「ねぇ、青葉」
「はい」
「平和だね」
「そうですね」
温かな日差しが室内に差し込む、日曜の正午。
俺と青葉は日当たりの良いソファに肩を並べ座っていた。
内心はこのシチュエーションにドキドキしているものの
心地よさがそれに勝り、平常心を保てている。
それにしても・・・・・平和だ。
「大樹様?」
「ん?」
「お昼ご飯は何にいたしましょう?」
「う〜ん、そうだなぁ」
さっき朝ご飯を食べたばかりのような気もするが、まいっか。
「とりあえず、買い物でも行こうか」
「はい」
ぼーーーーーー・・・・・・
「大樹様?」
「ん?」
「買い物に行かないのですか?」
「よし、行こうか」
ぼーーーーーー・・・・・・
「すぅぅぅ・・・・・大樹様!!」
「どぅわぁぁっ!!!」
「買い物に、行きましょう?」
「そ、そだね」
がちゃ
外に出ると、気温は普段より格段に暖かく
羽織ったジャケットがなくても良いくらいだった。
青葉によると、今日の気温は夏下旬並だとニュースでやっていたらしい。
もう季節は秋の下旬だというのに、全く、最近の天気ときたら季節感を全然考えないもんなぁ
って、天気に文句言ったら季節もクソもあったもんじゃないか;
とにかく、今日は普通に暑い。
「大樹様、お暑いのでしたらジャケットお持ち致しますよ?」
両手を嬉しそうにこちらへ差し出している青葉に誘惑され、思わず渡しそうになる。
「ああ、おねが・・・・・・・・・いや、大丈夫」
危ない危ない。そんなのお願いしたら、周囲に女性を酷使するダメ男にしか映らん。
・・・・・・・。
立ち止まる。
もう一度、隣の青葉を見る。
「どうされました?」
彼女はいつものメイド服で隣を歩いていた。
あれ?何か大切なことを忘れているような・・・・
「大樹様?」
あ、わかった。
「青葉。私服ってもしかして、それだけ?」
「はい」
マジで?
暑い日も寒い日もメイド服の一張羅ってきつくないですか?
今日みたいな日ならまだしも、これからが冬本番だもんな〜
・・・・うし、今日の予定はこれにしよう!
「服、青葉の服、買いに行こう」
「そ、そんな、私のために大樹様の貴重なお時間を使わせるわけには・・・」
「いいっていいって行こう行こう」
青葉の手を引き歩き出す。
今、普通に手を取ったけど、超恥ずかしい・・・・
そろそろ免疫が付いても良いと思うんだけどなぁ
そんな思いを胸に、横目で青葉を見ると
はにかんだ表情を浮かべながらもしっかりと手を握り、俺の後に従っている彼女の姿を確認できた。
ああ、何度見ても飽きない
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
街に入る直前にある公園に差し掛かったとき
「大樹様」
鋭い青葉の声が聞こえる
「アンサーの気配がします」
「え゛」
こういう時くらい静かにさせてくれよって
とりあえず周囲を見渡す
・・・・・・・・・いた
公園内のベンチに少し太めの男とメイド服の女性が目を瞑り座っていた。
「どうする?」
「出来るだけ交戦は避けたいですね」
さて、どうしたものか
ぱちっ
メイド服の女性は片眼でこちらを見やる。
「やべ、目が合っちゃった」
しかし彼女は、何事もなかったかのように目を閉じた。
ん?戦う意志は、ないのかな??
「ねぇ、青葉?」
「はい」
「ちょっと話しかけてみようか?」
「大丈夫でしょうか?」
「まぁ、俺にまかせといて」
「はい」
俺たちは公園の方に歩いていくとベンチの前で立ち止まる
「あの〜」
「ん?ああ、先程のアンサーか」
メイド服の女性は特に敵意を向けるでもなく片眼を開けこちらを見る
「いや、ちょっと話したいなぁ、と」
「ほぅ、肝の据わった奴だな。話を聞こう」
彼女が微笑んだことで、周囲の空気が和らいだのを感じた。
「見たところ、あまり戦いにこだわっていないように感じたんですけど」
「良い洞察力だ。ああ、私たちは望んでいないな」
褒められてしまった
てか、メイドってこんなに美人揃いなんですか?
一種のギャルゲーを彷彿とさせる世界になったなぁ、この世界も。
「そのような質問をしてくるということは、お前たちも同じということだな?」
「ええ、まあ」
「だそうだ。おい、お前もなんか言ってやれ」
そう言って女性は隣の男を肘で突く
「ん?」
体の大きな男は目覚めると、俺たちを見て驚いた顔をする
「え、誰っすか?」
「いや、すいません、通りすがりの者です」
あれ?二人で敬語とか、どっちが上か分からんぞ?
体の大きさでいったら向こうの方が上に見えるが
顔的にいうと、若干童顔で下にも見える。
ここは迷わず名乗り出てみ
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