「ははははっ!本気で行くよ!」
瑞季は両手をピストルの形にすると、それを俺たちに向ける。
「ば〜んっ♪」
と、すぐさま異変が起こる
「なっ・・・・」
思わず自分の目蓋を触る
・・・・いや、閉じていない。
閉じていないけど・・・・・・・・・・・・・・・・見えない
急に視界が真っ暗になり何も見えなくなってしまった。
「青葉!」
「はい、恐らく彼らの光を操る能力の一つでしょう。私も何も見えません」
目に入る光を遮光されてしまったようだ。
「黒羽、起きなよ」
そんな声が聞こえたかと思うと、背後で何かが動く気配がする。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
嘘だろ
あれだけ傷ついても、まだ立ち上がるのか?!
「こいつらの視界は奪っといたから、あとはボコるだけだよ。黒羽」
「ふふ・・・・ふふふふ、あはは!覚悟しなよ、青葉ぁ」
苦しそうだが、それに増した悦を感じている黒羽の声。
まずい。このままじゃ非常にまずい
「せ〜の」
直後
二人の気配が砂を蹴る音と共に消えたと思うと、四方八方から風を斬る音が聞こえる
・・・何が、起こってるんだ?
ズサーーーーーーッ
二人の気配が再び現れると
ビキビキビキッ!!
「ぐああああああっ!」「んあああああっ!」
全身に激痛がはしる!
恐らく彼らは光に変容して動き、俺たちの体に何百という攻撃を浴びせたのだろう。
「そうだ、そうだよ。これが君たちの本来あるべき姿なんだ。身体の自由を奪われて生命の危機に立たされて、やっと気付く『そっか、今までは本当に手加減されてたんだ』って。」
痛い・・・・痛いけど・・・・
「君たちは僕たちに逆らったことに後悔しながら、記憶を失う。でも良かったじゃないか、そんな後悔すらも忘れられるんだからね!はははっ」
まだ耐えられる!
「瑞季、やっぱお前には負けねぇよ・・・・お前みたいな”カス野郎”にはな」
「カス?・・・ははっ、カスだってぇ?!お前のような弱者には言われたくないね!ゴミが!ゴミ!ゴミ!ゴミ!!ゴミの分際で僕に血まで流させやがって!」
「・・・・・・。」
「ひゃはははっ!殺す、こいつ殺すよ!黒羽!!」
「殺すかぁ・・・・いい響き♪」
(青葉)
俺は青葉の頭に呼びかける。
(どうやら、成功のようですね)
(ああ。それで、青葉には黒羽の相手と攻撃のタイミングを教えて欲しいんだ)
(なんなりと)
(青葉なら、光速で動いているあいつらを捉えられると思うんだ)
(はい)
(俺じゃ無理だから、相手が俺に攻撃を仕掛けてくるタイミングを教えて欲しい)
(わかりました)
(頭に血が上っている今ならいける!)
(はい!)
「黒羽、行くよ」
「うん♪」
「せ〜の」
ひゅんっ
来る!
とりあえず、まずは耐えなくちゃ
ビキビキビキッ!!
「ぐぅ・・・・」
耐える、耐えてみせる!
ビキビキビキビキッ!!!
青、葉・・・・
「はっ!」
ばきっ
「ぐぎゅ・・・・っ!」
青葉の覇気を纏った声の後、黒羽がダメージを浴びた声が聞こえた。
よしっ・・・後は俺だけだ
ビキビキビキビキビキッ!!!!
「ぐぅぅ・・・・・」
ビキビキビキビキビキビキッ!!!!!
「ぐぁぁぁああああああっ!」
「今ですっ!!」
青葉のその声を聞いた瞬間、俺は腰を捻り
浮かせた右足を、思い切り振り抜いた!!
当たれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ
ブゥン
「やば・・・」
「遅いよ」
ごすっ
「ごはっ・・・・」
鳩尾に容赦なく打ち込まれた拳に、俺はその場に倒れ込んだ
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」
「大樹様ぁっ!!」
「ふふふふ、結局強かったのは僕」
がっ
側頭部を瑞季に踏みつけられる。
「ゴミ。あははははっ、ゴミ!ゴミがぁっ!!」
段々足に力が込められ、頭部が固い地面に押し付けられていく。
「くっ・・・・」
ぐりぐりと踏みにじられ、靴底に俺の毛が絡まり始める。
何も見えない・・・・
だから今がどんな状況なのか、どんな景色なのか
それすらも確認できない。
「大樹様ぁぁっ!!」
何も見えない
・・・・ハズなのに、なぜか暗闇の中で泣き叫ぶ青葉が見えた。
「・・・・青葉・・・・」
視覚を俺たちは失った。
・・・・・なら取り返そう、失った分を。
目には目を。歯には歯を。視覚には・・・・聴覚を!
「瑞、季」
「何さ?」
俺は声の降る方を向くと、手でピストルの形を作った。
「俺も、やってみよう、かな」
「今更かい?!ははは・・・・余裕かましてんじゃねぇよ!!」
「・・・バン」
ピタッ・・・・
側頭部へかかる圧力の増加が止まった。
成功だ・・・・
「あ、ああ、ああああああああああっ!!」
瑞季が俺の上から足を
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