ワタシノアナタ

「穂乃花、ご飯持って来たぞ。」
「ありがとう兄さん。そこ置いといて。」


妹が魔物娘になった。
夜中に突然妹の叫び声が聞こえ、慌てて部屋に入りそこで見たのは
大きな翼を生やし、鋭いかぎ爪の付いた手
獣の毛に覆われた足をしている妹だった。
学校や家の周りにも魔物娘はいる。
でも、身内が突然魔物娘になるなんて夢にも思わなかった。

「ほ、穂乃花…?」
「いや!兄さん見ないでっ!」

怯えと恐怖が混ざった目でこっちを見る穂乃花。
俺は妹に対し、どんな言葉を掛けてあげれば良かったのか分からず
ただ、黙って出て行くしか出来なかった。
それから妹は部屋を出られず、一日中籠るようになってしまった。
元々家を空けがちな両親は更に家に居る時間が少なくなり、
妹の世話は俺がするようになった。世話っていっても、部屋の前に飯を置いたり、作り置きを作ったりする位で世話と言う程の事はしてないけど。

「どうすりゃ良かったってんだよ…」

何が間違いだったのか、何をどうしたら今より良くなるのか
妹が怖いわけじゃない。また俺が余計な事をして今以上に悪い方向に向かうのが
怖くて仕方ない。
情けなさすぎだ。

「じゃあ学校行ってくるからな。留守番よろしくな。」

部屋の前でそう言い、家を出る。
穂乃花と俺は同じ高校でいつも、一緒に登校していたけど、
今は一人で登校している。
この時間にもいい加減慣れなきゃいけないのに、寂しさばかり感じる。
ずっと俺の周りについて回って鬱陶しいなんて思っていたのにな…。








………行ってらっしゃい、兄さん。

――――――

授業なんか全く集中出来なかったけど、時間は過ぎていくもので
気づけば放課後に。
教室を出ようとして

「畑野君。」
「ん?何?」
「あ、あの、これ受け取って下さい!」

クラスの女子に呼び止められ、渡されたものはまさかのラブレターなるものだった。
これが恋文、初めて貰った…。

「え、っと。」
「返事はいつでも大丈夫です。で、では!」

そう、顔を真っ赤にしながら去る彼女。
…、何というかクラスの女子と話したことないし正直印象が薄い。
そんな俺の何が良かったのか。
まぁ、帰りながら読むか。










…………兄さん。


――――――

…困った。
何回か読んだけど、何というか本気が凄い。
いや、まぁ、こういうのってイタズラでした。っていうのもあるから
期待半分な感じだったけど、これはマジだった。
今は妹の事もあるから、断るつもりだったんだけどなぁ。

『いつも貴方の事を見ていました。
 いつも貴方の事を想っています。
 私は貴方の笑顔が好きです。
 貴方の困った顔が好きです。
 貴方の照れた顔が好きです。
 貴方の不貞腐れた顔が好きです。
 貴方は私の大切な人です。
 私は貴方の大切な人になりたいです。
 優しくて、笑顔が可愛くて、子供っぽい所のある貴方の事が
 私は大好きです。』

………。
断り難いなぁ。これ。   
でもなぁ、今付き合うってのもなぁ。
とりあえず、穂乃花の事があるから保留でお願いします。
っていう方向でいくかね。
……何か優柔不断な感じもするけど。

「ただいま」

ま、悪く言われたら言われただな。
そんな事考えながら家に入る。
とりあえず、着替えてゆっくりしたい。
ゆっくりって、別に何をするわけでもないけどさ。
なんて、変なことを頭の中で思いつつ着替えていると、部屋のドアを叩く音が

「…兄さん?居るの?」

穂乃花?え、お前部屋出れたのか!?
急いでドアを開ける。

「穂乃花、あ、っと、その、大丈夫か?」
「うん。あの、ちょっと兄さんと話がしたくて。
 部屋入って良い?」
「あぁ、良いけど」

妹が部屋を出られた。
そのことで頭の中一杯で、最初に出たのが大丈夫かって、なんだそりゃ。
……、いつまで部屋の前に居るんだ?

「えっと、まだ上手く翼が動かせないの。
 兄さんごめん、ちょっと手伝って。」

ドアと部屋の間で動けなくなってる穂乃花。
両腕を伸ばして助けを求める姿は、ちょっと可愛いと思ってしまった。
姿形は変わっても妹は妹なんだな、ちょっと抜けてるとこは全然変わってないな。
両手を掴んで部屋に入れようとした。
その時だった。
穂乃花がニヤァっと笑った。
思わず手を引っ込めようとしたが、それよりも早く手を掴まれ
穂乃花に抱きしめられる。
そして、バサッと羽音がし宙を舞う感覚が襲う。
そうね、廊下は走るなって言ったけど、飛ぶなって言わなかったもんな。
パニックで全く別な事を考えてた。
そのまま捕まえられたまま廊下、階段を移動し妹の部屋に拉致られた。
人生でこんなスピードで動いたこと無いっすよ。
ジェットコースターとか目じゃないわ、
最後は妹のベッドにトライ、
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6..9]
[7]TOP
[0]投票 [*]感想
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33