どれくらい
ガキンッ!
「はははっ!」
どれくらい
ヒュン、ヒュヒュン!!
「巳継!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
どれくらい
「大樹様っ!!」
「・・・・っ」
こうやって、戦い続けているんだろう
俺と木原の体力はゼロに等しくて、もはや立っているのがやっと
呼吸を整えようにも次々と迫りくる攻撃を前に、立ち止まることが許されない
「面白い、面白いよ君たち!」
もはや剣を持つ右手には力が入らず、盾を持つ左手も上がらない。
はぁ、はぁ、重力がこんなにも重いと感じたのは初めてだ
「ほらほら!ガードが甘いよ!!」
剣を振りかざし、猛烈な勢いで瑞季という名の少年が俺に突っ込んでくる
ギンッ!
それを青葉が割って入り、盾で受け止め弾き返す
「大樹様っ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
自分でも分かる、足手纏いだということが。
しかしアンサーとメイドは運命共同体、俺の敗北は青葉の敗北を意味する。
「はぁ、はぁ、はぁ、まけ、られ、ないっ・・・!」
腕と足に渾身の力を込める
「ああああああああああああああっ!!!」
なんとか体勢を維持することに成功
まだだ・・・・・・まだ、戦える
「巳継!!」
木原とオリヴィエは黒羽と交戦中
向こうの状況も厳しいことには変わりない。
「動きが鈍ってるよ〜ん♪」
黒羽の斬撃にオリヴィエが弓で応戦している
木原が今あの状態では新たなイメージを要求するのは難しいだろう
「と、はぁ、青葉」
「はい」
「俺たちの、技と、木原たちの、技を、コラボって、出来る?」
「イメージの相性が良ければ」
俺には考えがあった
それには第一世代教育<風>(サグ・エスティロ)の木原たちの能力を要する。
「何をコソコソしてんのさっ!!」
ギャリィン!
俺の盾が瑞季の薙ぎを弾く
体力を消耗しきっていた俺の防御は予想外だったらしく、瑞季は後方に一瞬蹌踉ける
「はあっ!」
余裕がないからだろうか
俺はその一瞬の隙を見逃さず、瑞季に向かって剣を振るう
当たりはしなかったが、チッと服を掠めた。
「くっ」
瑞季は後方へ飛び退き、再び体勢を立て直す。
はぁ、いい、運動能力だな、チクショウ
「木原っ!!」
肺にある残りの空気全てを吐き出しながら、大声で呼びかける
「酸欠で、きっと、脳に血が回ってないだろうけど、イメージしろ」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「針だ!針をイメージしろ!!」
俺の声が聞こえているかすら分からない
でも、今の奴らを追い返すには、これしかないだろう
「せあっ!」
青葉は黒羽に切り込む
「っ?!」
突然の攻撃に黒羽は体勢を崩し、瑞季のもとまで飛び退く
今しか、無いっ!
木原を信じ、俺もイメージする
青葉と俺は掴む!堅牢な拳「ガントレット」を。
丁度その時、オリヴィエが両手を前方にかざす
木原・・・・・ありがとう
宙にはキラキラ輝く無数の”線”が浮かぶ。
「青葉!」
「はい!」
俺たちはガントレットをはめた右拳を限界まで後方に引きつける
そして
「「はあああああああああああっ!!」」
一気に前方へ押し出す!
ドンッ
突きだした拳からは、宙を揺らす波が放たれる
その波は、細く鋭い針をのせ、相手に
押し寄せる!
バフゥンッ!
「ぐっ・・・・」「あぅ・・・・」
可視出来ないが、声からするに二人の全身に針が刺さっていることだろう
頼む・・・・退いてくれ・・・・頼む・・・・!
「くふふふふふ、はははははっ!!楽しい!楽しいよ!!」
だめ・・・・か
がくっ
下半身が一気に脱力し、俺はその場に膝をつく。
今の一拳が本当に最後の力だった。
もう、声すら出ない・・・
「大樹様っ!」
「なら、お返しさせてもらおうかな?黒羽」
「そうだね♪」
視界が霞み始める
黒羽が低い姿勢に構えているのが辛うじて分かる
逃げ、なきゃ・・・・
「大樹様っ!!」
逃げ、な、きゃ・・・・逃げ・・・・な・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・き」
「・・・・・まっ」
「たいき・・・・」
呼んでる。
温かい何かが、俺を、呼んでる
「大樹・・・・」
ち、あき?
目蓋がようやく持ち上がっていく。
「大樹・・・・」
「大樹様っ!」
青葉の顔がすぐそこにある
その隣には千彰の顔
「青葉・・・・千彰・・・・俺は」
まだ思考が追いついていない
ただ分かるのは、ここが屋外で、青葉の膝の上で、今が夕焼け時ってことだ。
「根本」
「き、はら・・・・」
っ!!
そうだ、俺バトってて、それで!
「そんな心配そうな顔すんなし。俺もオリヴィエも大丈夫」
「そ、そっか」
木原の優しい物言いに、安
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