ボココッ!ヒュンヒュン!!
「おわっと!!」
地面から突如、岩で形成された大きな拳が俺目がけて放たれる
それらを間一髪のところで避け、相手を中心として円を描くように素早く移動
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
やばい、全力疾走のタイムリミットが残り5分くらいだ
これを超過すると確実にエンストしちゃう
なんとかこの間にイメージをまとめて片を付けたい!
「大樹様!落ち着いてください。私がお守りしますので!」
青葉は俺の目の前に移動すると、見事な体さばきで攻撃を次々と撃ち落としていく
「青葉!上っ!!」
「はい!」
見上げると、そこには棘の付いた金棒を振りかぶり
今まさに熊のような魔物(グリズリー)が飛びかかってきているところだった
ッドンッ!!ドッガァァァァン!!
金棒が地面にめり込むのと同時に、半径1mの範囲に地面から無数の棘が突き出る
グリズリーは俺たちが攻撃を避けるのを予測していたのか、立て続けにこちらへ襲いかかってくる。
ブゥゥン!ブゥゥンッ!
風を無理矢理切り裂く鈍い音と共に金棒が振り下ろされる。
青葉はそんな俺とグリズリーの間に入り、その金棒を鮮やかにさばく
・・・・・よし、なんとかイメージできた
「青葉、いくよ!!」
「はい!」
イメージを青葉に伝える
青葉は両手を頭上に振りかざし・・・・掴む!
俺の両手も掴む!
双剣。
”音さ”に刃が付いたような形状で、刃は自分の顔が映るほどの鋭さを兼ね備えた剣。
ギャリィィィン!!
青葉は交差させた剣で、振り下ろされた金棒を受け止める
激しい衝突の音と共にクワンクワンという共鳴音が鳴り響く
「はあっ!」
青葉は金棒を弾き返すと、好機とばかりに次々と斬撃を繰り出す
キン!キン!キキン、キキン、キキン!!
標的はどうやらグリズリー本体ではなく金棒のようだ。
すると突然、脳内に青葉からの技イメージが送られてくる
どうやら先程から大きくなってきている共鳴音を利用するらしい
「オッケー、分かった、よっ!!」
ガキンッ!
地から浮かぶ拳をたたき落としながら、俺の”音さ”に共鳴音を蓄えていく。
クワンクワンクワンクワンクワンクワンクワンクワン
周囲を共鳴音が支配し、持つ手が痺れ始めた頃
「大樹様っ!」
「おう!いつでも!!」
青葉は剣を激しく振って空気を孕ませながら空高く放り投げる!
それを確認した俺は、自らの剣を上下左右十分に振り、空気を切り裂く感触を手に覚えさせ
宙を舞う青葉の双剣目がけ
「当たれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
投げる!
バキィィィィィィィン!!
見事命中、直後
ばりぃっっっっっっっ!!
鼓膜を突き通すほどの破裂音が鳴り響く
大気が・・・・・・破れた。
共鳴により大きくなっていく振動数・波長
それが大気中に存在できる容量を超え、爆発。
大気の破裂により「無」が形成され、生き物の行動が一定時間硬直状態になる
その間動けるのは、俺たちだけ!
(うおおおおおおおっ!)
俺は先程から遠隔攻撃を仕掛けてきたアンサーに向かって一直線に走り出す!
そして
(ごめんな、これ、壊させてもらうぞっと!!)
動けないアンサーの首にぶら下がるブラウンの水晶を引ったくり、4本の剣が舞う空間にそれを投げ入れる
ピシッ・・・・サラサラ・・・・
それは空間に入った瞬間、粒子となり世界に融けた。
ドスッ、ドスッ、ドドスッ!
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
剣が落ち、地に刺さるのと同時に大気は修復された
無から解放されたアンサーは、どさっとその場に膝から崩れ落ちる
儀式が始まる前に、何らかの力によってアンサーは気絶させられてしまう。
ドン
扉がグリズリーの背後に現れる
ギギギギギギ・・・・・
「ハイシャヨ」
「セカイハ、オマエヲワスレヨウ」
一つ目の魔物2体が、両側からグリズリーの腕を拘束する
先程まで状況が理解できていない様子だったが、扉の出現で悟ったらしい
グリズリーはほとんど抵抗することなく連れられていく
「待って!」
俺は反射的にその連行されていく悲しい背中に呼びかける
グリズリーは立ち止まる。振り返ることはしないがそれで充分だった。
「俺が、俺たちが、あんたを憶えてるから!だから、せめて名前を教えてくれないか?」
グリズリーの肩が小刻みに震え出す
きっとこんな言い方は残酷なんだろう
でも、自己満足だとしても、そこに可能性があるなら、少しでもあるなら
くるっ
グリズリーは目に涙をいっぱいに溜めたままこちらを振り返る
「茶智(さち)」彼女は確かにそう言った。
「茶智、俺は大樹・・・・・・また会おう!」
俺は精一杯笑ってみせた。
茶智は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに満面の笑みを浮かべてくれた
そ
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