第4.5節 秘境にあてられ・・・-蘇生の森-

 森の奥深く。
 ビアニカに連れられて来たのは、湯気立ち上る乳白色をした池。
 温泉というのだそうだ。

スルッ・・・

 俺の目の前で衣服を脱ぎ始める二人。
 彼女たちの肢体が少しずつ露わになっていく。
 凛とした二人の横顔が体をより艶やさを醸し出している。

チャプッ・・・バシャァ、バシャァァ・・・

 衣服を脱ぎ終えると二人は温泉の真ん中辺りまで行き、肩まで湯に浸かる。
 それを確認して俺も衣服を脱ぎ、出来るだけ自分の”モノ”が出ないように 気をつけながら温泉に浸かっていく。
・・・女性の隣まで行くのも気が引ける。
 俺は二人と距離をとった所でゆっくり浸かることにした。

シーーーーー・・・ン

 周囲は異様なまでに静まりかえっていて、とても不気味だ。
 特に、いつもならお喋りに夢中な二人が無言なのが気になる。
 調子でも悪いのかと疑ってしまうほどに・・・
 それにしても癒される。
 これが温泉効果なのか?
 寝て・・・しまいそうだ・・・

ウト・・・ウト・・・

に〜い〜さ〜ん?

バシャッ!

 なんだっ?!
 今フィリアの声が聞こえた気がした?!

キョロキョロ

 近くを見回すが誰もいない。
 まさか幻聴?疲れているのか?

・・・いや、待て
 この声を聞いて思い出した事がある。
 そういえば一度覗いてしまったことがあった。
 フィリアの入浴を・・・
 誤解が無いよう言っておこう
 不可抗力であるのは当たり前だが、俺はちゃんと事前に呼びかけた。
 そして返事の無いことを確認してから入ったのだ。

ーーーーーーーーーー

ガラガラガラ

「?!」

 戸を開けると、そこにはこちらに背を向けながら長い髪を洗っている妹の姿があった。

「〜〜〜〜♪」

 恐れていた事態が起こってしまった。
 だが、幸いなことにまだ俺の存在には気付いていない。
 逃げるなら今しかない!
 思うように動いてくれない自分の足に鞭を打ちながら懸命にその場を去ろうとする。

「あれ?」

びくっ!

 突然聞こえた声に体が硬直する。

「シャンプーきれちゃったみたい。兄さーん」

 呼んでる!
 すぐ目の前で呼んでる!

「シャンプーがー、無くなっちゃったんですけどー、棚にある詰め替え用をー、持ってきてくれませんかー」

 答えられる訳がない。
 すぐうしろから声が聞こえれば振り返るのは当然。
 とりあえず今はじっと・・・

「兄さーん」

 振り返るフィリア
 その瞳に俺が映る。

・・・・・・・

・・・・・

・・・



 時が止まる。

「すまん」

 俺の声と同時に時間は動き出す。
 フィリアは恥ずかしさのあまり顔を紅潮させ、手短なタオルを素早く取り体に巻く。

「な、な、な、なんで、兄さんが・・・」

ひたっ、ひたっ、ガラガラガラ・・・ピシャッ

 俺は無言でその場を後にする。
・・・実際この行動が更に誤解を呼んだのだろう。
 風呂から揚がったフィリアは不機嫌そのものだった。
 その後和解しようとした俺がボコボコにされたのは言うまでもない。

ーーーーーーーーーー

 本当のことをいうと、フィリアには頭が上がらない。
 というより素直に恐い。
 魔物娘など比じゃないほどに。
 怒ると出るあの馬鹿力などは代表的な例だ。
 せっかく癒えてきた体がまた疲れたような気がする・・・

「くはぁ〜〜〜」

 ため息をつこうと思ったが、予想以上に空気砲に近いものが出てしまった。
 彼女の存在は俺にとって大きいのだと思い知らされる。
 心配だ・・・本当に。
 俺は体の隅々を伸ばそうと、両手を広げ足を伸ばす。

ふに

 ?
 何か柔らかいものに手が当たった。
 慌てて手を引っ込め、それが何かを確認する。

「アクラ?」

 先程まで離れていた二人が近くまで移動してきていた。

「どうした?・・・なんでそんなにこちらを見る?」

 熱いからだろうか。
 二人は温泉の気持ち良さに身を委ねきっているようで、とろけた顔をしている。

「・・・」 「・・・」

バシャッ・・・バシャッ

「なっ?!」

 急に立ち上がる二人から目を反らす
 そんな事したら見えちゃいけないものまで見えるだろ!

「ど、どうした?!何も、立ち上がる必要はないだろ!」

 本当にどうしたというのだ

「なんか・・・このお湯変です・・・」

「早く・・・出た方が・・・よろしいかと・・・」

 声だけしか聞こえないが、どうやら二人の様子がおかしい。

「とりあえず座れ!」

「いいえ・・・これ以上浸かっていたら私たち・・・」

「止まらなく・・・なってしまいます・・・」

 急に息づかいが荒くなっていく二人

「おい!どうした!」

 流石に心配になった俺は、極力顔だけを見るように
[3]次へ
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33