する。
"この世界"の磁場はどうなっているのかと調べるためだったが、普通に使えた。針がぐるぐる廻るような富士の樹海でもないらしい。
俺はここで目覚めた時、直感的に理解していた。
ここは俺のいた世界ではない、と。
生来SFが好きだった俺は、タイムマシンの始祖である小説「時間遡行者」をはじめ、時を◯ける少女やバ◯ク・◯ゥ・ザ・◯ューチャーなどの所謂時間遡行を題材とした作品を多く見ていた。
故に直感出来たのだろう。
にしてもここが昔の時代なのか、はたまた別の世界線なのか判別はつかない。
兎に角、今は街なり人なりを探そう。
・・・言葉が通じるかは不明だが。
俺は取り敢えず東へ向かうことにした。
果てしない森に気分が滅入るが、今は進むしか無い・・・
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「はぁ、はぁ」
どれほど歩いただろうか。
空の真上にあった太陽はすでに西へ傾いて地平線に近づいている。
「そろそろやばいな」
懐中電灯なんてものはもちろん無いので、暗闇での活動は避けたい。
「あー...これは失敗したかも」
進めど進めど木しか見えない。
こりゃ今日は野宿だな。
何処か寝られそうな場所を...
「あっ」
俺は直ぐ近くにあった斜面に気づかず足を滑らせてしまった。
「あぁっ、痛っ、くっ」
俺は受け身を取って減速させようとしたが落ち葉で滑ってうまくいかない。
「がぁぁぁぁぁっ!」
速度は落ちないまま斜面から投げ出された俺は、地面に体を強く打ちつけて倒れ込んだ。
「あ...」
これ死ぬかも。
斜面を転がり落ちる時に体中を打ちまくったらしく、全身が痛くて動かない。
あ〜、このまま狼なりに喰われて死ぬのかなぁ。
俺はそんなことを考えているうちに意識が急激に失われていった。
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「...う」
瞼が、重い。
「っ..はぁ...」
体中が痛い。
俺は鉛のごとく重い瞼を開けて、体に鞭打って周りを確認する。
「あれ..森じゃ、ない?」
どうやらログハウスらしき家の一室に寝かされているようだった。
外も完全に日が落ちている。俺が斜面から転がり落ちてからそうたって居ないと思う。
カチカチと掛け時計が一定の拍子を刻んでいる。
少し置いてから、頭が理解を始めた。
誰かに助けられたんだろう、と。
身体を頑張って起こすと、身体に包帯が巻いてあることが確認できた。
しかもなぜか痛みが殆ど無い。
もう一度部屋を見回すが、人の気配はない。
「誰だかわからないけど、助かったな...」
俺は安堵して再びベットに横たわる。
助けてくれたのはありがたいしお礼もしたいところだけど、今は少し休ませてもらおう。
俺は再び寝ようと起こしていた上体を倒そうとした時、ガチャリ、とドアの開く音がした。
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