4.稲荷は淫乱なり!

 突然、突風が吹き、俺は意識を手放しかけた。
が、特にそれ以外何も起きず、俺とずぶ濡れの耳と尻尾の生えた30代くらいの女性はしばらく固まったまま動かなかった。
女性の目はつり上がっており、若干太い眉も合わさった顔立ちはいかにも勝ち気そうな性格を表していて巡子さんとはまた違った美人だ。

「術が効かない?」

最初に動いたのは女性の方だった。
女性はしかめっ面で耳をピクピクと動かしている。
しかし何だろうな、濡れた白着物が張り付いてその豊満なバストやヒップ、更にはうっすらと乳首まで丸見えだ。
ついつい股間が硬くなってしまう。

「その・・・あまり見ないでくれ・・・」

女性は俺の視線に気付いたのか顔を紅くして腕や尻尾で胸や股を隠してしまった。

「へっくちっ」

すると、涼しい春風は濡れた身体に堪えるのか、女性はくしゃみをしてしまった。
俺はすぐ上着を脱ぐと彼女の肩にかけさせた。

「ホラ、何やってたか知りませんけど、風邪引きますよ」
「いや、これは『禊の儀』といって我が家に代々伝わる・・・」
「それで身体壊したら元も子もないですよ・・・早く着替えましょう」
「・・・ああ・・・ありがとう・・・」

女性はそっぽを向いて小さく呟くようにお礼を言った。
ダメだ。仕草がいちいち可愛いぞこの狐のお姉さん・・・。

「まぁ立ち話もなんだ、着いて来てくれ、茶菓子ぐらいは出そう」
「おぉ、ありがとう御座いますっ」

俺は女性のもてなしを快く受け入れることにした。
ラッキースケベからこんな事になるとは嬉しい誤算だ。
うわぁ、お尻の谷間まで透けて丸見えだぁ。


それから、社の個室に招かれ、俺は畳の上であぐらをかいて先ほどの女性を待っていた。

「待たせたな」

しばらくして、個室の襖が開き、白い着物と紅い袴というまさに巫女姿の女性がおぼんにお茶とお菓子を持って入って来た。

「いいんですか?こんな事までしてくれて?」
「構わない、どうせ暇だったんでな、話し相手が欲しかったところだ」

女性は俺の目の前のテーブルにお茶菓子を置くと向かい合うように正座で座った。
なかなかに美味いお茶とお菓子を食べきった後、女性が最初に切り出してきた。

「しかし少年、此処では見ない顔だな」
「あ、ハイ、俺新田 純八って言います。昨日引っ越してきました」
「成る程、私は雫月 珠恵(ダツキ タマエ)、そして此処は『天津稲荷神社』、と言っても分社だがな」

その後、雫月さんと名乗る女性は、この神社は稲荷信仰というのを信仰していおり、彼女はこの神社を一人で切り盛りしていると説明してくれた。
それから、俺はずっと気になっていた事を切り出すことにした。

「ところで雫月さん、その耳や尻尾って・・・もしかして魔物ですか?」
「ああ、普段は人化の術で隠しているのだが禊の儀をやるには魔力を集中させる必要があるから解かなければならなかったのだ。
それにしても魔物を知っているということは・・・」

雫月さんは顔を俺の方に近づけると鼻をスンスンとならし始めた。

「やはり、魔物を抱いているようだな。
それもかなり強力な魔物を・・・若造にしてはなかなかやるようだな少年」

雫月さんは頬を少し染めながら唇をつり上げた。
巡子さんってそんな強い魔物なのか?まぁ龍って言ってるくらいだし結構強いんだろう。

「と、ところでもう一つ質問なんですが、さっきのアレはなんだったんですか?」

俺は誤魔化すように話題を彼女が先ほどやっていた行動に変えることにした。
術だの魔力だの言っていたがまさかただの痛い人じゃないよね。

「あぁ、アレは神通力と言われている。言わば魔法だ」

雫月さんは「こんな風にな」と言いながら傍にあった燭台に指先を伸ばし腕を振り下ろすと、蝋燭の火が勝手に着いた。

「そしてだ、私は禊の儀の最中は誰かに見られないよう人払いの結界を神社内に貼っており、先ほどの術ではお前の気を失わせ先ほどの記憶を消してから返そうと思ったのだが・・・お前には私の術が効かなかった」
「え?どういう事ですか?」
「そのままの意味だ。
稲荷や妖狐は尻尾の数が多ければ持っている術や魔力の強さが多い、そして私は尻尾の数が最大の九尾だ」

確かに、雫月さんの尻尾は九本ある。
たしか九尾の狐って国一つ傾けるくらい強力な妖怪だったような・・・。

「そんな私の術を受けても顔色一つ変えずに立っていられるとは・・・長年生きてきたがお前の様なヤツは初めてだ」

雫月さんはニヤニヤと俺のことをまじまじと見つめている。
そう、これは昨日の晩飯時に巡子さんが見せたあの獲物を見つけた蛇のような眼差しに非常によく似ていた。

「そうだな、時に少年いや純八よ、お前、魔物に抱いて貰って何処までしてもらった?」
「は?」
「セックスの事だ。フェ
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