物音一つしない静かな公園
傾いていく夕日が、そこに佇む四つの影を伸ばしていく。
そこに加わる新たな影二つ。
近寄るわけではなく、かといって避けるわけでもなく
間合いを取っているのが一目でわかる、そんな距離。
「三日ぶりだね、根本大樹くん。そして尾形千彰くん」
瑞季は悪びれもなく、まるで俺たちが友達であるかのように振る舞う。
「この世界にいるアンサーはもはや三人」
邪悪な笑みを浮かべながら一人一人を指差す
「そして今日、この祝祭での唯一が決定する・・・・・覚悟はいいよね?」
急に語調を低め威圧してくる瑞季
俺はそれを真っ向から見つめ返した。
以前の自分ならすくみ上がっていただろうが、今の俺には通用しない。
「ははっ、その大きな何かを成し遂げようとする目。壊したくなるよ」
俺は瑞季から目を離さない。
ただじっと、戦いの火蓋が切られるのを待つ。
「それにしても4対2か・・・流石に分が悪いかな」
――――――と!
瑞季と黒羽が一瞬点滅したように見えた。
「ぐっ・・・」 「くぅ・・・っ」
直後
俺の隣で、呻き声と地面の砂が崩れ落ちる何かを受け止める音が響く。
「千彰っ!!」 「蓮さんっ!!」
「僕は好きなモノを先に食べたい主義でね、ちょっとの間眠ってもらったよ」
横たわる千彰と蓮を見て、俺の頭が沸騰しかける
この・・・・野郎っ!!
(・・・・いけません)
そんな俺を心に留め置いていた青葉の忠告が諫めてくれる
「おいおい、そんな恐い顔で見ないでよ。大丈夫、1時間もしないうちに起きるって」
にやにやとした下劣な笑みを浮かべ、こちらをこの期に及んで蔑んでいる目
そんな瑞季の態度が逆に俺に冷静さを保たせてくれた。
「さて、時間もないことだしそろそろ始めよう」
瑞季と黒羽の両手に光が収束し始め、やがてそれは剣の形を成した。
「君たちを1時間で片づけるつもりだからねっ!」
その言葉と同時に瑞季が突っ込んでくる
俺は動かない。
どんどん距離が詰まっていく
どんどん、どんどん、どんどん・・・・・今っ!!
俺は足で大地を踏み鳴らした!
バヒュゥゥゥゥゥゥーーーーンッ!!
俺を中心にして大きな波動が放たれる!
「なにっ・・・・!」「きゃっ・・・・!」
瑞季は後方に吹き飛び、土埃が舞う。
背後の悲鳴は恐らく黒羽
二手に別れて俺を討とうと画策したらしいが、全方位に及ぶ波紋に死角はなかった。
俺は正面に吹き飛んだ瑞季にゆっくりと歩み寄る
「青葉、そっちは頼んだ」
視線を少しだけ青葉に向け、合図した
「はい、お任せ下さい」
そう言って青葉は俺と反対方向、黒羽に向かってに歩き始める
ざっざっざっざっざっざっざっざ
「へぇ・・・考え、た、ね・・・げほっ・・・僕たちを、引きつけるなんてさぁ・・・・」
瑞季はその場に膝を着きながら起きあがり、歩み寄る俺を見上げる。
「勝つ自信はなくても、お前に負けない自信がある」
「ふふ・・・・いい目だ。せいぜい、楽しませてくれよ!」
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「また戦えて嬉しいよ、青葉♪」
無邪気な笑顔をこちらに向けてきます。
なぜこのような状況でこんなにも楽しそうに振る舞えるのでしょうか?
「この前はボロ負けだったからね♪」
「今回も、負かせて差し上げます」
アンサーとメイドが別行動なので武器の選択は望めないでしょう
私はただ、与えられたモノを最大限に生かすまでです。
・・・・・早速、ですね
私が宙を掴むと、その手には薙刀が握られました。
黒羽が掴んだのは・・・・両剣、ですか
「薙刀かぁ・・・リーチが長いけど、扱いにくいよね♪」
確かに
そのリーチの長さ故に、刃先の撓りなどを考慮しなければなりません。
しかも、振り抜いた後出来る隙を埋めるのも技術が必要です。
ですが・・・
「問題ありません。どんな状況であろうと私は負けませんから」
これは自らへの傲りではなく、勝利するために誓った強くあるための言葉です。
絶対に私は負けるわけにはいかないですから
「なら、見せてもらおうかなっ!」
ギャリィン!
黒羽の上方から放たれた斬撃を眼前に翳した薙刀で受け止めます。
「はっ、はっ、えいっ」
続けて右と左に振り下ろしてきたところを半身でかわし
下から振り上がってくる刃を、速度が上がる前に足で押さえ付けました。
「えっ・・・」
「ふっ、ふっ、せあっ!」
戸惑い、防御を怠っている黒羽。
その隙に石突きで胸部・下腹部・鳩尾を素早く突きます!
「かはっ・・・・」
ずざざーーーーーーーーーっ
地を滑りながら吹き飛ぶ黒羽に追いつき、首元に刃先を向け宣告します
「壱」
これは古来より
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